
【医療的ケア児】の子育て 病院から“卒業”して自宅へ 生活はどう変わる?【国立成育医療研究センター・専門医が解説】
小児科医・余谷暢之先生インタビュー (2/4) 1ページ目に戻る
2026.05.09
「診断がつくということは、その子の特徴を知る一歩であり、どんなサポートが必要かを見極める手がかりになります。それでも出生前や出生直後は病状が変化しやすく、実際どの程度の状態なのかは生まれてみないと分からない、育ってみないと分からない。現代の親たちは、その不確実性の高い状態で、生まれる前から子育ての未来を考えねばならない難しさがあります」(余谷先生)
医療機器が進歩し、病院を出たあとの「家での子育て」を支える環境も整いつつあります。自宅にいながら医療サポートを受けられる「在宅医療」の整備が広がってきました。
「医療的ケアの必要な子どもも、自宅を拠点として地域で暮らすようにする流れは、1990年代から進みました。2021年には、親子の地域での暮らしを社会で支えるための法律*1が作られています」(余谷先生)
*1 「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(令和3年6月 通称「医療的ケア児支援法」)
医療的ケア児の在宅での子育てとは
生まれた直後から集中治療室に入院していた子どもが、自宅で生活するようになる。その変化は、具体的にはどんなものなのでしょう。
余谷先生は「卒業」の言葉を使って説明します。
「入院中は『医療が優先』で、生活は二の次になります。お子さんの状態が改善して、病院の中にいなくとも暮らせる見通しが立つと、病院を卒業する。自宅での子育てに移っていく過程で、医療の役割はメインから、『生活を支える』へと変わります」
退院後の自宅での生活は、「子育ての中に、その子特有のお世話が加わる」イメージ。退院を迎える医療的ケア児の親たちに、余谷先生はそう伝えています。その子らしい暮らしを支える「道具」を使った子育てを覚えてほしい、と。
寝るためのベッド、移動のためのベビーカー。授乳や食事のための経管栄養の機器や、人工呼吸器。その子の状態に合わせて、必要な環境を整えていきます。
こうした準備は、すべて親だけで進めるのでしょうか? 答えは「ノー」です。
余谷先生のような専門医に加え、訪問診療や看護のスタッフ、地域の支援事業所など、多くの専門家がチームとなって家族の生活に伴走します。こうした「地域全体で支える仕組み」が、在宅育児を支えています。



































