
【医療的ケア児】の子育て 病院から“卒業”して自宅へ 生活はどう変わる?【国立成育医療研究センター・専門医が解説】
小児科医・余谷暢之先生インタビュー (4/4) 1ページ目に戻る
2026.05.09
親の働き方 生活のリビルド(再構築・立て直し)
医療的ケア児の生活を変えているのは、支援制度の進歩だけではありません。日本社会全体での働き方改革が進んだことで、医療的ケア児の家族にも変化が現れています。
「子どものお世話をしながら、リモートワークや育休を組み合わせて働き続ける人が増えています。退院直後の難しい時期も、父親が育休を取って、両親揃って生活をリビルド(再構築・立て直し)するご家庭は珍しくなくなりました。職場の自由度は、明らかに高くなっていると感じます」(余谷先生)
共働き世帯でも、フレックス勤務を利用して、朝のお世話と夕方以降のお世話を父母で分担するというご家庭も。
支援や制度が整うかたわら、子どもの状態や親の事情によっては、その家族にとって日常生活が「過剰な負担」になってしまうケースはやはり、あります。大切なのは、そこでSOSの声を上げられること。親からの言いにくさを理解しながらも、余谷先生は「大変さを隠さないこと、分かち合うこと」を強調します。
「繰り返しますが、子どもの状態は個別性が高いので、病院との付き合い方も、その家のペースに合わせて考えねばなりません。医療者としては、一人で抱えなくていいよ、遠慮しないでどうか話してね、と伝えたいです。いいことも、大変なことも」
余谷先生は、親子が自宅で暮らすメリットはあるけれど、それを強いてしまうことには疑問がある、とも話します。
「家はもちろん、病院でも、地域でも、子どもの生活できる場所を増やしたほうがいい。それが社会で育てる、社会で支えるということだと思っています」
子どもが生まれたら、想定外のことも含めつつ、家族・医療・地域と繫がって「生活のリビルド(再構築・立て直し)する」という考え方を持つ。親子が孤立しないことの大切さは、子どもにどんな「困りごと」があっても、子育てに共通するポイントと言えそうです。
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この記事では、生まれたときから医療の支援を受ける子どもたちの子育てについて、国立成育医療研究センターの小児科医・余谷暢之先生に伺いました。
次回は、主に幼年~就学期になってから現れる困りごとについて、日本発達障害連盟理事の小児精神科医・古荘純一先生にお話を伺います。
取材・文/髙崎順子

髙崎 順子
1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。
1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。




































余谷 暢之
2004年大阪市立大学医学部卒。2014年同大学院にて博士号取得(公衆衛生学)。国立病院機構京都医療センター、国立成育医療センター総合診療部、神戸大学医学部附属病院などを経て、2017年より国立成育医療研究センターへ。現在は、同センターの緩和ケア科 診療部長を務める。 小児専門病院での専門的緩和ケアの実践、ならびに国内外における小児緩和ケアの普及啓発に深く携わる。また、成育こどもシンクタンクの一員として、小児医療の現場で聴いた「こどものこえ」を社会に届けるための、アドボカシー活動の基盤構築に取り組んでいる。
2004年大阪市立大学医学部卒。2014年同大学院にて博士号取得(公衆衛生学)。国立病院機構京都医療センター、国立成育医療センター総合診療部、神戸大学医学部附属病院などを経て、2017年より国立成育医療研究センターへ。現在は、同センターの緩和ケア科 診療部長を務める。 小児専門病院での専門的緩和ケアの実践、ならびに国内外における小児緩和ケアの普及啓発に深く携わる。また、成育こどもシンクタンクの一員として、小児医療の現場で聴いた「こどものこえ」を社会に届けるための、アドボカシー活動の基盤構築に取り組んでいる。