
尊い!「初産の出産祝い」に贈りたい絵本 おすすめ3冊[子どもの本専門書店・店長]が選んだワケ
#1 子どもの本のプロが選ぶギフト絵本~初産の出産祝い~
2025.09.01
ブックハウスカフェ店長:茅野 由紀
おすすめは“赤ちゃんに1冊 ママに1冊”
子どもの本の専門店で働いていると「出産祝いには、どんな絵本がいいですか?」とお客様から相談されることがよくあります。そういうときは、予算にもよりますが、「赤ちゃんに1冊、お母さんに1冊、それぞれ贈ってはいかがですか?」とご提案することが多いですね。
出産祝いで赤ちゃんのためのプレゼントを贈る方はたくさんいますが、出産を終えたお母さんを慰労するプレゼントを贈る方は意外と少ないかもしれません。でも、赤ちゃんにとって何より大切なのは、お母さんの心が落ち着き、安定していること。
特に初産の場合、赤ちゃんを守る不安も大きいでしょうし、慣れないことばかりの毎日に大変な想いをされているお母さん。そんなお母さんをいたわるような絵本を贈ることは、まわりまわって赤ちゃんのためにもなると思います。
誰かを想い、絵本を贈るという行為そのものが尊いものです。今回は、そんな視点も踏まえながら「初産の出産祝い」におすすめの3冊を選んでみました。
“おめでとう”の想いが込められた一冊
はじめにご紹介するのは、世界中で愛されているうさこちゃんシリーズの絵本4冊がセットになった『1才からのうさこちゃんの絵本セット』(福音館書店)。

うさこちゃんシリーズの代表作『ちいさなうさこちゃん』は、私も大好きな作品です。赤ちゃんは無条件に愛され、守られる存在であることがとてもやさしく表現されていて“赤ちゃんのための憲法の本”といってもいいくらい。赤ちゃんにとって大事なものがすべて描かれていると思います。
優しいお父さんとお母さんがいて、仕事があって、整えられたお家があって、うさこちゃんが生まれたらお祝いに来てくれるご近所さんがいる。しかも、そのご近所さんたちは、うさこちゃんが疲れていないかを気づかい、そっと帰るような優しさもある──。うさこちゃんをめぐる登場人物たちがみんな、うさこちゃんのことを想い、考えて行動しているのですね。
かわいいイラストと短い文章の中に、赤ちゃんの愛らしさと、生まれてきた赤ちゃんを祝福する“おめでとう”の気持ちがぎゅっと込められています。ページをめくるたびに、あたたかな子育ての情景が浮かんでくるようです。作者であるディック・ブルーナさんの、子どもに対する想いがひしひしと伝わってきます。
「誕生おめでとう」「生まれてきてくれてありがとう」。そんなメッセージを添えて、全赤ちゃんにプレゼントしたい一冊です。