Q→A

著:草野 たき  

発売日 2016/06/16
価格 定価:1,540円(本体1,400円)
ISBN-13 9784062200752
判型 四六
ページ数 250ページ

アンケート用紙に本音なんて書かない。それでも見えてくる、ややこしくて、ばからしくて、せつない、中3の胸に宿る思い。中学3年生の登場人物たちそれぞれが、学校や塾のアンケートに答えていくことで、自分のほんとうの気持ちに気づいていく。青春小説。


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 Q5 中学生活最後の学年です。これからどんな一年にしたいですか?
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 どんな一年って、受験しかないじゃん。(中略)
 朝子は人生最初の大きな試練だからこそ、きちんと勝負をしてみたかった。
 そうじゃなきゃ、自分は変われない。
 この痩せすぎの身体を気にする性格、苦手なことから逃げたい性格、緊張しすぎる性格。そんな自分が好きになれないから、いつも自分に自信がないし、未来に対しても希望が持てない。
 朝子は、そんな自分から卒業したかった。
 早いうちに、できれば中学のうちに克服して、生まれ変わったような自分で高校生活を満喫したい。
 そのために、この初めての関門は逃げたくないと思うのだ。(中略)
 これは、自分を変えるチャンスなのだ。
 これくらい大きな勝負に、全力でのぞまないと、とても今の自分を変えることはできないと思うのだ。
 それで朝子は、最後の質問にこう回答した。
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 A 勝負の年にしたい。
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 朝子は、大きく息を吐いて窓の外を見た。
 相変わらず、桜の花びらがはらはらと散っている。
 すべての回答を終えてホッとしたせいか、朝子は、しみじみと本当に中学三年生になったのだと実感していた。
 頑張らないと。
 朝子は、最初の思惑どおり、ひどくシンプルな五つの回答を眺めながら、強い覚悟でそう思った。
 そし最後の名前を書く欄に「三年一組、野崎朝子」と書くと、これは間違いでもなんでもない現実なんだと、ようやく信じられる、そんな心持ちになったのだった。
 (本文より)

 野崎朝子とそのクラスメイトが、それぞれ学校や塾のアンケートに答えていくことで、自分のほんとうの気持ちに気づいていきます。

Q1 違和感だらけの中三の春 野崎朝子 Q2 バレーボールにかけた青春の終わり 増田征児 Q3 不登校明けの青い空 高本雅恵 Q4 自分らしくいられる場所を求めて 波多野由里 Q5 彼女のことで頭がいっぱい受験直前生活 中瀬義巳 A1 なにもかもが不安、だけど必ず、挽回したい! 高本雅恵 A2 片思いだけど、オレは彼女のことをもっと知りたい! 増田征児 A3 どこにも逃げない強い自分を作るため 波多野由里 A4 彼氏のイヤがる服は着ません! 中瀬義巳 A5 勝負の年にしたい 野崎朝子

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角野 栄子
児童文学作家
1935年東京・深川生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て24歳からブラジルに2年滞在。その体験をもとに描いた『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で、1970年作家デビュー。 代表作『魔女の宅急便』は舞台化、アニメーション・実写映画化された。産経児童出版文化賞、野間児童文芸賞、小学館文学賞等受賞多数。その他、「アッチ、コッチ、ソッチの小さなおばけ」シリーズ、『リンゴちゃん』『ズボン船長さんの話』。紫綬褒章、旭日小綬章を受章。2016年『トンネルの森 1945』で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、18年3月に児童文学の「小さなノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞作家賞を、日本人として3人目に受賞。 2023年には、江戸川区に「魔法の文学館」がオープンした。 写真提供:魔法の文学館 童話作家・角野栄子のオフィシャルサイト 魔法の文学館オフィシャルサイト
ナコ
イラストレーター
宮城県仙台市在住。イラストレーター。アパレル・キャラクターのデザイン会社にてグラフィックデザイナー・イラストレーターとして活躍後に、フリーに転身。現在は、書籍や雑誌、広告のイラストから企業キャラクターデザイン、エッセイ漫画執筆、雑貨やテキスタイルデザインも手がけている。ブログ、SNSでもエッセイ漫画を公開中。 【著書】「ナコさんちの頑張らない家事」(KADOKAWA) ▼webサイト▼ https://nfsn66.net/ ▼ブログ▼ https://ameblo.jp/nacomusud/ ▼instagram▼ naco.nfsn66 ▼Twitter▼ @nfsn66
佐野 洋子
絵本作家・エッセイスト
1938年6月28日中国・北京生まれ。武蔵野美術大学デザイン科卒業。 主な作品に『100万回生きたねこ』(講談社)、『おじさんのかさ』『おばけサーカス』(講談社・サンケイ児童出版文化賞推薦)、『すーちゃんとねこ』(こぐま社)、『わたしのぼうし』(ポプラ社・講談社出版文化賞絵本賞)、『だってだっての おばあさん』(フレーベル館)、『ねえ とうさん』(小学館・日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)などの絵本や、童話『わたしが妹だったとき』(偕成社・新美南吉児童文学賞)、さらに『神も仏もありませぬ』(筑摩書房・小林秀雄賞)、『役にたたない日々』(朝日新聞出版)、『シズコさん』(新潮社)、『死ぬ気まんまん』(光文社)、『佐野洋子対談集 人生のきほん』(西原理恵子/リリー・フランキー 講談社) などのエッセイ、対談集も多数。 2003年紫綬褒章受章、2008年巌谷小波文芸賞受賞。2010年11月5日72歳で逝去。 ©︎ JIROCHO, Inc.               
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