【同居親も別居親も】離婚後に気をつけたい親と子どものメンタルケア

社会福祉士・小森雅子氏「大離婚時代の子どものメンタルケア」#3〜離婚後の生活編〜

「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事・社会福祉士:小森 雅子

同居親・別居親含めて、シングル親はどうあるべきなのでしょう。「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事で社会福祉士の小森雅子氏に聞きました。    写真:アフロ

別居や離婚に伴い、子どもにストレスから起こる変化が見られたら、子どもと同居する親(以下、「同居親」)は何をしたらよいのでしょうか。一方、離れて暮らす親(以下、「別居親」)はどのような配慮をすればよいのか。

離婚前・離婚後の親の相談を受けているNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事で社会福祉士の小森雅子さんに、アドバイスをいただきました。

赤ちゃん返りや登園しぶりをする我が子に親ができること

離婚に伴い、転園や転校をせざるを得ないケースも多いです。すると、子どもは親しい親との別れ、初めて出会うお友達への緊張感などで、少なからずストレスを感じます。

それにより、同居親のそばを離れたがらず登園しぶりをする、赤ちゃん返りをする、といった反応を起こすこともよく聞かれます。これはごく自然な現象です。

とはいえ同居親は仕事や手続きなどで忙しいので、対応に困ることもあるでしょう。「もういい年なのに」と思うかもしれません。

でもその気持ちをぐっとのみこみ、甘えてきたら甘えさせたほうがいいかもしれません。お子さんの年齢にもよりますが、スキンシップで気持ちが安定することもあります。

悩ましいのは、別居や離婚後に子どもが暴力的になったというケース。親は、離別の影響ではないかとすごく心配されますが、子どもによっては、同居中から受けていたストレスが、別居によって安全になったから外に出てくる場合もあるそうです。

親としてなんとかしてあげたいけれど、あまりに暴力的だとこちらもつらいし心配になりますよね。そんな時は、一人で抱えこまないで、子どもの心の専門家に相談することをおすすめします。

まず一番身近なところとして、スクールカウンセラーや子育て支援センター、小児科医に相談してみるのも一つの方法です。

子どもの気持ちを受け止められない同居親は

別居や離婚後に子どもを育てている同居親から、「子どもと向き合える心のゆとりがない」というご相談もあります。

よく伝えるのは、まず親自身が精神的に安定していることが大切だということ。自分のことは後回しにして子どもを第一に、と考えがちですが、それではうまくいかないこともあります。

親自身が心に余裕を持ち、受け皿を深くしないと、子どもからの大量な言葉や質問をキャッチできませんし、「今は忙しいの! あとにして!」と跳ねつけてしまいかねない。

とりわけ、思い出したくない元パートナーのことを子どもから切り出されたとき、親自身の傷口が回復していないと、受け止めることはできませんよね。傷は深いほど、回復に時間がかかるもの。

中には、元パートナーから何年間にもわたり「お前なんか社会のクズだ」などと人格を否定され続けて、仕事や育児に取り組めないほどダメージを受けている人もいます。

精神面も含めて、自分がDVを受けてきたかもしれないと思う人、現在もモラハラなどが続いていると感じる人は、各都道府県にある配偶者暴力相談支援センターに相談することができます。

心のケアは時間が解決するのを待つしかないのか、というとそうでもありません。離婚前後の親子の心のケアを行う団体で、情報を得るのも一つの方法です。

例えば、私たちが連携している団体に、メンタルケアも行うNPO法人「レジリエンス」(※1)や「Saya-Saya(さやさや)」(※2)などがあります。ここではDV被害を始め、心に傷を負う人に対して、講座やグループセッションを通じて心のケアに取り組んでいます。
※1=レジリエンス
※2=Saya-Saya(さやさや)

子どもが別居親の話をしても、受け入れられない。つらい思い出がよみがえったり、悪夢を見たりする。それによって気持ちが不安定になってしまい、子どもにも寛大に接することができないという同居親は、自分を責めるのではなく、「まだ自分の心が元気ではないのかもしれない」と、自分自身をケアしてあげて。

親が元気になって笑顔も増えれば、子どもの表情も変わってくるはずです。

別居親が離れて暮らす子どものためにできること

一方、別居親は、面会交流の際は次のことを念頭に置いておくといいでしょう。

まず、同居親・別居親のコミュニケーションがうまくいっていると、子どもの気持ちも安定します。同居親を批判したりすることがないように気をつけてください。

そして子どもと会う日は、特別なことをしようと気負わなくても大丈夫。別居親と会うだけでもお子さんにとっては特別な日なのです。

プレゼントやおこづかいをあげたくなる気持ちも分かりますが、同居親にも育児方針や事情があるかもしれません。まずは同居親に相談してからにしましょう。

同様に、最近の子どもの健康状態、食べ物や生活面などで気をつけることも、同居親と共有するとベターです。

就寝時間や食事時間など、ひとつひとつは小さなことに思えても、週明けからの保育園や学校生活に影響を与えることがあります。お子さんがつらい思いをするので、ふだんの生活と大きくずれないようにしてあげて。

子どもは会うたびにどんどん成長しているように感じられるでしょう。子どもは体とともに精神面も発達しています。

特に思春期は、同居親ともろくに会話しない時期があったりします。そんな時期の別居親は、会うことを無理強いしたりしないで見守ったほうがいいこともあります。ぜひ大人になってもつきあえる関係をめざしてほしいものです。

次のページへ 一人二役より「斜めの関係」を築こう
14 件