「学校が子どもに合わせる」登校時間やクールダウンの柔軟な工夫
──子どもたちが安心して通えるよう、どのような工夫をしていますか。
星校長:「自分は自分のままでいいのだ」と、子どもたちが安心感を取り戻せるよう、本校では、子どもが学校に合わせるのではなく、学校が子どもに合わせることを大切にしています。
星校長:例えば、登校時刻は心と体のリズムを整えるという観点から一般の小中学校より1時間遅い朝9時20分に設定しています。また、登校のスタイルも柔軟にとらえており、「1時間だけ過ごす」「放課後に来る」「教室以外の部屋で学ぶ」といった選択も認めています。
さらに、授業中につらくなったときは、和室や相談室などでクールダウンすることも認めています。通常の学校では、授業中に教室を出ることが問題と見なされる場合もあるかもしれません。でも本校では、つらくなったことを自分で認め、必要な休憩をとることも大切な力だと考えています。
星校長:クールダウンできるとわかっているからこそ、子どもたちは勝手に席を立つのではなく、「少しクールダウンしてきます。5分後に戻ります」と伝えられるようになります。
もちろん、最初から全員が伝えられるわけではありません。一人ひとりの段階に合わせて、自分で調整する力を少しずつ身につけていきます。
「白石タイム」で子どもの自己選択・自己決定の力を育む
──学習面では、どのような工夫がありますか。
星校長:週4時間、「白石タイム」という学び直しの時間を設けています。
年に4回、「今、何を学びたいか」「どこでつまずいているか」を一緒に考え学びの方向性を決めます。
「算数をやり直したい」「漢検に向けて漢字を学びたい」という思いに応じて、子どもたちを小さなグループに分け、教員や支援員が入ります。プリントやAIを搭載したデジタルドリルを使いながら、それぞれの課題に向き合います。
星校長:なかには、3年ほど学校に通えなかった子もいます。これまで十分に学べなかった部分を補うことも、白石タイムの大切な役割です。もちろん、国語や数学など、学習指導要領に沿った教科の授業も行っています。
また、本校では、先生たちが子どもたちの話を最後まで聞き、意見を否定しないことを大切にしています。
自分の考えを言葉にし、受け止めてもらえる経験は、小さな成功体験となり、他者への信頼感を育む機会にもなります。そうした経験が土台となって、子どもたちの自己選択・自己決定を後押ししているのです。
──子どもたちの自己選択・自己決定を尊重することは、簡単ではないと感じます。
半沢教育長:すべての子どもたちに共通することですが、それは子どもたちが自己決定できないのではなく、それを発揮できる環境にあるかどうか。つまり、自己決定する場が少ないだけなのではないでしょうか。
白石きぼう学園には校則がありません。けれど、だからといって学校生活が乱れるわけではなく、子どもたち自身が必要なルールを考え、決めています。一方で、周囲が決めたことに従っているだけで生活できる環境では、自分で考える機会は少なくなります。
子どもは本来、意欲を持っています。その意欲を発揮できる環境を整えれば、少しずつ自分で考え、選び、より創造的に生活していけるようになると、私は思っています。


































