「中学受験伴走(2024年度)」したママ教育ジャーナリストが明かす「4年生:リアルロードマップ」

リアル中学受験伴走レポ #1 ~中学受験すると決めたとき4年生編~

教育ジャーナリスト:佐野 倫子

「中学受験の親」は、何をすればいいのでしょうか?  教育ジャーナリスト・佐野倫子さんに詳しく語っていただきました。  写真:KUMI/イメージマート

2024年の首都圏受験率は18.1%と過去最高を記録(首都圏模試センター調べ)

また東京都が2024年度から私立高校の授業料実質無償化を発表しました。これまであった支援対象世帯の所得制限を撤廃することで、恩恵を受ける世帯も多いでしょう。私学の受験戦線にも影響を与えるとみられています。

まだまだ沈静化、とはいかない令和の中学受験について、今回は2024年2月に長男の中学受験を終え、さらに4年後には次男の中学受験も控えているという、教育ジャーナリストの佐野倫子さんに、「伴走(サポート)」から気づいた、「中受リアルロードマップ」を語っていただきました。

1回目は、中学受験をすると決めた4年生の具体的な親の伴走についてです。

(全3回の1回目)

佐野倫子(さの・みちこ)
東京生まれ、早稲田大学卒。航空業界・出版社勤務を経て作家・教育ジャーナリストに。主な著書に『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(共にイカロス出版)。2人の男の子の母。

わずか12歳で勝負する中学受験の特徴とは?

教育ジャーナリストの佐野倫子です。

2024年2月、長男の中学受験の伴走を終え、冗談ではなく10歳以上老けました……。これまで中学受験に関して、数多くの取材をしてきましたが、実際に『中学受験親』として息子の伴走をしてみると、予想以上にそれはハードで。

そこで、私の実体験をお伝えし、これから中学受験へ臨むご家庭の参考になれば幸いです。

まず、中学受験を始める理由は各ご家庭それぞれかと思います。受験を検討している方のなかには、「中高一貫校でいい教育が受けられそうだけど、高額になるとも聞くし、親のサポートも大変そう……」と迷われている方もいるでしょう。

我が家の場合も、長男は中学受験をしましたが、まだ小学校低学年の次男は高校受験も検討しています。その理由は、ずばり「本人の特性と性質」。

ざっくりと、あえて乱暴な言い方をすれば、中学受験はわずか12歳での勝負となるため、精神的に早熟な子のほうがスムーズにいきます。生まれ月の影響もあるかと思います。

また、中学受験は子どもにとって4科目ほぼ初めて習うことを3年間積み重ねる必要があり、最終的には、入試本番では大人でも解けないような問題に挑むことになります。つまり、習ったことをどんどん習得できる能力の差が出やすい入試というわけです。

そして相反するようですが、コツコツ積み重ねることができるかどうかが、大きな勝負の分かれ道。どんなに頭のいい子でも、基本の反復や知識の暗記を積み重ねることができなければ太刀打ちできません。中学受験は「地頭」だけで乗り切れるほど甘くもないのです。

中学受験は検討する「価値」がある

私自身も、中学受験を経験したためメリットも知っているつもりです。中高6年一貫教育は落ち着いた環境でじっくりと勉強や部活に取り組むことができますし、大学受験に向けたカリキュラムが充実している学校も多いでしょう。

学校では、将来の夢に向けてさまざまな講演や講座が用意されていて、刺激を受ける機会も多いと思います。同じ環境に魅力を感じて集ってきた仲間との青春は、かけがえのない絆になるでしょう。

もしも教育資金の目途がたつならば、私は、中学受験という選択肢は「検討する価値がある」と思っています。

4年生の親の伴走ポイントとマインドセット

検討したうえで、中学受験を決めたとき、多くのご家庭がまず門を叩くのは、大手進学塾ではないでしょうか。

大手進学塾の中学受験対策は、新4年生(3年生2月)から本格化します。そこで、4年生で親がサポートすべきところ、タスクはどのようなものがあるのかをお伝えしたいと思います。我が家の経験、また受験を終えたばかりの方々にインタビューをした結果をまとめてみました。

4年生「親の伴走ポイント」とマインドセット

・計算・漢字・暗記に毎日少しずつ取り組む習慣づけ
・毎週のカリキュラムを丁寧に復習するように意識づけ
・時間があるうちに親子で学校見学
・生活にメリハリをつけることを意識

正直、と~っても絞りこみました! もしかすると「え? それだけ?」と思うかもしれません。例えば計算や漢字が大切なのはもちろんですが、そんなことで中学受験がうまくいくの? と。

しかし、私も含めて周囲の中受を終えた保護者が共通して感じたことは「家庭教師や直前の個別指導の重課金よりも、毎日のコツコツを大事にしたほうが効果が高い」ということ。

しかし、これがなかなかできないんですよね。だって小学生だもの……。だからこそ、中学受験には親の伴走が必要なわけなのです。

そしてこの習慣づけは、4年生のうちからが大切となってきます。例えば、朝15分の勉強習慣だけでも続ける、など。早めに「勉強をする」軌道に乗ってしまうことが3年後の合格につながってくるのです。

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