【医療的ケア児】の子育て 病院から“卒業”して自宅へ 生活はどう変わる?【国立成育医療研究センター・専門医が解説】

小児科医・余谷暢之先生インタビュー (3/4) 1ページ目に戻る

医療的ケア児・慢性疾患児の子育てをめぐる支援

こうした在宅支援を後押しするのが、2021年(令和3年)に公布・施行された「医療的ケア児支援法」です。

この法律で、各都道府県に「医療的ケア児支援センター」が設置されました。

そこには介護のケアマネジャーのような役割を担う専門家がいて、病院から自宅へ移る際、親子が医療支援とともに生活できるよう、サポートしてくれる仕組みが整ったのです。

「地域差はありますが、この法律によって、医療的ケア児の子育てに伴走する地域のリソースが増えてきています」(余谷先生)

医療面で特有の個性を持つ子どもの子育てにも、困ったときに相談できる地域の拠点がある。これは令和の子育て環境の、一つの大きな進歩といえます。

「医療的ケア児を育てる親たちが、ネットやSNSで、体験談や情報を発信する機会も増えました。そこから、同じ悩みを持つ仲間とつながり支え合う『ピアサポート(当事者同士の支え合い)』の輪も広がっています」(余谷先生)

実際の家族の生活

医師・看護師が常駐する病院から、親子が日常を営む自宅へ。環境の変化は小さくはありませんが、家族や地域とつながりながら、親子はそれぞれに生活をリビルド(再構築・立て直し)していきます。

「退院後の2週間から1ヵ月は親御さんが余裕を持てず、これからの不安や医療面での心配を多く相談されます。ですがお世話や地域での生活が定着していくと、その不安や心配は、段階を経て減っていきます」(余谷先生)

余谷先生は経験から、「子どもたちの状態は、家に帰ると多くの場合で良い方向へ変化する」と話します。

「入院中の子どもたちはどうしても、『病院にたくさんいる子のひとり』になってしまいます。ですが自分の家では『その家の子ども』として生活する。家族やきょうだいから刺激を受ける家の環境で、子どもたちにはこちらの想像を超える成長を遂げていきます」(余谷先生)

家庭からさらに学校や地域に出ると、その子なりの強みやキャラクターで、場にポジティブな変化をもたらすことも。その実例を、余谷先生ご自身も多く知っています。

親の働き方は どうなる?

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