【同居親も別居親も】離婚後に気をつけたい親と子どものメンタルケア

社会福祉士・小森雅子氏「大離婚時代の子どものメンタルケア」#3〜離婚後の生活編〜

「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事・社会福祉士:小森 雅子

「生活の質を落とさなきゃいけない」と思う前に考えたいこと

別居や離婚によって、「生活の質が落ちるのでは?」という心配もよくあります。そんな方に良くお話するのは、優先順位をつけること。

何もかもが元通りで、さらにプラスになるケースはめったにありません。経済面、時間面、子どもの教育環境で、いろいろと見直しが必要になってきます。その中で、いかに優先順位をつけていくかが大事になっています。

例えば「どうしても習い事を同じ環境で続けたい」という場合は、【同じ環境】にとらわれ過ぎず、身近に同じような体験ができるところはないか探してみてはどうでしょうか。

「公民館で開催されている囲碁サークルに参加したら、近所のおじいちゃんたちにかわいがられて、地域でもたくさんお友達ができてよかった。さらに習い事代もとても安くなった」という声もあるんですよ。

「今までできていたことができなくなる」という視点ではなく、もう一回見直してみると、案外、そこからまた新たな展開があるかもしれません。

同居親は、知恵と情報と時間を駆使して子どもを安価な習い事に通わせたり、一生懸命、工夫する方も多いです。ときには、そうした習い事が土・日曜日に入ることもあるでしょう。

小学校高学年になると、さらに子どもは習い事や部活、勉強などで忙しくなり、必然的に、別居親に会いたくても時間を割くことが難しくなってきます。別居親は、こうした事情も踏まえて、子どもと過ごす時間を調整していくといいですね。

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事の小森雅子さん。 Zoom取材にて

周りのパパ・ママも巻き込んで「斜めの関係性」を

離婚後、ひとり親になったかたからよく聞かれるのが「一人二役でがんばらなきゃ!」という声。でもね。どちらか一役でも、大丈夫です。

パパ・ママの代わりになる人を見つければいいだけ。ママ友・パパ友の中には、「子どもが多い方が楽しいから」と家族ぐるみで一緒に遊んでくれる人もいるかもしれません。

そのためには、ひとりで子育てしていると伝えた方が便利なこともあります。実は自分が思っているより、ひとり親は結構身近にいて、カミングアウトをしたら「あなたもそうなの?」といった反応が返ってきたという話はよく聞きます。

皆さん声高に「自分はひとり親だ」と告知し回るわけではないので、わからないだけで結構いるんです。厚生労働省の統計(※1)によると、2020年は年間52万5509件の婚姻件数に対し、離婚件数は年間19万3253件。
※1=令和2年(2020年)人口動態統計(確定数)の概況

そのうち未成年の子がいる夫婦の離婚は、11万1335件。結婚して子どもを持ったカップルの5組に1組は離婚しているわけですから、地域差はありますが、クラスに数名いる可能性もあるでしょう。

今は昔よりも離婚が身近なものになってきています。なにもかもを自分ひとりで背負い込もうとしないで、まわりを頼ってください。

1時間800円など、民間より安価な価格で子どもの見守りを頼める「ファミリー・サポート・センター」事業を始め、子どもをお泊まり付きで短期間預けられる「ショートステイ」、夜間に預けられる「トワイライトステイ」、さらには、ひとり親になって2年以内など一定期間、家事のお手伝いを定期的にお願いできる「ホームヘルパー」サービスを提供する自治体もあります。こうした制度が身近にあれば活用も考えてみてはいかがでしょうか。

今、子育てにおいて、「斜めの関係」が大事だと言われています。家庭の中だけでない、自分の親ではない大人と多様な関係性を築いていくことは、子どもの人生を豊かにしていきます。

いろいろな選択肢を用意して、それによって親が心身ともに健康でいられて、子どもに優しくできる心の余裕も生まれれば、親子ともにうれしいことですよね。こうした道筋を立てていければ、おおむね子どもも健やかに育つはずです。

小森 雅子(こもり・まさこ)
認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事。社会福祉士。自身も子どもが3歳の時に離婚。2018年よりひとり親の支援に携わってきた。

取材・文/桜田容子

※「大離婚時代の子どものメンタルケア」は全3回です。
#2【別居・離婚を決意】子どもへの伝え方と絶対言ってはいけないこと
#1【悩んでいるパパママ必読】別居・離婚の子どもへの影響をどう考えるか

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こもり まさこ

小森 雅子

「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事・社会福祉士

認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事。社会福祉士。同団体ではメール相談のほか、電話にて火曜日と木曜日の週2回、16時から21時まで離婚前後の相談を受けている。自身も子どもが3歳の時に離婚。2018年よりひとり親の支援に携わってきた。同団体による子そだてシングルの応援サイト「イーヨ」では、ひとり親の体験談も読める。 認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 子そだてシングルの応援サイト「イーヨ」

認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事。社会福祉士。同団体ではメール相談のほか、電話にて火曜日と木曜日の週2回、16時から21時まで離婚前後の相談を受けている。自身も子どもが3歳の時に離婚。2018年よりひとり親の支援に携わってきた。同団体による子そだてシングルの応援サイト「イーヨ」では、ひとり親の体験談も読める。 認定NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 子そだてシングルの応援サイト「イーヨ」

さくらだ ようこ

桜田 容子

ライター

ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。

ライター。主に女性誌やウェブメディアで、女性の生き方、子育て、マネー分野などの取材・執筆を行う。2014年生まれの男児のママ。息子に揚げ足を取られてばかりの日々で、子育て・仕事・家事と、力戦奮闘している。