
キッチンでじっけん! 夏休み自由研究のテーマはすぐそばに
筑波大学主催の自由研究の賞「科学の芽賞」から生まれた「科学の芽えほん」シリーズ・第5作
2026.08.05
夏休みも中盤。いよいよ自由研究の計画を立てなくちゃ……毎年保護者の方の頭を悩ませる夏の自由研究。じつはヒントは身近なところに転がっているんです。今回は、キッチンでできる楽しいお料理実験と参考になる絵本をご紹介します。
自由研究の賞「科学の芽賞」 えほんシリーズ、5作目は台所のなぞ

2026年の1月から刊行されている「科学の芽えほん」シリーズ、5作目は『トマトパスタが はねる なぞを とけ』。推理小説のようなタイトルで気に入っています。
とちゅうまでは、ちがうタイトルで進んでいましたが、原案者の今野柚希さんから、「ひみつ」のような子ども心をくすぐる言葉を入れたい、というリクエストがあり、みんなで頭をひねって決まったタイトルです。「どんななぞだろう?」と気になりますよね。どうぞ、ページを開いてみてください。大好きなトマトソースのパスタを食べて、お気に入りの服をよごしてしまった女の子のお話です。
主人公はパスタが大好き! 思いっきり食べたいけれど、思いっきり食べると服にソースがはねてよごれてしまう。そこで「ソースがはねるなぞをとけばいい!」と、5つのオリジナルの実験道具を考えだします。
はねる原因を、ソースの濃さ、パスタの太さややわらかさ、食べかたにあると仮定して、実験道具を使って、ひとつずつたしかめていって……。きっとだれもが体験したことがある身近な「事件」からはじまって、読んでいるだれもが「ええ!」とびっくりするようななぞときをします。名探偵のように、ソースがはねる原因をしぼりこんでいく主人公に、わくわくしながら読み進んでいただけると思います。
「科学の芽えほん」シリーズは、筑波大学が主催する朝永振一郎記念「科学の芽」賞という科学の自由研究コンクールを受賞した小・中学生の研究を原案に、物語絵本にしたシリーズです。自由研究というと、テーマをさがすのがたいへんなイメージがありますが、このシリーズの原案者のみなさんは、ほんとうに身近なところからテーマをひろっています。
この絵本の主人公のように、「キッチンでできる」自由研究をしてみてはいかがでしょうか? 3つの実験をご紹介します。身近な疑問を調べていく楽しさをぜひ親子で体験してみてください。
とちゅうまでは、ちがうタイトルで進んでいましたが、原案者の今野柚希さんから、「ひみつ」のような子ども心をくすぐる言葉を入れたい、というリクエストがあり、みんなで頭をひねって決まったタイトルです。「どんななぞだろう?」と気になりますよね。どうぞ、ページを開いてみてください。大好きなトマトソースのパスタを食べて、お気に入りの服をよごしてしまった女の子のお話です。
主人公はパスタが大好き! 思いっきり食べたいけれど、思いっきり食べると服にソースがはねてよごれてしまう。そこで「ソースがはねるなぞをとけばいい!」と、5つのオリジナルの実験道具を考えだします。
はねる原因を、ソースの濃さ、パスタの太さややわらかさ、食べかたにあると仮定して、実験道具を使って、ひとつずつたしかめていって……。きっとだれもが体験したことがある身近な「事件」からはじまって、読んでいるだれもが「ええ!」とびっくりするようななぞときをします。名探偵のように、ソースがはねる原因をしぼりこんでいく主人公に、わくわくしながら読み進んでいただけると思います。
「科学の芽えほん」シリーズは、筑波大学が主催する朝永振一郎記念「科学の芽」賞という科学の自由研究コンクールを受賞した小・中学生の研究を原案に、物語絵本にしたシリーズです。自由研究というと、テーマをさがすのがたいへんなイメージがありますが、このシリーズの原案者のみなさんは、ほんとうに身近なところからテーマをひろっています。
この絵本の主人公のように、「キッチンでできる」自由研究をしてみてはいかがでしょうか? 3つの実験をご紹介します。身近な疑問を調べていく楽しさをぜひ親子で体験してみてください。
夏休みの自由研究に! キッチンでできる3つのレシピ
食べ物にまつわる疑問ってたくさんありますよね。そのなかには、キッチンで比較的簡単に解き明かせるものもあるんです。さっそくやってみましょう。
※本記事に掲載されている実験には、特定原材料等が含まれています。食物アレルギーには十分にご注意ください。
※本記事に掲載されている実験には、特定原材料等が含まれています。食物アレルギーには十分にご注意ください。
パスタの歯ごたえのひみつをみてみよう!
最初のレシピは、『トマトパスタが はねる なぞを とけ』の最終ページでもご紹介している、歯ごたえの正体・グルテンにまつわること。
パスタの歯ごたえを目で見るレシピ
用意するもの
小麦粉(薄力粉)……100g
水……60cc
使う道具
はかり、計量カップ、大きめのボウル
1.ボウルに薄力粉100g、計量カップに水60ccをはかっておきます。
2.薄力粉のボウルに水を入れ、手でまぜていきます。
3.ひとまとまりになってきたら、台の上にあけて、手のひらのつけ根を使って、10分ほどよくこねます。表面がなめらかになってきたら、生地のこねあがりです。
4.3の生地をボウルにもどして、分量とは別の水をたっぷり入れます。10分ほどつけておいてから、指先でもみほぐします。
5.水が白く濁ってきたら水を入れかえます。
6.水が濁らなくなったら、できあがりです。![]()
できたかたまりが「グルテン」、歯ごたえの正体です。グルテンは、小麦に含まれる2種類のたんぱく質が、水とこねられることで結合してできたものです。
小麦粉のときとはちがって、少し黄色っぽいですね。ぷにぷにやわらかくて、ひっぱるとぐーんと伸びて、膜になります。パンがふくらんでしぼまないのも、うどんにこしがあるのも、パスタの歯ごたえがよくなるのも、このグルテンのおかげです。
小麦粉にも、いくつか種類があります。スポンジケーキやクッキーには薄力粉、うどんなら中力粉、パンを焼くときは強力粉を使うとうまくいきます。使い分ける理由は、たんぱく質の量。できるグルテンの量も変わってきます。もしも興味が湧いてきたら、それぞれの小麦粉で、グルテンを取りだす実験をしてみては、いかがでしょう。
取りだしたグルテンに、さらに小麦粉をまぜて焼くと焼き麩が、もち粉をまぜて蒸したりゆでたりすると生麩ができます。実験のあとは、おいしく食べてみるのも楽しいですね。
小麦粉のときとはちがって、少し黄色っぽいですね。ぷにぷにやわらかくて、ひっぱるとぐーんと伸びて、膜になります。パンがふくらんでしぼまないのも、うどんにこしがあるのも、パスタの歯ごたえがよくなるのも、このグルテンのおかげです。
小麦粉にも、いくつか種類があります。スポンジケーキやクッキーには薄力粉、うどんなら中力粉、パンを焼くときは強力粉を使うとうまくいきます。使い分ける理由は、たんぱく質の量。できるグルテンの量も変わってきます。もしも興味が湧いてきたら、それぞれの小麦粉で、グルテンを取りだす実験をしてみては、いかがでしょう。
取りだしたグルテンに、さらに小麦粉をまぜて焼くと焼き麩が、もち粉をまぜて蒸したりゆでたりすると生麩ができます。実験のあとは、おいしく食べてみるのも楽しいですね。
指でまとめる感覚で。
生地をのばすようにこねていく。
もみほぐしていくと、生地が少し黄色っぽくなった。
パン生地よりもやわらかい感触。
トーストのおとも、ジャムがぷるぷるになるのにもひみつがある!
ふだんよく食べているジャムにもふしぎがあります。
『続 若草物語』に、はじめてジャムをつくったメグが、何度煮つめてみても、濾してみてもうまくいかないことに、「ジャムがかたまらないの」と泣きだすシーンがあります。子どものころに読んで、とても印象的でした。実際はスグリのゼリーのようなものらしいのですが、子どものための抄訳本だったので、たしか「イチゴジャム」と書かれていました。それで、ジャムがかたまらないってどういうことだろう? と子ども心にふしぎに思ったものです。
さて、くだもののジャムがかたまる正体は「ペクチン」といいます。野菜やくだものに含まれる食物繊維で、糖や酸といっしょに加熱することでとろみが生まれます。
ペクチンが多くふくまれるのはリンゴや柑橘類、少ないのはカキやブドウなどです。
『続 若草物語』に、はじめてジャムをつくったメグが、何度煮つめてみても、濾してみてもうまくいかないことに、「ジャムがかたまらないの」と泣きだすシーンがあります。子どものころに読んで、とても印象的でした。実際はスグリのゼリーのようなものらしいのですが、子どものための抄訳本だったので、たしか「イチゴジャム」と書かれていました。それで、ジャムがかたまらないってどういうことだろう? と子ども心にふしぎに思ったものです。
さて、くだもののジャムがかたまる正体は「ペクチン」といいます。野菜やくだものに含まれる食物繊維で、糖や酸といっしょに加熱することでとろみが生まれます。
ペクチンが多くふくまれるのはリンゴや柑橘類、少ないのはカキやブドウなどです。
くだものがかたまる! リンゴジャムのレシピ
材料
リンゴ……2個
砂糖(きび砂糖、グラニュー糖など)……切ったリンゴの重さの40%
レモン汁……大さじ1
道具
はかり、計量スプーン、ステンレスのボウル、木のへら、保存用の瓶、瓶が入るほどの大きさの鍋、ホーローかステンレスの鍋
1.リンゴはよく洗って、縦に4等分してから、芯を取って皮ごといちょう切りにします。
2.ボウルに移して、重さを量ります。
3.リンゴの重さの40%の砂糖を入れて、木のへらで大きく混ぜます。30分ほどおいて、リンゴから水分が出てくるのを待ちます。
4.保存用の瓶を準備します。瓶がかくれるほどの大きさの鍋にふたを開けた瓶とふたを入れ、瓶が完全につかるまで水を入れて沸騰させます。沸騰したら、弱火で10分ぐらい煮て煮沸消毒します。トングなどで、鍋の上で逆さにして、瓶から熱湯を出してから、ざるなどにふせてかわかします。軍手などで手を保護して、やけどに注意してください。
5.リンゴを煮つめます。出てきた水分ごとホーローかステンレスの鍋に移して火にかけ、煮立ってきたら、弱めの中火にして煮つめていきます。
6.汁気が減ってきたらレモン汁を加え、とろりとしてきたらできあがりです。保存用の瓶に移しましょう。とても熱いので、軍手などで保護します。![]()
酸はペクチンのはたらきを促進します。酸味が少ないくだものを使うときはレモン汁をくわえるととろみがつきやすくなります。砂糖の量でも、とろみに変化があるかもしれません。量を変えて比べてみても、おもしろいかもしれません。(砂糖の量を減らすと、それだけ保存は利かなくなります。上記のレシピより、砂糖の分量を減らす場合は、早めに食べきるようにしてください。)
ペクチンが含まれる量は、くだものの種類や熟し具合でも変わります。いろいろなくだものでジャムをつくって比べてみてもいいですし、同じくだものでも、未熟なもの、食べごろのもの、熟しすぎたもので比べることもできそうです。
『続 若草物語』では、なぜジャムがかたまらなかったのか理由は明かされていません。酸が足りなかったのでしょうか……そのなぞを明らかにするのも楽しいのではないでしょうか。
ペクチンが含まれる量は、くだものの種類や熟し具合でも変わります。いろいろなくだものでジャムをつくって比べてみてもいいですし、同じくだものでも、未熟なもの、食べごろのもの、熟しすぎたもので比べることもできそうです。
『続 若草物語』では、なぜジャムがかたまらなかったのか理由は明かされていません。酸が足りなかったのでしょうか……そのなぞを明らかにするのも楽しいのではないでしょうか。
切ったリンゴ1枚1枚に砂糖がまぶされるようによくまぜる。
30分後、じゅうぶん水分が出てきた。
皮も煮つめた、あめ色ジャムに。
冷めるととろみが増すので、煮つめすぎないように気をつける。
自家製バターがかんたんにつくれる!?
最後に、液体が固まるふしぎな実験です。生クリームからバターをつくってみましょう。
生クリームからバターをつくるレシピ
材料
純生クリーム……100g
塩……ひとつまみ
道具
ガラスのボウル、ハンドミキサー、茶こしかざる、ゴムへら(シリコーン製など)
1.よく冷やした生クリームと塩をボウルに入れます。
2.ハンドミキサーを強にして、ひたすらまぜます。
3.5分ぐらいでぽろぽろとかたまりが現れ、水分が出てきます。
4.べつのボウルに、茶こしかざるでこしながら、水分をあけます。落ちた水分はバターミルクといって、栄養たっぷりなので、そのまま飲んだり、料理に使ったりしてください。
5.かたまりになったものを別のボウルにあけて、ゴムへらでよく練ります。さらに水分が出てきたら、バターミルクのボウルに移します。水分が出てこなくなったらできあがり。![]()
生クリームを使うのはなぜでしょう? 牛乳ではだめなのでしょうか?
かぎは、乳脂肪分です。牛乳は、脂肪の粒が均一になるように処理されていて、脂肪同士がくっつきにくいので、かたまりになりません。この処理がされていないノンホモジナイズ牛乳であれば、バターになります。
生クリームのパッケージに書かれている数字は、含まれている乳脂肪分の割合です。乳脂肪分がちがう生クリームで比べてみたらどうでしょう? もしも手に入ったら、乳脂肪分が均質化されていないノンホモジナイズ牛乳でつくってみたら、どうでしょう?
かぎは、乳脂肪分です。牛乳は、脂肪の粒が均一になるように処理されていて、脂肪同士がくっつきにくいので、かたまりになりません。この処理がされていないノンホモジナイズ牛乳であれば、バターになります。
生クリームのパッケージに書かれている数字は、含まれている乳脂肪分の割合です。乳脂肪分がちがう生クリームで比べてみたらどうでしょう? もしも手に入ったら、乳脂肪分が均質化されていないノンホモジナイズ牛乳でつくってみたら、どうでしょう?
攪拌は、フードプロセッサーでも。
バターミルクは、コクのある味。
練っていくと、ぽろぽろのかたまりがどんどんなめらかに。
できあがり。日持ちはしないので、早めに食べよう。
意外とキッチンには、自由研究のテーマが転がっていそうです。
わたしも、台所で発見したことがあります。サラダのドレッシングをつくるとき、オリーブオイルとレモン汁と塩こしょうをまぜあわせるのですが、このとき、小さな泡立て器ではなく、スプーンの背ですりまぜるようにしたら、均一にまざりあう「乳化」の状態になったのです。
泡立て器を使っていたときは、オリーブオイルにレモン汁がまだらに残ってしまっていました。あるとき、ほかの料理に泡立て器を使っていたので、そばにあったスプーンで試したところ、白っぽくとろっとして、うまく乳化していました。「大発見!」と、 それからスプーンでまぜるようになりました。
おとなになっての発見でしたが、もし子どものころだったら「オリーブオイルが まざる なぞを とけ」という自由研究になっていたかもしれません。
身近なところからも、ふしぎだな? どうしてだろう? と感じることって、たくさんあると思います。その気持ちを、どうぞだいじにしてください。そう感じたときには、「科学の芽」は、もう芽生えています。
わたしも、台所で発見したことがあります。サラダのドレッシングをつくるとき、オリーブオイルとレモン汁と塩こしょうをまぜあわせるのですが、このとき、小さな泡立て器ではなく、スプーンの背ですりまぜるようにしたら、均一にまざりあう「乳化」の状態になったのです。
泡立て器を使っていたときは、オリーブオイルにレモン汁がまだらに残ってしまっていました。あるとき、ほかの料理に泡立て器を使っていたので、そばにあったスプーンで試したところ、白っぽくとろっとして、うまく乳化していました。「大発見!」と、 それからスプーンでまぜるようになりました。
おとなになっての発見でしたが、もし子どものころだったら「オリーブオイルが まざる なぞを とけ」という自由研究になっていたかもしれません。
身近なところからも、ふしぎだな? どうしてだろう? と感じることって、たくさんあると思います。その気持ちを、どうぞだいじにしてください。そう感じたときには、「科学の芽」は、もう芽生えています。

〈参考文献〉
大楠秀樹 著『小麦粉の科学』日刊工業新聞社、2017年、おもしろサイエンスシリーズ
河田昌子 著『新版 お菓子「こつ」の科学』柴田書店、2013年
露久保美夏 著『キッチンラボ どうしてそうなる? 実験レシピ 調味料編』偕成社、2022年
東京製菓学校 監修『おかしな自由研究』学研プラス、2020年
長尾精一 著「小麦粉の知識(1)──グルテンが小麦粉のいのち──」『調理科学』、1989 年 、22巻2号、p. 125-129
松本仲子 監修『楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?』朝日新聞出版、2017年
山田昌治 著『麺の科学 粉が生みだす豊かな食感・香り・うまみ』講談社、2019年、ブルーバックス B‐2105
「簡単! 手作りバター」タカナシ乳業株式会社、https://www.takanashi-milk.co.jp/manabi/waku-waku-recipes/handmade-butter(参照2026/6/29)
大楠秀樹 著『小麦粉の科学』日刊工業新聞社、2017年、おもしろサイエンスシリーズ
河田昌子 著『新版 お菓子「こつ」の科学』柴田書店、2013年
露久保美夏 著『キッチンラボ どうしてそうなる? 実験レシピ 調味料編』偕成社、2022年
東京製菓学校 監修『おかしな自由研究』学研プラス、2020年
長尾精一 著「小麦粉の知識(1)──グルテンが小麦粉のいのち──」『調理科学』、1989 年 、22巻2号、p. 125-129
松本仲子 監修『楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?』朝日新聞出版、2017年
山田昌治 著『麺の科学 粉が生みだす豊かな食感・香り・うまみ』講談社、2019年、ブルーバックス B‐2105
「簡単! 手作りバター」タカナシ乳業株式会社、https://www.takanashi-milk.co.jp/manabi/waku-waku-recipes/handmade-butter(参照2026/6/29)
撮影/川嶋隆義(スタジオ・ポーキュパイン) 文/かんちくたかこ
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