美智子さま感涙! 黒田清子さんの「夕焼けの絵」を飾った母の日

令和に伝えたい皇室の子育てVol.5

編集者・文筆家:高木 香織

1975年10月20日、美智子さま41歳のお誕生日に公開された写真。母娘で愛情深く連弾されている。写真/宮内庁提供
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家事に仕事に子育てにと忙しい母親に、感謝を表す「母の日」。カーネーションなどの美しい花をはじめ、手作りグッズやカードを贈るなど、それぞれの家庭で工夫して母への想いを伝えます。母と子がお互いを大事に想う気持ちを形に表す記念日といえるでしょう。

皇室は、どのように母の日を迎えてこられたのでしょう? 今回は紀宮(のりのみや)さま(現・黒田清子〈さやこ〉さん)のエピソードから、「母の日」にまつわる親子の心の絆のお話をご紹介します。

皇室史上はじめて出産の入退院に付き添われた上皇さま

1969年6月。美智子さまの紀宮さま(現・黒田清子さん)を見つめるまなざしは格別に愛情深い。写真/宮内庁提供
1969年4月18日の夜、紀宮さま(現・黒田清子さん)はお生まれになりました。9つ上の浩宮さま(現・天皇陛下)と4つ上の礼宮さま(現・秋篠宮さま)に続くお子さまで、初めての女の子。美智子さまは、初めての内親王のご誕生に、ことのほか喜ばれたといいます。

その日の朝、美智子さまは目に映った窓の外の若葉が透き通るように美しく、「今日は何か特別によいことがあるのかしら」と不思議な気持ちで見入っていたといいます。

美智子さまの陣痛が始まると、宮内庁病院に向かう車の後部座席には、皇太子さま(現・上皇さま)が美智子さまを抱きかかえるようにして付き添われました。妻の出産の入院に夫である皇太子さまが付き添ったのは、天皇家で初めてのことでした。

そして美智子さまと赤ちゃんが退院されるときも、当然のように皇太子さまがお車に同乗しておられました。

内親王がご誕生になり、東宮御所は3人のお子さま方のにぎやかな笑い声に包まれるようになりました。毎日、お兄さま方は学校や幼稚園から帰ると、赤ちゃんの妹宮のご様子をのぞきに行かれたといいます。東宮御所では毎日、浩宮さま(現・天皇陛下)と礼宮様さま(現・秋篠宮さま)のおふたりの、赤ちゃんのかわいいお顔が早く見たいというパタパタと急ぐ足音が響いたことでしょう。
1969年6月、左より皇太子さま(現・上皇さま)、礼宮さま(現・秋篠宮さま)、美智子さま、紀宮さま(現・黒田清子さん)、浩宮さま(現・天皇陛下)。写真/宮内庁提供
1969年9月、お箸初めの際に公開された写真では、乳母車に紀宮さま、礼宮さまが乗り、ご家族で姫宮さまの誕生を喜ぶ様子が伝わってくる。写真/宮内庁提供

「サーヤ」の描いた絵を大事に大事に飾られた美智子さま

1974年4月、紀宮さま(現・黒田清子さん)5歳のお誕生日に公開された写真より、花畑で仲良く遊ばれる美智子さまと紀宮さま。写真/宮内庁提供
紀宮さまは、ご両親である上皇さまと美智子さまからは「サーヤ」と呼ばれ深く愛されながら、ご公務で忙しい母を思いやるやさしい女の子に成長されました。やがて、学習院女子中等科にご入学されます。そして中学2年生の母の日に、母である美智子さまのことを詩に詠まれました。
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「母の日に」

母の日に夕焼けの絵を書いた
夕焼けはどこか母に似ているから
夕焼けの絵を書いた
ただ それだけの絵なのに
母は大事に大事にたなの上にかざってくれた
夕焼けのよく見える
窓の近くにかざってくれた

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お母さまを想って描いた絵を飾ってもらった紀宮さまは、どれほどうれしかったことでしょう。この詩からは、母が娘の心を想い、娘が母の気持ちをしっかり受け止めらている様子が伝わってきますね。

紀宮さまは、黒田慶樹さんと結婚され、皇室を離脱し黒田清子さんとなられた後も、お忍びでご両親である上皇さまと美智子さまのもとを訪れています。優しくご両親思いの黒田清子さんご存在がどれほどお二人の心の支えとなっていることでしょう。

子育ての慌ただしい日々の中で、子どもたちの優しい思いにふれることがありますが、忙しさにかまけてしまい、それをどれだけきちんと受け止められているでしょうか。この紀宮さま(現・黒田清子さん)の詩のエピソードは、子どもの優しい思いをきちんと受け止める大切さを教えてくれます。

どんな小さなことでも、子どもの優しい思いやりをきちんと受け止めることができたら、それは親子双方にとってかけがえのない経験となることでしょう。
1972年4月、花の首飾りを紀宮さまにかけようとされる美智子さま。優しい母としてのお人柄がうかがえる。写真/宮内庁提供
1974年4月、美智子さま、紀宮さまと春のお庭でお話に興じられる。写真/宮内庁提供
2005年11月、紀宮さまは黒田慶樹さんと結婚され黒田清子さんとなられた。写真/雑誌協会代表撮影
2005年11月、ご結婚の披露宴にて、花嫁となられた紀宮さま(現・黒田清子さん)を感慨深くお喜びの様子で見つめられる天皇陛下(現・上皇さま)と美智子さま。写真/雑誌協会代表撮影
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たかぎ かおり

高木 香織

Kaori Takagi
編集者・文筆業

出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。

出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。