リアルレポート「現役東大生35人に聞きました! わたしの中学受験」 塾の活用方法・講座選びのコツ

新連載小説『受験精が来た!』コラボ企画 #3

真田 涼

写真:アフロ

まもなく中学受験のシーズンが到来! そこで中学受験を経験した現役東大生に緊急アンケートを実施した。解説するのは、中学受験をテーマにした「受験精が来た!」で第5回青い鳥文庫小説賞 銀賞を受賞した著者の真田 涼先生。今回のテーマは塾! 選び方から活用法、意外な落とし穴など塾のリアルをレポートします!

真田涼先生の第5回青い鳥文庫小説賞銀賞受賞作『受験精が来た!』が電子書籍で絶賛発売中!!

みなさん、こんにちは! 真田涼です。コクリコで小説『受験精が来た!』の連載が始まります。中学受験生の親として実際に体験したリアルな情報や驚きの真実、お子さんの成績アップに直結する塾では教えてくれない&巷の受験本やサイトには書かれていないお役立ち情報・裏ワザが満載の、面白くてやる気が出る作品です。

コラボ企画としてアンケートで集めた、中学受験経験のある東大生35人のフレッシュな情報とともに、これから中学受験を考えている方、今まさに通塾や勉強法で悩んでる方、みなさんのヒントになるコラムをお届けします。

第3回:中学受験 ~塾の活用方法・講座選び編~

今回は「塾の活用方法・講座選び編」です。前回はどんな塾を選ぶのかということを書かせていただきましたが、さらに一歩進んで塾との付き合い方についてお伝えしたいことがあります。

それは必ずしも塾の用意したカリキュラム・講習のセットを鵜吞みにする必要はない、ということです。

洋服を買いに行ったときに、店員に勧められるがままに全身コーディネートをする人はあまりいませんよね? でもこれが塾、となったとたんに思考停止になってしまい、言われるがままに取ってしまいがちになります。

例えばですが4科目の学校を受験するとしても、果たして夏期講習で4科目を受講する必要が本当にあるのか? 各家庭・お子さんの事情によるとは思いますが、夏期講習のテキストを見た場合、往々にして問題を解いてその場で添削するなどの授業になっていることが多いです。

しかし、まだインプットがあやふやの状態の子どもにそのタイプの授業をしても「やっぱり全然わかってない、ってことがわかったね」ということに終始してしまいます。

そうであれば思い切って国算2科目にして、早めに帰ってきて、十分な休息を取りながら、気持ちに余裕をもってまずは基礎的な知識を入れたほうが精神的・体力的にもはるかに成果が上がる可能性があります。

*賢い消費者目線で塾を有効利用!

塾がおすすめするオプション講座(通常のカリキュラム以外に個人が追加で申し込む講座)も本当に有効なのでしょうか? もともと苦手な科目のオプション講座などは受講する前に特によく中身を見る必要があります。

その講座を取ることでどういうメリットが期待できるのか、また、どんな学力層を対象としているのか。授業で教わった内容を数値替えしているだけということはないか? ならば一度解いた問題を復習したほうがはるかに効果が上がるかもしれません。あるいは極端に基礎的な問題ばかりで時間の浪費に過ぎない、ということはないか? 

時間やお金を掛けることで「なんかできた感」が刹那感じられる、またはそう信じ込みたいが、実際はそのような問題は志望校では出ない、あるいはそのオプションでやらずともすでにできている、我が子の学力との乖離は(上にも下にも)ないか。すべてのオプションがムダだとは言いません。

ただ、中身を見てから決めることは悪いことではないはずです。スーパーでお刺身を買うときだって確かめて買います。マグロとサーモンだけを買いたい。家には余った鯛のお刺身がある、ブリは苦手。だったら、どんなにおススメされても、鯛もブリも入ってるお刺身セットは買いませんよね。

それと同じで、塾に対して賢い消費者になることは全然悪いことではないと思うのです。我が子にとって本当に必要かどうかを見極めましょう。

*志望校別特訓クラスを受ける意味とは?

もう一つ、6年の秋くらいから各塾で始まるさまざまな「志望校別特訓クラス」にも触れます。これはいわゆる難関校を受ける方はマストで取るべき講座ですが、注意が必要です。いわゆる御三家や大学付属校など各学校ごとに分かれて設定されていますが、必ず単独の学校のみの「志望校別特訓クラス」を受講してください。

A校ならA校のみを対象としたクラス、という意味です。たまにあるのが「志望校別クラス」をうたいながら、実際は同偏差値帯の4~5校の学校を抱き合わせで「志望校別」としてクラス編成している塾があります。これはまったく受ける意味がありません。

「志望校別」とわざわざくくるからには、その学校独特の問題傾向・解法パターンを徹底的に身に着けてカスタマイズするノウハウを得るために受講するのです。取りあえずざっと偏差値60に必要な学力をつけちゃおう、みたいなのん気な気分で受けるのではありません。

ただでさえ時間がないのに、その時期に受けもしない学校の対策をする必要はありません。戦略を身に着けることを目的として受けるものであり、その戦略は学校ごとに大きく違います。その精度は対象を絞り込んでこそ効果があがるものです。

また土曜日などを利用して「土曜特訓総復習講座」的なものを組み込んでくる塾もよく見かけます。これも本当に必要なものか、考えてから受講すべきです。「総」復習ですから、その子が得意な単元も含まれてくる可能性があります。でも貴重な時間を削って、わかっていることの確認をする必要があるのでしょうか? 

同じことを書きますが、6年の秋になって、取りあえずざっと偏差値60に必要な学力をつけちゃおう、みたいなのん気なことをやる余裕はないと思います。

受験は行きたい学校に入るためのプロジェクトであり、そのためには今持っているリソース(学力)を最大限引き上げ、ある部分は見切りをつけながら、対象(志望校の過去問など)を徹底的に研究して、勝つために行うことと言えると思います。勉強ができる、ということのみを目的とするならば、受験というイベントを選択する必要はありません。

無用なものを外すことの最大のメリットは、その分の精神的・肉体的(そして親にとっては金銭的)な余裕が生まれることです。この時期は、いろいろなことをやらせる足し算ではなく、余計なものをカットする引き算が鍵になります!

その講座を受ける意味は何か? 子どもの現状と目指すゴールの両方に気を配りながら、塾の言いなりにならず本当に必要な講座を厳選することで、子どもの負担を軽くしていきたいものです。

【そして小説『受験精が来た!』です】

今回は現役東大生が実際に体験した中学受験のデータ、私が親として見聞きした肌感覚や臨床心理士としての知識などを元に、塾との付き合い方についてみてきました。いかがだったでしょうか?

いささか塾に対してネガティブとも取れる情報をあげてきましたが、私は塾に通うこと自体を否定するものではありません。塾の先生方は本当に親身になって教えてくださいますし、その教え方は多くの経験を経て練り上げられています。ただ各家庭・各子どもによって目指すところが違うのだから、戦略も同じではないはずです。私たち保護者が塾を賢く活用できたらいいなと考え、この記事を書きました。

さしたるビジョン・目的もないまま、着地点のイメージもなく塾の先生の貴重な時間を奪ってクレーマー的に自分の不安をぶつける、といった行為は自戒の念も込めて避けていきたいなと考えています。

小説『受験精が来た!』はこれまで全く受験に興味のなかった小6の女の子が、いきなり現れた毒舌のイケメン妖精・受験精の助けを借りながら第一志望校合格を目指すお話です。小学生が読んでも笑って楽しめる内容ですが、ここに書いた超リアルな中学受験は、本当の情報が満載です。そしてちょっとした気づきでグッとケアレスミスが減る方法や各科目をできるだけ無駄を省いて楽しく効果的に勉強するヒントなどを『26条の受憲法』としてまとめてあります。今回のコラムで取り上げた塾との付き合い方に苦労する姿などもくわしく書かれています。

親子で夫婦でお子さん自身で、これから受験を考えている人、受験をするかどうか迷っている人、いま受験でくたびれ気味だよって人も、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

次回からは具体的な勉強法のヒントをシリーズでお届けしていきます。まずは、みなさまの関心が高く、味方にすれば最高に頼れる科目、算数編です! 算数が苦手なお子さんにも、得意なお子さんにも、お役に立てる情報がたくさんありますのでお楽しみに♪

さなだ りょう

真田 涼

小説家・臨床心理士・公認心理師

小説家、臨床心理士・公認心理師 公認心理師協会 理事 RinDa臨床心理士ルーム 代表 長男長女2児の親 HP:https:/...