リアルレポート「現役東大生35人に聞きました! わたしの中学受験」 合格発表・総括編

新連載小説『受験精が来た!』コラボ企画 #13

真田 涼

写真:アフロ

塾では、一足早く、新学年がスタートしました! そこで中学受験を経験した現役東大生に緊急アンケートを実施しました。解説するのは、中学受験をテーマにした「受験精が来た!」で第5回青い鳥文庫小説賞 銀賞を受賞した著者の真田 涼先生。今回のテーマは試験当日のトラブルについてです。

真田涼先生の第5回青い鳥文庫小説賞銀賞受賞作『受験精が来た!』が電子書籍で絶賛発売中

みなさん、こんにちは!コクリコで小説『受験精が来た!』を連載させていただいた 真田涼です。

中学受験生の親として実際に体験したリアルな情報や驚きの真実、お子さんの成績アップに直結する塾では教えてくれない&巷の受験本やサイトには書かれていないお役立ち情報・裏ワザが満載の、面白くてやる気が出る作品です。

コラボ企画としてアンケートで集めた、中学受験経験のある東大生35人のフレッシュな情報とともに、これから中学受験を考えている方、今まさに通塾や勉強法で悩んでる方、みなさんのヒントになるコラムをお届けします。

最終回:中学受験 ~合格発表・総括編~

これまで書かせていただきましたこのコラムも最終章の合格発表・総括編となりました。長い準備期間と大変な労力をかけ取り組んできた、中学受験のその結果が明らかになる合格発表。

どんな結果であれ、家族全員で一緒に受け止めてあげたい。家族の歴史に残る、特別な一日です。まずはいつものように東大生が中学受験のときどんな合格発表を迎えたのか、アンケートを一つ一つ見ていきましょう。

*何校合格しましたか?(同じ学校を2回受験した場合は、2校とカウントします)

グラフのスタート位置は3時より(Googleフォームで作成。以下同)

このグラフを見る限り1校のみと答えた方は約5%。ほとんどの方が複数校の合格を勝ち取っています。

これまでに触れてきた前受け校などの合格や、本命校が残念だった場合に進学する学校を受験したり、あるいは本命校に複数回受験の機会があったりなど、さまざまなケースが考えられます。このグラフでは中学受験のときにすべて不合格になってしまった方はいませんでした。

合格発表は、今はほぼすべての学校がホームページ上で行います。併せて校内掲示による発表を行う学校もありますが、どちらかというとセレモニー的なもののようです。

学校の中には試験当日の夜にホームページ上で発表してくれるところもあります。入試の出願を試験前日まで受け付けてくれる学校もあり、入試の結果によっては急いで別の学校の入試を申し込んだりする必要も出てきます。

*進学した中学校は?

約7割の方が第一志望に進むことができたようです。一般には第一志望に進める方は約3割と言われていますので、これはかなり高い数字と言えます。一方で約3割の方はそうではない学校に入学したとも言えます。

第一志望に合格できた方はおめでとうございます、で良いのですがそうではなかったケースについて触れたいと思います。第一志望の学校は比較的入試日が早いことが多く、ここで良い結果が得られなかったことで、親子ともども追い詰められてしまい非常につらい日々を過ごす方がいます。

そのためにはこれまでも触れてきましたが「合格発表」についても、親は『心の避難訓練』をしておく必要がある、と思います。
第一志望が落ちた場合には、第二志望に行く可能性がある。あるいはその先も落ちれば第三、第四……違う学校に行く可能性がある。以前も触れましたがどんなに勉強ができる子でも、しっかりして大人びた子でも、まだ大人のような広い視野は持ち合わせていません。

むしろ中学受験をするような真面目で優秀な子たちは、『失敗の経験値』が不足しているとも言えます。子どもたちは純粋です。誰もが(たとえ傍から見たら無謀に覚えたとしても)第一志望の合格を信じて突き進みます。まだ12年しか生きていなくて圧倒的に「失敗」の体験が無いのです。

そして塾も親も子どもたち同士も、第一志望がいかに素晴らしくて挑戦する意味があるかということを日々お互いに説き続けます。それは間違っていることではありません。そのときについ第二志望やそれ以下の志望校を軽く言ってしまうことがあります。しかしそれは絶対に避けなければなりません。

でも自分自身の体験も含めてですが、それが本当に難しいことなのです。わが子の頑張りを最大限サポートしたい、励ましたいと思うあまり、つい「第一志望の素晴らしさ」を熱く語り、そしてそれ以下の学校は「まあ、あそこだって十分すごい学校だよ」などと言ってしまうのです。私自身を省みればもっと至らない表現をしたこともあります。

でも考えてみていただきたい。先程「一般的に第一志望に合格できるのは約3割」とサラッと書きました。逆に言うと7割の方は第二志望以下に進むのです。多数派はこちらなのです。だからこそ第二志望以下の学校の扱いは、すごく丁寧に注意しながら行うべきです。

自分自身の反省も込めてとても困難なことなのですが、親として今まで生きてきた経験値を活かし、第一志望に挑戦することをサポートしながら、でも第二志望以下の学校の魅力も必ず併せて語る。そしてそれは「第一志望の不合格が分かったその瞬間」から手のひら返しに行っても遅いのです。

真面目な子どもほど親の期待に応えられなかったことを申し訳なく思い、恥じてさえいます。試験の不合格がわかって一番悲しい思いをしているのは本人なのに。そして次の日も、ひょっとしたらその次の日も夜の明けないうちに起きて第二志望以下の入試に向かうことになります。

それは「今日この瞬間から」急に魅力があることになった、でも本当は親もがっかりしている学校なのです。そんな思いを抱えて試験を受け続けることはつらすぎます。

さらにつらいのが、それがどんな結果であっても、小学校に行かなければならないのです。小学6年生は、子どもです。受験した子もしない子も、合否が気になり、「お前、どうだった?」「○○は御三家受かったんだって!」「◇◇は全落ちだったらしいよ」そんな会話が飛び交います。大人の世界と違って、そこは、ある意味とても残酷な世界です。

全力で頑張ってきたことについては、たとえ思うような結果が得られなくてもそれは必ず成長の糧になります。しかし、12歳という多感な時期のお子さんの多くは、まだそれを受け入れる余裕がありません。

一時的であっても、合格できなかったことは、心に傷をつけてしまうこともあります。では、我が子が第一志望に合格しなかった場合には、親はどのような対応をしたら良いのでしょうか?

 まずは、第一志望校にはない、進学先の学校の良い所をたくさん伝えてください。

「ICT教育に力を入れている」「交換留学制度がある」「理科実験に力を入れている」「体験学習が多い」「家から近い」「マイナーな部活がある」「生徒会が盛ん」「修学旅行の行き先を生徒たちが決める」「校則があまりない」「給食がある」「制服がかわいい」「プールがある(またはない)」などなど。

探せば結構あります。家から近ければ、その分の時間を習い事に充てることもできますし、水泳が苦手なお子さんには、プールがないこともメリットだったりもします。親子で進学先の良い所をたくさん探して、ワクワクしながら進学の準備をしてください。そうすれば、次第に心の傷は消えていきます。

小説『受験精が来た!』でも本命で思うような結果が得られず、試験を受け続ける子どもの姿も描きました。結果がどうあれ、そう悪いことはない。

ここで私自身のことを書かせていただきます。私は、はるか昔中学受験をし、すべての学校に不合格になりました。そして地元の公立中学校に進学しました。一緒に私の第一志望を受験した私より成績が低かった友人たちはみな合格し、仲間の中でただ一人公立に行きました。

今の言葉で言えば「残念組」というやつです。全て不合格だったということが分かった瞬間、地の底が抜けるような感じがしたことは今でも鮮明に覚えています。その出来事は私に大きな影響を与えたと思います。でも悪いことばかりではなかったと思います。結果はどうあれ、必ずそこから得られることはあります。そしてやっぱり皆さんには合格の喜びを味わってほしいです!

最後はアンケートで集めた東大生たちの生の声で締めたいと思います!!

現役東大生が贈るエール!!

Q.最後に、東大生から中学受験生に何かアドバイスをお願いします。

・中学受験はあくまで選択肢の1つ程度に思っておけばOK。無理に受験しなくてもいいと思います。

・第一志望じゃなくても、後から振り返ると自分に合っていたという事例はたくさんあります。どの学校に進学することになってもそこでの学校生活を楽しんでください!

・受験したくないならしないほうがいいです。親の希望ではなく自分の意志で受験を決めましょう。

・中受するなら、小学校で作った友達との連絡を保ち続けるべきです。

・やらせられるうちに(自我が強くなる前に)できる中学受験は親の頑張りの面が大きいですが、子としては圧倒的に楽だと思います。頑張ってください!

・自分の好きなように、行きたいところを目指してください! 中学受験だけで人生は決まらないので、気楽に、でも自信持って頑張ってください!

・時には休むこともすごい大事だと思います! 自分を信じて最後まで頑張って!

・私は男子校に行ったら異性とのコミュニケーションが不可能になりました。中学受験で進む中高一貫校などはOBと学校のつながりが強く、いろいろな業界の話を聞くなどできる機会は多くなるので、「何かしたいけどどこに行こうかな」みたいな、行動したいけど何するか決めてない人は受験してください。ただ、なんとなく中学(高校)生活を過ごしたいなら受験しないほうが幸せです。中学受験して変わるのは周囲の環境だけです。何となく過ごしてるとたいてい何も得られず終わります。

・塾の言うとおりにしてれば受かることもあります。

・頑張れば報われる。最後は気持ちです。

・中学受験はあくまでも通過点。

・中学受験は通過点と言われがちだし、実際高校受験組の東大生もたくさんいます。しかし一生のうちである目標に向けて死ぬほど頑張る機会もそう多くないです。ですから是非君の中学受験を、「全力で頑張ったから達成した」「全力で頑張っても届かなかった」という有益な成功体験、ないし挫折体験にしてください。

・中学受験は差が出にくくチャンスだと思う。1~2年本気で勉強すればどこへでも行けると思うので、遊びたい盛りかもしれないが中学受験がおすすめ。

【そして小説『受験精が来た!』です】
ここまで13回にわたって実際の現役東大生が体験した中学受験のデータ、私が親として見聞きした肌感覚の体験や臨床心理士としての知識などを元に、中学受験についてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?

小説『受験精が来た!』はこれまで全く受験に興味のなかった小6の女の子が、いきなり現れた毒舌のイケメン妖精・受験精の助けを借りながら第一志望校合格を目指すお話です。小学生が読んでも笑って楽しめる内容ですが、ここに書いた超リアルな中学受験は、本当の情報が満載です。

そしてちょっとした気づきでグッとケアレスミスが減る方法や各科目をできるだけ無駄を省いて楽しく効果的に勉強するヒントなどを『26条の受憲法』としてまとめてあります。今回のコラムで取り上げた合格発表にまつわるエピソードも書かれています。

親子で夫婦でお子さん自身で、これから受験を考えている人も、いま受験でくたびれ気味だよって人も、受験をするか迷っている人も、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

さなだ りょう

真田 涼

小説家・臨床心理士・公認心理師

小説家、臨床心理士・公認心理師 公認心理師協会 理事 RinDa臨床心理士ルーム 代表 長男長女2児の親 HP:https:/...