小受は学力ではなく“非認知能力”をテスト
「中学校受験は多くの場合、“学力”テストのみで合否を判断しますが、小学校受験では子どもの“非認知能力”も試されます」(宮澤先生)
非認知能力とは、IQやテストの点数では数値化できない、社会性に関わる内面的な能力のこと。学校側は多角的に子どもたちの様子を観察しながら、受験者の中にある意欲や自制心、協調性などの要素を見極めます。
「小受では“これからどう伸びていく子どもなのか”という、可能性がテストされます」(宮澤先生)
小学校受験の試験科目には、筆記用具を用いて数や図形問題を解く「ペーパー」や、手先の巧緻性(こうちせい)を問う「絵画・制作」、グループ遊びなどをする「行動観察」、基本運動能力や指示の理解度が問われる「運動」などがあります。
これらの中で、“これから伸びる力”と“非認知能力”が最も問われるのは「行動観察」です。
「行動観察」試験で試験監督が注目するポイント5
自制心 :先生の指示に従うことができるか、ルールを守れるか、我慢することができるか
協調性 :友だちと積極的に関わることができるか、目的のために誰もやらない役割を担えるか
主体性 :自分から進んで発言、行動できるか
粘り強さ:最後まで諦めずにやり抜くことができるか
思いやり:困ったり、泣いていたりする子に対しての声かけができるか
知識や理解力についてはペーパーで測れますが、友だちとの関わり方やルール遵守といった部分は、実際の行動でしか見ることができません。
友だちと協力したり、先生の話を聞いたりする部分は、小学校での集団生活において大切なこと。試験監督の先生は、“周囲とどのような関係を築ける子どもなのか”という部分に目を光らせます。
小受のメリットは「学び方がわかる子」になれる!
早いかたは年中の4月ごろから小学校受験の準備を始めるので、試験までに費やす期間は最長で約1年半。中学校受験では、およそ小学4年生ごろから準備を始めて3年間を費やすのが一般的なので、それと比較するとタイム&コストパフォーマンス面で大幅なメリットになります。
また、宮澤先生は「受験準備のために塾に通い“座って”授業を受けていると、学ぶための姿勢が身につきます。これは、その後の小学校生活にも欠かせない素養です。話の聞き方や、考え方、知識の組み合わせ方などを育んでいくための第一歩です」と言います。
さらに、“座っていられる”というのは、小学校生活だけでなく、レストランや公共交通機関など、私生活においても役に立つ振る舞いでしょう。
「日本の多くの教育機関では座って授業を受けます。周囲と共存して過ごす中で、“座れない”というのは、本人が一番辛い思いをします。受験は、試験の段階で、座って話を聞けることが最低ライン。受験を検討するなら3歳や、それ以降でも早い段階からお絵描きや折り紙など“座って何かをする習慣”を、家庭で身につけさせておくことをおすすめします」(宮澤先生)
明確な試験対策が見えにくい点が小受のデメリット
「小学校受験では明確な対策が確立されていません。たとえば、お子さんの資質によっても、ご両親の考え方によっても、さらにはお母さんとお子さんの相性によっても、指導方法が変わります。誰かの真似をすればうまくいくというモデルがいません」(宮澤先生)
たとえば、宮澤先生の塾では、「縄跳びで30秒間跳び続ける」というテストがあります。授業中に縄跳びの跳び方は指導されますが、30秒間跳び続けるようになるまでのプロセスは、親と子どもが一緒に乗り越えなくてはいけません。
子どものやる気スイッチを押すための、全員に共通する明確な答えはありませんが、“我が子の性格を熟知した親”や“自身と子どもが同タイプのかた”は、そのやり方を見つけられます。
やる気を引き出す方法を模索するのは確かに大変です。しかし、やる気になる声掛けを見つけられれば、小学校受験準備のみならず、習い事やお手伝いなどさまざまな面で応用することができます。
ただし、子どもは日々成長します。それとともに性質も変化するので、よく観察することが大切です。
































