皇室は、奉仕の精神をご家族で育んでこられました。特に、秋篠宮ご一家は、紀子さまが学生時代からボランティア活動に積極的だったこともあり、ご家族でボランティア活動に従事されてきました。その母の背中を見つめることで、お子さま方は自然に人のために尽くす大切さを学ばれました。
東日本大震災での紀子さまとお子さま方の奉仕とは、どのようなものだったのでしょうか? 令和を生きる子育てファミリーが、少しでも「他者への奉仕」「ボランティア活動」に興味を持つきっかけとなれば幸いです。
震災後すぐさまボランティアにかけつけた秋篠宮ご一家
皇室も例外ではありません。3月26日より、栃木県那須町にある那須御用邸の職員宿舎の温泉風呂を、東日本大震災で、栃木県に避難した人たちに開放することになったのです。
宮内庁本庁舎には、宮内庁職員と皇宮警察の護衛官が集めたタオルが約3400枚も運び込まれました。山と積まれたこのタオルを、被災者一人ひとりに配れるように袋につめる作業が必要となりました。
宮内庁職員が本庁舎に向かうと、なんとすでに紀子さまと眞子さま(現・小室眞子さん)、佳子さまがタオルの袋詰め作業をなさっていたのです。職員たちは、その素早い行動力に驚いたといいます。
まずは、ご家族でボランティアに参加することで、お子さまに学ばせる「奉仕精神」
「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」には、紀子さまは1991年から出席し、手話でスピーチされています。2008年に秋篠宮さまとインドネシアを訪問された際には、あらかじめインドネシア語の手話を勉強し、現地のろう学校の人々と交流されたといいます。紀子さまにとって、手話はより多くの人たちと語ることのできる大切な言語なのでしょう。
紀子さまの背中を見て、眞子さま(現・小室眞子さん)と佳子さまは成長されました。お二人は紀子さまの指導で手話を始められたといいます。
特にダンスがお好きな佳子さまの指先は、まるで踊るような美しさ。情感あふれるドラマチックな手話が持ち味です。その学びが高じて、現在、佳子さまは全日本ろうあ連盟の非常勤嘱託職員として勤務されています。紀子さまや佳子さまの手話がメディアを通して人々の目に触れることが、手話を多くの人に身近に感じてもらうために、どれほど役に立っていることでしょう。
紀子さまは、ご自身が参加されるさまざまな奉仕活動に、幼いころからお子さま方を連れていかれ、ご自身の姿を見せることで、人のために奉仕する心を育まれてきたのです。
何よりも「自助」「自己責任」論がかっ歩する令和の日本、いっぽうで「持続可能な社会の実現」が課題となっています。そんな中、令和を生きる私たちも、社会への奉仕の心を家族で学び直し、次の世代に伝えるときかもしれません。皇室のご活動が少しでもヒントになれば幸いです。
「令和に伝えたい皇室の子育て術」シリーズ、次回は2023年4月上旬更新予定です。
高木 香織
出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。
出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。