受験なし! 偏差値なし! 「日本と全然違う」 デンマークで高校生が自ら勉強する「当然」の理由とは?

受験も宿題もないのに才能が伸びる! デンマークの教育 #2高校・大学編 (3/3) 1ページ目に戻る

学びが仕事につながる「教育ガイド」

デンマークのフォルケスコーレ(義務教育)には、専属のキャリアアドバイザーが配置されています。7年生(日本の中学1年生)になると定期的に対話する時間があり、自分の興味について深めたり、アドバイザーから提案を受けたりします。

さらに大きな役割を果たしているのが、「教育ガイド」というWEBサイトの存在です。学びの機会をワンストップで知ることができる、「子ども教育省」(日本の文部科学省にあたる機関)が提供しているサイトです。

自分の興味に合った進学情報はもちろん、その先に考えられる仕事の種類、給与、スキルアップの方法など、「学びと仕事のすべて」が網羅されています。

「たとえば、薬学を専攻したら実際にどこで仕事をするのか。すぐに思いつくのは病院や薬局ですが、このサイトで調べると、一見薬学とは関係なさそうな企業でも働ける選択肢があることがわかります。

実際に活躍している人のインタビューもあるので、よりリアルに将来がイメージできます。

考古学など、仕事に結びつきにくい分野もカバーされ、学びが将来の可能性を広げると実感できるため、学生のモチベーションにもつながっています」(ニールセン北村さん)

進学への資金的な支援が手厚いことも、デンマークの特徴です。高校以降の授業料はすべて無料。18歳で成人を迎えると扶養義務が親から国に移り、高校や大学在学者には毎月10~16万円程度の給付型奨学金が支給されます。

一人ひとりが自分に合った学びを選び取れるよう、制度がしっかり支えているのです。

大学受験がないのに高校生が勉強する理由

デンマークの高等教育は、大学など大きく分けて次の5つに分類されます。それぞれの専門分野を実践的に学ぶことができ、職業に直結しています。

図:『経済力も幸福度も高くなる デンマークのすごい教育』よりコクリコ編集部が作成
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デンマークでは、大学受験もありません。各大学が設定する高校の成績や卒業試験の条件を満たせば、入学できます(入学定員はその年の社会環境によって変わる)

「大学受験のため」に勉強している日本の高校生に対し、デンマークの高校生は何がモチベーションになるのでしょうか。

「大前提として、『学びたいこと』があるから高校に進学するわけです。高校は義務教育ではないから、別に行かなくてもいい。デンマークでは親が進路に口出しすることもほぼありません。自分で考えて、自分の意志で選択していますから、勉強するのは『当たり前』です。

デンマークの高校は真剣に勉強しないと卒業自体が難しいので、在学中はみんな必死です。それでもやり遂げることができるのは、自分で選んで手にした学ぶ機会だからなのでしょう」(ニールセン北村さん)

大学選びも同様で、自分にとって深めたい学びや仕事にしたい専門分野があるから、進学を希望します。研究や専門の違いに優劣はないと考えているため、「大学ランキング」や「偏差値」は存在しないのです。

他人と比べず自分の興味とじっくり向き合い、時には立ち止まって進路を考える。自分で決めたことだから頑張れる。競争・比較しない教育制度が、子どもたちの積極的な学びや成長を支えていることがわかります。

第3回は、家庭での子どもへの接し方、デンマークの人が等身大で幸せに生きられる理由などをうかがいます。

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【ニールセン 北村 朋子 プロフィール】
文化翻訳家。2001年よりデンマークのロラン島在住。教育や持続可能な社会、民主主義などについて、さまざまな発信と連携、実践的な取り組みを行う。デンマーク・インターナショナル・メディア・プレスセンター代表メンバー。京都芸術大学通信教育部「食文化デザインコース」講師。デンマーク発祥デモクラシーフィットネス公式トレーナー。息子がひとりいる。

『経済力も幸福度も高くなる デンマークのすごい教育』(青春出版社)には、記事中に紹介できなかった「森の幼稚園」や民主主義教育などの情報が満載。

取材・文 川崎ちづる

【受験も宿題もないのに才能が伸びる! デンマークの教育】の連載は、全3回。
第1回を読む
第3回を読む/7月10日からリンク有効。

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川崎 ちづる
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Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。