皇室は、どのように母の日を迎えてこられたのでしょう? 今回は紀宮(のりのみや)さま(現・黒田清子〈さやこ〉さん)のエピソードから、「母の日」にまつわる親子の心の絆のお話をご紹介します。
皇室史上はじめて出産の入退院に付き添われた上皇さま
その日の朝、美智子さまは目に映った窓の外の若葉が透き通るように美しく、「今日は何か特別によいことがあるのかしら」と不思議な気持ちで見入っていたといいます。
美智子さまの陣痛が始まると、宮内庁病院に向かう車の後部座席には、皇太子さま(現・上皇さま)が美智子さまを抱きかかえるようにして付き添われました。妻の出産の入院に夫である皇太子さまが付き添ったのは、天皇家で初めてのことでした。
そして美智子さまと赤ちゃんが退院されるときも、当然のように皇太子さまがお車に同乗しておられました。
内親王がご誕生になり、東宮御所は3人のお子さま方のにぎやかな笑い声に包まれるようになりました。毎日、お兄さま方は学校や幼稚園から帰ると、赤ちゃんの妹宮のご様子をのぞきに行かれたといいます。東宮御所では毎日、浩宮さま(現・天皇陛下)と礼宮様さま(現・秋篠宮さま)のおふたりの、赤ちゃんのかわいいお顔が早く見たいというパタパタと急ぐ足音が響いたことでしょう。
「サーヤ」の描いた絵を大事に大事に飾られた美智子さま
「母の日に」
母の日に夕焼けの絵を書いた
夕焼けはどこか母に似ているから
夕焼けの絵を書いた
ただ それだけの絵なのに
母は大事に大事にたなの上にかざってくれた
夕焼けのよく見える
窓の近くにかざってくれた
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紀宮さまは、黒田慶樹さんと結婚され、皇室を離脱し黒田清子さんとなられた後も、お忍びでご両親である上皇さまと美智子さまのもとを訪れています。優しくご両親思いの黒田清子さんご存在がどれほどお二人の心の支えとなっていることでしょう。
子育ての慌ただしい日々の中で、子どもたちの優しい思いにふれることがありますが、忙しさにかまけてしまい、それをどれだけきちんと受け止められているでしょうか。この紀宮さま(現・黒田清子さん)の詩のエピソードは、子どもの優しい思いをきちんと受け止める大切さを教えてくれます。
どんな小さなことでも、子どもの優しい思いやりをきちんと受け止めることができたら、それは親子双方にとってかけがえのない経験となることでしょう。
高木 香織
出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。
出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。