こどもの日が教えてくれた「妹の性自認」 親として大切にしている子どもの性別への感覚

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女の子のお祭りと男の子のお祭り

父は子育てに無頓着で、妹に対しても私に対しても、あまり関心を示さない人でした。母は、娘たちの好みが違うと思いながらも、私には「女の子っぽいもの」を、妹には「男の子っぽいもの」を、それぞれ買い与えてくれていた記憶があります。

また母は季節の行事を大切にする人で、わが家にはいつも季節に応じた花や人形が飾られていました。

ひな祭りの季節、私は自宅のひな人形をうっとりした気持ちで眺め、「私もあんなきれいな服を着たいなあ」と思っていました。

一方の妹は、ひな人形にはとくに関心を示しませんでした。母や祖母から「ひな祭りは女の子のお祭りよ」と言われても、「ふ~ん」と他人事。家のインテリアとして、ぼんやり眺めているだけのように見えました。

けれど、祖母が「こどもの日は男の子のお祭りだから、鯉のぼりを飾るのよ」と話したとき、妹はそれまでとは違う強い興味を示したのです。

写真:KeyRabbits/イメージマート
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「なんでうちには鯉のぼりがないの?」

こどもの日が近づいたころのこと。私が妹と近所を歩いていると、お隣の家に鯉のぼりがあがっているのが見えました。空を泳ぐ大きな鯉のぼりを見上げながら、妹が私に尋ねます。

「お姉ちゃん、なんでうちには鯉のぼりがないの?」

一瞬、私は、妹から何を聞かれているのかがわかりませんでした。鯉のぼりは男の子が生まれたら飾るもの。だから、うちには鯉のぼりがなくて当たり前です。私は「うちには女の子しかいないからでしょ」と答えようとしました。

すると、妹がこう言ったのです。

「うちにも鯉のぼりがないとおかしいよね。なんで買ってくれないんだろう」

その言葉を聞いて、私はようやく気づきました。妹の中には「自分は男の子なのかもしれない」という感覚があるのだと。だからこそ、うちに鯉のぼりがないことを不思議に思ったのでしょう。

私が「自分は女の子」だと受け止めていたように、幼かった妹もまた、自分なりの感覚で「私は男の子なのかもしれない」と感じていたのだと思います。こどもの日の出来事は、私がそのことに初めて気づいた瞬間でした。

姉がやめた「女の子でしょ」という言葉

鯉のぼりのことがあって以来、私は妹に「女の子でしょ」と言わなくなりました。以前は、妹の「男の子っぽい」ところを見るたびに、教えなければならないような気がしていました 。

けれど、あの出来事のあと、「女の子でしょ」と言ってしまうのは、妹にとってつらいことなのかもしれないと思うようになりました。だからといって、どう受け止めればいいのか、どう接すればいいのかがわかったわけでもありません。私はただ、以前のようには何も言えなくなったのです。

「私、女の子だったんだね」と妹がつぶやいた日

明かされた妹の本音……
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