「正社員の落とし穴」シングルマザーを待っていた“魔の2年間”【後編】

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正社員になって初めて知ったこと

正社員として働き始め、安定した月給や賞与、各種手当があることの安心感は格別でした。子どもが体調不良のときには有給休暇を使うこともできます。

会社に守ってもらえているという安心感を抱きながら、職場の人にも恵まれ、未経験ながら必死に仕事を覚える日々。何より嬉しかったのは、初めて受け取った賞与でした。「やっと人並みの生活ができる」と思い、これまでの頑張りを労う意味も込めて、息子と念願の親子ふたりでの旅行へ。

あのときの息子の顔は、今でも忘れられません。

給与は額面23万円、手取り約19万円。さらに母子手当や児童手当、養育費ももらっていたため「これでやっと暮らしが安定する」と思ったのですが……。

仕事を頑張るほどに手元のお金が消えていく

ある日届いたのは、「保育料の負担開始」を知らせる通知でした。最初は月5,000円程度だったため、仕方がないと受け入れていました。ところが、その後も次々に通知が届きます。

・児童扶養手当の減額
・水道料金の減免終了
・医療費助成の終了
・住民税の増額

収入が増えたことで、これまで私を支えていた公的支援が少しずつ外れていったのです。給与の額面は増えたはずなのに、その分、支払うものも増えていく。気づけば、手元に残るお金の感覚は、パート時代より苦しくなっていました。かといって、いまさらパートに戻ることもできません。

「やっと正社員になって、一生懸命働いているのに、どうして前より苦しいんだろう」

その問いに答えを出せないまま、生活を守るための日々は続いていきました。

削られていく食費と「親子の大切な時間」

使えるお金が減ったのなら、支出を削るしかありません。食費を抑えるため、自転車で片道30分かけて激安スーパーへ通いました。電気代を少しでも減らそうと、使っていない部屋の電気はこまめに消し、ベランダで野菜を育てることにも挑戦しました。

節約と言えば聞こえがいいけれど、このころの私は「1円でも無駄にできない」という思いが膨らんでいました。家計を必死にやりくりしなければ成り立たない暮らしに、どこか惨めさを感じていたのかもしれません。

そんな惨めな思いから早く抜け出したくて、減った手取りを少しでも補おうと、仕事もこれまで以上に頑張るようになりました。評価されたい、収入を上げたい。そう思うほど、残業は増えていきました。

保育園では朝一番に息子を預け、お迎えはいつも一番最後。寂しそうに私を待つ姿に胸が痛み、電車の中で泣いたことも1度や2度ではありません。「これも息子との生活のためだから」と言い聞かせ働くしかありませんでした。持ち帰り仕事がある日も多く、息子を早く寝かせたあと、深夜まで作業する毎日が続きました。

「もしかして、パート時代のほうが、親子ともに幸せだったんじゃないか?」

子どものためを思って頑張っているのに、その自分の選択が生活や息子を苦しめているかもしれない。そう考えてしまう自分が何よりもつらかったです。

▼「働くママの気持ち」子どもにどう伝えればいい?▼

おかあちゃんがつくったる

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長谷川 義史(作)

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価格:定価:本体1800円(税別)

「正社員になれば楽になる」と信じていた私が感じた違和感

こんなに苦しい思いをするなんて…
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