トットちゃんの「点字つきさわる絵本」制作レポート その3

『点字つきさわる絵本 映画 窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック』制作秘話を担当編集がレポート! (3/4) 1ページ目に戻る

「点字つき絵本の出版と普及を考える会」で

2024年の12月、「点字つき絵本の出版と普及を考える会」のミーティングがありました。

これは、岩田美津子さんが主宰している会で、点字絵本を出している出版社、出そうと思っている出版社、ユニバーサルデザインを研究している人、関心のある図書館員、書店員、印刷会社などが集う会合です。半年にいちど集まっていて、それまでもトットちゃんの進捗は、たびたび報告していました。

「次はゲラを持っていって、みんなに見てもらう」と、共同印刷の篠島さんに話していたところ、篠島さんはこの日に間に合うように、校正刷(ためし刷り)を使って製本見本を作ってくれたのです。

ちゃんと本になっているので、1枚ずつの紙を見せるより、はるかに見てもらいやすくとてもありがたかったです。

会合では、「ようやくここまで来ましたね」と、協力してくれた岩田さんや、福音館書店のみなさんが喜んでくれました。
色校に問題がないことを確認すると、本番の印刷・製本加工の工程に入ります。

今回の本は文字数が多いので、ページ同士の圧力が高くなり、紙がゆがむリスクが高い、と聞いていてドキドキ。けれども、そのような心配も現実には至らず、製本は無事に進行しました。

最後のステップ、スリーブ(厚紙で作るケース)のサイズを決めるのが、これまた難航。

「スリーブ」は筒のような構造で、縦に持ったとき、左右どちらからでも取り出せます。

きついと取り出しにくい、でも、ゆるいと傾けたときにスコンと本が落ちちゃう、というわけで加減が難しいのです。

取り出すとき、どのくらいの抵抗感というか摩擦がいいのか、これはもう“好み”というしかなく、共同印刷の篠島さんが作ってきてくれた、たくさんのサンプルを、ふたりでひとつずつ試して、

「これだ! これにしよう!」みたいに決めたのでした。
たくさん試作したスリーブ。
すべての画像を見る(全10枚)
最後の調整を終え、いよいよ完成へ
24 件