
【国際バカロレア】伝統校が認定小学校に! 教科の枠にとらわれない学習方法で子どもの自己肯定感が高まる理由を取材!
〔国際バカロレア連載〕 #4 PYP認定校『聖ヨゼフ学園小学校』
2025.05.28
伝統校が「国際バカロレア」を導入した理由

──国際バカロレア(※以下IB)を導入された理由を教えてください。
河野健一郎先生(以下、河野先生):導入理由は、本校の成り立ちと関わっています。初代校長である勝野巌神父は、高校卒業時にカナダに移住し、戦中は日系カナダ人の強制移住地で過ごしました。
強制移住地といっても、山間の限界集落に2000人ほどが集められ、現地の人との文化交流もするなど恵まれた環境だったようです。その町の古い消防署を修理して、寺子屋的に子どもたちに読み書きを教える学校を作ったのが、学校教育とのかかわりを持ったはじまりでした。
終戦を迎えて帰国した勝野神父は、このカナダでの経験と、カトリックが大切にしている普遍的価値観を活かし、戦後の平和で豊かな日本社会を築いていけるような人材を育てようと、1953年に聖ヨゼフ小学校を設立しました。
一方、IBは、スイスのジュネーブで生まれましたが、ヨーロッパもやはり戦争で国土を焼失し、多くの犠牲を出しました。平和な世界を築くために教育ができる役割を問うことをミッションのひとつとして、平和に貢献できる人材育成を理念に掲げています。
『この世のさまざまな問題を他人事にせず、自らの課題として積極的に捉え、人々の真の平和と幸福を創り出す人を育てる教育を目指す』という、勝野神父が創立時に掲げた教育方針は、IBの理念と重なるのです。

河野先生:導入の決め手となったのは、先にIBのPYP認定を受けていた中野の「東京コミュニティスクール」への視察でした。授業中の子どもたちが、受け身ではなく、自分の頭で考え、意見を伝え、真剣に話し合いをしている。その姿が本当に素晴らしかったですね。