
不登校の子に合うフリースクールはどう探す? 基礎知識と親が楽になる考え方
出版ジャーナリスト・飯田一史が読み解く 新刊『フリースクールという選択』 (3/3) 1ページ目に戻る
2026.05.20
出版ジャーナリスト:飯田 一史
「学校」か「フリースクールか」の二者択一ではない
それから、この本で書かれている大事な情報としては、
・週に何日かは学校に行き、週に何日かはフリースクールに行くのは制度的にも問題ない
・フリースクールに限らず、居場所(依存先)をいくつか掛け持ちするという発想も重要
・いま不登校でなくても、どういう選択肢があるのか知っておくにこしたことはない
・不登校でなくても、求める教育があるからフリースクールを選ぶ、という選択肢もある
といったものがある。
親が、子どもが、日々過ごす場所として考えるときには(「かかる金額」や「送り迎えなどの負担」という親側の都合は置いておくとして)、
1.子ども自身のやる気、メンタル的にどうなのか
2.勉強、学習の内容やレベル感、進め方が合っているか、望んだものに近いかどうか
3.友だち、人間関係ができるかどうか
があると思う。
これらすべてが揃う、唯一のピッタリくる場所を見つけようとするのは難しい。とはいえ、分散させて補うほうが、もし合わなかったというときのダメージも少ないのかもしれない。
『フリースクールという選択』には、フリースクール側も試行錯誤をしながら運営していることや、大手でもなければ基本的には潤沢な資金・リソースがあるわけではない(大半のフリースクールは小規模)という正直なところも、インタビュー取材を通じて運営者の口から語られている。
だから保護者側もフリースクールを「お客さん」として利用するというより、相談し、協力しながら子どもを育てていく人がいる、仲間がいる場所としてとらえたほうがいい、という。
親だって学校の先生だって塾の講師だってフリースクールの運営者だって「何も問題ない」「絶対大丈夫」と思って子どもと接している人は少ない。みんな完璧ではないし、悩みや不安を抱えながらも、真剣に子どもと向き合っている。
その真剣さや考え方、教えたいことや接し方が人によって違うからこそ、合う場所を見つけるのがむずかしい。教育、子育てとはそういうものだと思う。
私の友人や知り合いの不登校経験者には、中卒で家業の左官屋を継いだ人、イラストレーター、公認会計士兼現代詩人、大学講師などがいる。現実を見回せば、ひとり立ちして働いている人も、いくらでも見つかる。
ただそれでも、親にしても子にしても「自分の子どもも、なんとかなるだろう」「自分もなんとかなるだろう」と思えるようになるまでが大変なのである。
『フリースクールという選択』は、読んだらお悩みが万事解決してぴったりのフリースクールが見つかります、子どもがハッピーになります、というものではない。そういうウソくさいものを、多くの親も子どもも求めてはいない。
フリースクール側のいわば等身大の姿が見えることで、選ぶ際のヒントになるし、なにより、いろいろな考えや形でフリースクールを運営している人たちがいて、いろいろな親と子がいて、フリースクールを卒業した後、それぞれに人生を歩んでいるとわかることで、少し気がラクになる。そんな一冊なのである。
文/飯田一史




































飯田 一史
青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp
青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp