発達が気になる子ども向け「保育園留学」 療育プログラムを体験した親子の詳細報告[北海道小樽市]

『保育園留学』体験記#2 保育園留学プログラムの内容&現地での生活編

ライター:永見 薫

(写真提供:発達支援事業所「きっずてらす」)

「保育園留学」を知っていますか? 日本初の「発達が気になる子ども向け『保育園留学』プログラム」、山あり谷ありの体験記〈全3回〉、準備から出発~到着までをレポートした第1回に続き、第2回となるこの記事では、プログラムの詳しい内容と現地での過ごし方をレポート。

充実の療育プログラムに雪国ならではのハプニングなど、盛りだくさんでお届けします。

【東京都内在住で、会社員の夫と共に、発達がゆっくりな6歳男児(年長)の子育てをしながら、フリーランスのライターとして仕事をしています。息子は、言葉の発達の遅れや、自分の気持ちがうまく表出できないことの他に、手先の不器用さや感覚過敏など多方面に発達がゆっくりな点があります。今回私たちは、日本初の「発達支援事業所と保育園併用型の保育園留学プログラム」を北海道・小樽市で体験してきました。(取材:永見薫)】

滞在先は一軒家、抜群の立地と備品で安心

札幌での前泊をすませた私たち一家は、日曜日に小樽に到着。ここからはいよいよ保育園留学のプログラムがスタートします。

滞在先は、小樽随一の観光地、堺町商店街の一角にある一軒家(民泊施設)。さらに足をのばすと、運河や有名寿司店の数々があり、家を出てすぐの場所に観光スポットがあるというロケーション。なんという贅沢でしょう。

ライフラインの救世主、コンビニエンスストアやドラッグストアは徒歩5分の場所にあり、何かあったときには困らなそう。ホッとしました。

家の中を見渡してみると、ベッドが4台、ダイニングテーブル、リビングセット、石油ストーブにエアコン、食器類と必要な設備は揃っています。もちろん雪国の家に必要な雪かき道具も備え付けられています。

ダイニングセットと簡易ベッドが備わった、ダイニングルーム。家族の食事と団らんタイム、そして私のワーキングタイムはここで過ごしていました。  写真提供:永見薫
セミダブルのベッドが2台とエアコンが備え付けられた寝室。2つをつなぎ合わせて3人で就寝しました。  写真提供:永見薫
備え付けられた大型の石油ストーブ。よく北海道の人は室内で半袖の服を着ると言いますが、その気持ちも分かるほど、ストーブの効きが良く、毎日リビングは熱々でした。  写真提供:永見薫

一軒家の運営元がホテル会社なので、タオルやシーツ、歯ブラシや石鹼などアメニティも完備されており、至れり尽くせり。洗濯機ももちろんあり、なんと洗剤類も揃っていました。ほとんど自分たちで用意するものがないことに、ありがたさを感じました。

とはいえ、月曜日からの保育園と仕事に備えて、私たちは7日間の暮らしを支える日用品と食材を準備しなくてはなりません。

日用品買い出し・雪道の洗礼

荷物を下ろしたあとは、まずはスーパーを探して買い出しに行きます。ところが思ったよりも大変なことに気づきます。

小樽市は、観光エリアと住民の生活エリアがくっきりと2つに分かれています。実は今回滞在した一軒家は、観光地周辺にあったため、周辺にはスーパーがないのです。一番近いスーパーでも歩いて15分の場所にあります。

家を出て1分も歩かず観光地というロケーション。  写真提供:永見薫

普段だったらなんてことなく歩くことができる距離ですが、ここは2月の雪国。道には雪壁がそびえ、路面も見えません。こんな雪道事情ですので、ペーパードライバーゆえに車を借りることも断念しました。

残された手段はバスかタクシーか徒歩。そうはいっても四六時中タクシーを使うのもはばかられるため、なるべく歩くことを選んでいました。

もちろんスノーブーツをはいているものの、なにしろド・都会育ち。雪道をうまく歩くことができません。

どこの歩道も雪で埋め尽くされている状態。地元の人たちが毎朝、小型除雪機で雪をどかします。  写真提供:永見薫

ツルツル滑りながらも、やっとこさっとこスーパーに辿り着き、1週間分の食材を調達します。宿には調味料は備え付けられてないため、食材と合わせて調味料も購入。およそ1万5000円ほどつかいました。

さて、両手に荷物を持って、今度は帰宅です。荷物を両手いっぱいに持ち、ツルツルに磨き上げられた道を今にも滑りそうになりながら歩いて帰る最中……。

息子が放った一言、「疲れた~」

夫は抱っこをするという任務が加わります。初日から雪国の洗礼を浴びたのでした。

歴史的建造物が多く、美しい街並みですが、けっこうな坂道。雪のある坂道は難易度が高かったです。  写真提供:永見薫

その日は自炊をして翌日に備えて早めに就寝。寝室はエアコンしか備わっていないため、持参した湯たんぽをベッドにイン。

日中ももちろん寒いですが、夜中の気温は凍てつくという言葉がふさわしいほど。日によってはマイナス10度になることも。さすがに布団と毛布だけでは寒さに耐えるのが少々難しかった、というのが本音です。

キッチンスペースにはカフェテーブルセットと、必要な家電がそろっているので、おおむね自炊は可能。調味料類は自分たちで調達する必要があります。  写真提供:永見薫
一人暮らし用のサイズの冷蔵庫に、1週間分の食材をイン。子どもの環境変化に対する違和感を最小化するために、なるべく普段から食べているものをセレクト。いつも以上にやりくりに頭を使いました。  写真提供:永見薫
観光地のど真ん中ゆえにレストランの価格がかなり高く、基本的に夕食は自炊。何度か外食にも行きましたが、地元の人たちが足をはこぶような手軽な価格のお店に行きました。  写真提供:永見薫
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