弟妹ができた上の子へ 赤ちゃんの誕生をみんなで喜べる絵本[絵本の専門家が選出]

子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #4~弟妹ができた上の子へ~

絵本コーディネーター:東條 知美

兄・姉になる意識が自然と芽生える1冊

次にご紹介するのは、『あかちゃんがやってきた』(福音館書店)。作者は、『魔女の宅急便』でおなじみ、角野栄子さんです。

『あかちゃんがやってきた』(作:角野栄子、絵:はたこうしろう/福音館書店)
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主人公は、お母さんから「あかちゃんが うまれるの」と聞かされた「ぼく」。その瞬間から、生まれてくる赤ちゃんにさまざまな想いをめぐらせるのですが、さっそくやきもちを焼いたり、お母さんのお腹に話しかけても返事がないから「本当にいるのかな」と疑ってみたり……。お兄ちゃんになる「ぼく」の素直な気持ちが描かれています。

ある日、赤ちゃんのものを買いに出かけるお母さんについていった「ぼく」は、はりきってお手伝いをします。買うものはベビー服や絵本、おしゃぶりなど、全部で17個! 数字に興味を持ち始めたお子さんなら、絵を見ながら一緒に数えてみるのも楽しいですね。

また、「ほかに足りないものはないかな?」「○○ちゃんが赤ちゃんだったら、何がほしい?」などと、お子さんに相談してみるのもよいでしょう。赤ちゃんが生まれると、どうしても赤ちゃんに時間や気持ちがとられて、上のお子さんに寂しい想いをさせてしまうことがあるかもしれません。

でも、親御さんから“良き相談相手”として頼られているとわかれば、自尊心が満たされて「僕(私)もお母さんの力になれるんだ」と、大きな自信が湧いてくるはず。お兄ちゃんお姉ちゃんという、素晴らしい立場になる意識が自然と芽生える──。そんなきっかけを与えてくれる絵本ではないでしょうか。

そして、とうとう赤ちゃん誕生の日がやってきます。生まれてきたのは、男の子かな、女の子かな──? 続きは、読んでからのお楽しみ。新鮮な驚きのあるラストシーンで、親子で楽しめる1冊です。

絵本の優しい言葉や楽しい絵は、子どもだけでなく、大人をリラックスさせる効果もあります。赤ちゃんのお世話で大変な日々を送るお母さんやお父さんも一緒にわかちあって、家族で素敵な絵本の時間を過ごしてほしい。そうしたメッセージと共に贈ってみてはいかがでしょうか。


取材・文/星野早百合

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とうじょう ともみ

東條 知美

絵本コーディネーター

1973年、新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校、小・中学校図書館などでの勤務を経て、「絵本コーディネーター」の肩書で活動中。 子育てや教育、ジェンダーなどのテーマの下、絵本の可能性と魅力を幅広い世代に伝えながら、全国自治体で課題解決へのヒントを探る講演を行う。各種メディアのほか、バラエティ番組や情報番組にも出演。バンタンデザイン研究所では、絵本作家コースの講師を務める。 公式サイト  https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon/entrylist.html

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1973年、新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校、小・中学校図書館などでの勤務を経て、「絵本コーディネーター」の肩書で活動中。 子育てや教育、ジェンダーなどのテーマの下、絵本の可能性と魅力を幅広い世代に伝えながら、全国自治体で課題解決へのヒントを探る講演を行う。各種メディアのほか、バラエティ番組や情報番組にも出演。バンタンデザイン研究所では、絵本作家コースの講師を務める。 公式サイト  https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon/entrylist.html

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。