リアルレポート「現役東大生35人に聞きました! わたしの中学受験」 勉強のヒント 算数編

新連載小説『受験精が来た!』コラボ企画 #4

真田 涼

写真:アフロ

まもなく受験シーズン到来! そこで中学受験を経験した現役東大生に緊急アンケートを実施した。解説するのは、中学受験をテーマにした「受験精が来た!」で第5回青い鳥文庫小説賞 銀賞を受賞した著者の真田 涼先生。今回のテーマは勉強法について! 算数についてのコツや攻略法をレポートします。

真田涼先生の第5回青い鳥文庫小説賞銀賞受賞作『受験精が来た!』が電子書籍で絶賛発売中!!

みなさん、こんにちは! 真田涼です。コクリコで小説『受験精が来た!』の連載が始まります。中学受験生の親として実際に体験したリアルな情報や驚きの真実、お子さんの成績アップに直結する塾では教えてくれない&巷の受験本やサイトには書かれていないお役立ち情報・裏ワザが満載の、面白くてやる気が出る作品です。

コラボ企画としてアンケートで集めた、中学受験経験のある東大生35人のフレッシュな情報とともに、これから中学受験を考えている方、今まさに通塾や勉強法で悩んでる方、みなさんのヒントになるコラムをお届けします。

第4回:中学受験 ~勉強法ヒント・算数編~

今回はみなさんが最も気になっている科目の算数編です! 算数を制する者は、中学受験を制するとも言われていますが、東大生はどうだったのでしょうか? さっそく見ていきましょう。

*中学受験のときに一番得意だった科目は何ですか? 

グラフのスタート位置は3時より(Googleフォームで作成。以下同)

アンケート結果を見ますと、やはり約半数が得意科目は算数だったと答えていますね。中学受験において、算数は最も差がつきやすい科目と言われていますが、このデータにも表れているようです。



*算数が得意だと大学受験にも有利!?

*大学受験のときに英語以外で一番得意だった科目は何ですか?

次に、6年後の大学受験で英語以外の得意科目を聞いてみました。数学が半数以上と中学受験のときからさらに割合が増えています。算数と数学は違うとも言われていますが、中学受験で算数が得意だった子は、大学受験でも数学が武器になっているようです。

東大は文系でも試験科目に数学があるので、中学受験で算数が得意だった子が東大を志望しやすい面もありそうです。

*算数攻略法1 ~頻出数字は暗記しよう~

やはりデータで見る限り、算数は味方につけたほうが良さそうです。でも算数は得意じゃないんだけど……。そんな方に成績を上げるためのヒントを2つご紹介しましょう。

まず「数字の暗記」です。

例えば下記の斜線の部分の面積を出す問題。

いちいち計算すると、時間が掛かるうえに、計算ミスも起こります。

実はこのラグビーボールみたいな部分の面積は、四角の57%と決まっています。ですので、ここの答えは10×10×0.57=57㎠になります。

同様に頻出の計算についても答えを暗記したほうが良いと思います。

日本の掛け算九九では9×9までですが、一方、インドでは20×20まで覚えます。中学入試でも、15×15といった同じ数字を2回かける平方数は面積の計算でしょっちゅう出てきます。20×20までの平方数は暗記しておくと計算の手間が格段に減ります。

さらに円の面積の計算は上記の平方数に3.14もかけます。中学受験ではπは使用しないため、4×4×3.14、5×5×3.14、などをいちいち計算しなくてはなりません。そうすると計算ミスが起こりやすいので、こちらも暗記することをおススメします。

暗記にはワーキングメモリという、情報を一時的に記憶する器のようなものが関係します。人が一度に覚えられる個数は7プラスマイナス2です。個人差がありますが、5~9個しか一度に覚えられないのです。少ないと思いませんか? 例えば、

「わ、み、し、に、い、の、か、せ、さ、み、や、い、る、ず、え、し、こ」

この17個のランダムなひらがなを覚えてといわれたらどうでしょう?

難しいかと思いますが、並べ替えて、「しずかさや、いわにしみいる、せみのこえ」にすると一発で覚えられます。このように、ランダムではなく意味を持たせることで、17個が1つの塊になり、一度に多くを覚えられるようになります。

平方数や円周率、素数なども語呂合わせで覚えましょう。小説『受験精が来た!』でも主人公が語呂合わせで、円の計算に頻出する数字を暗記するシーンが出てきます。

・2×3.14=6.28 「2時は ムニャ」(ニジハムニャ)2時はむにゃむにゃ眠い。
・3×3.14=9.42「サンキュー 死人」(サンキュー シニン)
・4×3.14=12.56「良いにい(兄)五郎」(ヨイニイ ゴロー)
……
・16×3.14=50.24「色 ゴマ 西」 (イロ ゴマ ニシ)色のついたゴマが西を向いている。
・25×3.14=78.5「ニコッ 那覇 GO」(ニコッ ナハ ゴー)


などなど。

ここでは一部をご紹介していますが、ご家族でわいわい言いながらオリジナルの語呂合わせを作って覚えるのも楽しいと思います。

ちなみに、先程の面積の問題は、我が家では「ラグビーするコナン君」と覚えました。

*算数攻略法2 ~試験問題ダイエット~

もう一つは「試験問題ダイエット」です。算数の試験問題が配られたら無理に全てに手を付けようとしないことというのはよく聞きます。算数の問題が大問の1~7まであったら、1~5まで手を付けて、6、7はビリっと破り捨ててしまいましょう……などというシーンをドラマなどで目にされたことがある方もいらっしゃるでしょう。

しかし私が提案するやり方は、これとは少し違います。一般に後半の問題ほど、むずかしいことが多いですが、実は6、7といった終盤の大問も(1)までは意外なくらい簡単なことが多いのです。小説『受験精が来た!』に出てくる受験の妖精・「精」が主人公に語るシーンをご紹介しましょう。

「この間の算数のテストを例にしよう。いちばんノーマルな問題形式だ。大問が7題で、全部で25問ある。これを50分で解く。1問あたりだと2分、あわただしいね。」

「まず大問1は、計算や一行題の小問が7問ある。このうち5問を確実に取っていきたい。そう考えるとこの(1)(2)(3)の計算問題はとても大事になってくる。」

「ここはぜったい落とせない。だから時間をかけて、ていねいにやる。いいか、狭いところにあわてて書かないで、広いスペースにていねいにやってみて。」

「そうしたら大問1の(6)(7)は×を書いて消しちゃう。意外に時間や手間がかかるものが入ってるからね。次に大問2のところ、(1)(2)(3)のうち(3)は消す。同じように大問3と4と5も(3)は消す。」

「そして大問6、7は(1)だけ解く。(2)と(3)は捨てる。」
 ずいぶん捨てちゃったけどだいじょうぶかな?

「人によっては、大問1から大問5までをすべて解いて、大問6、7を丸ごと捨てるようにアドバイスをする人もいる。後半の問題ほど、むずかしいことが多いとされているからね。だが最近(実際は)はむしろどの大問も、(1)までは意外なくらい簡単なことが多い。」

「受験生に少しずつヒントを与えながら、その場でどこまでレベルの高い問題についてこれるか、可能性をみるタイプの問題が増えているんだ。」

「問題ときちんと『会話』ができるかを見るという感じかな。難関校ほど、その子の考えかたやアイデアを確認しながら、部分点を与えてくれるんだ。だから後半の問題も(1)は、意外に解きやすくなっている。」
 精はどんどん問題用紙に×を打っていった。

ここに書いてあるようにどの問題も必ず(1)は手を付けることをおススメします。終盤の問題でも導入部分はそこまで難しくないことが多いです。

*最近の問題の傾向

また算数のお話ではないのですが、最近の問題の傾向として以下のような問題が増えてきています。

「家にある材料で快適なマスクを作るとしたら、あなたは、どんな材料を用いて、どんなマスクを作りますか?」

1+1=2というような、答えが1つではない問題、身近なものが題材になっている問題、これまで出題されたこともないような問題が、近年は出題されるようになっています。今まで自分が見聞きしてきた知識や経験をフル活用して柔軟に思考を広げていく良問だと思います。

私は臨床心理士ですが、知能には、「流動性知能」と「結晶性知能」とがあります。「流動性知能」とは、新しい情報を獲得して、それをスピーディに処理する能力で、暗記力や計算力などが含まれます。一方、「結晶性知能」とは、これまでの経験や教育、学習などから獲得していく能力で、言語能力や理解力、創造力などが含まれます。

ラグビーボールの問題は流動性知能で、マスクの問題は結晶性知能を測るものと言えます。
「小さな子どもに受験勉強をさせるなんてかわいそう」という声も聞きますが、色々なことを学び、経験し、それらを元に、様々なことについて考え創造することは決してかわいそうなことではなく、とても素晴らしいことだと私は考えます。

上記のマスクの問題は大人が解いても楽しいですよね。受験生のみなさんには、中学受験をきっかけに、学ぶ楽しさを知り知識や経験を活かして、自分の好きなこと、気になること、色々なことに取り組める人になってもらえたらと思います。

【そして小説『受験精が来た!』です】

今回も現役東大生が実際に体験した中学受験のデータ、私が親として見聞きした肌感覚や臨床心理士としての知識などを元に、算数の勉強法のヒントとして、暗記の仕方や試験問題の取り組み方についてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか? 

小説『受験精が来た!』はこれまで全く受験に興味のなかった小6の女の子が、いきなり現れた毒舌のイケメン妖精・受験精の助けを借りながら第一志望校合格を目指すお話です。小学生が読んでも笑って楽しめる内容ですが、ここに書いた超リアルな中学受験は、本当の情報が満載です。

そしてちょっとした気づきでグッとケアレスミスが減る方法や各科目をできるだけ無駄を省いて楽しく効果的に勉強するヒントなどを『26条の受憲法』としてまとめてあります。今回のコラムで取り上げた算数の苦手なお子さん向けの2つの方法などについても詳しく書かれています。

親子で夫婦でお子さん自身で、これから受験を考えている人も、受験をするか迷っている人も、いま受験でくたびれ気味だよって人も、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

次回は、勉強法ヒント・国語基本編です! 国語は算数と同様に、配点が高いことが多い、とても重要な科目です。お役に立てる情報が沢山ありますのでお楽しみに♪

さなだ りょう

真田 涼

小説家・臨床心理士・公認心理師

小説家、臨床心理士・公認心理師 公認心理師協会 理事 RinDa臨床心理士ルーム 代表 長男長女2児の親 HP:https:/...