【中学受験】子どもの学力・体力がアップ! 受験食事マイスターが教える「ベストな食事」「すすめない食材」

【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい #2】子どものイライラは食事が原因!?

バランスの良い食事が、脳と体を健全に成長させます。  写真:アフロ

栄養バランスのとれた食事をするのが理想とわかっていても、具体的にどんな食事内容が良いのか親は試行錯誤が尽きません。

しかしながら、幼少期から家庭で食育ができていると、物心ついたころには子どもが自分で体に良い食べ物を選び、体調管理ができるようになるといいます。

シリーズ第2回は、栄養の偏りが起こす便秘やかんしゃく・集中力の低下などの弊害と、食べ物次第で変わる子どものパフォーマンスについて、中学受験マイスターの表洋子さんにお話をうかがいます(全3回の2回目、#1を読む)。

◆表 洋子(おもてようこ)
料理家。受験食事マイスター。大手進学塾の食育担当として、生徒へのメニュー開発や保護者への食育アドバイスをサポートする。子どもを志望校合格へと導く、受験生家庭のための料理教室「賢母の食卓」主宰。

【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい】の連載は、全3回。
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偏食と勘違い! 子どもが食べない驚きの理由

「うちの子は偏食がひどくて、お菓子や甘いものしか食べない」という家庭では、食べないよりましとばかりに、子どもが好むものばかり食べさせていることがあります。

しかし、人間の脳と体には、それらを順調に働かすためのエネルギー源が不可欠です。

脳を働かせるエネルギーの代表格はブドウ糖で、お米やパンに多く含まれる炭水化物を摂れば計算上のエネルギーは補えます。ただし、脳をしっかり働かせるにはブドウ糖単体では足りず、ビタミンB1と組み合わせることが重要。使えるエネルギーに変換させることが必要です。

多くの親御さんは子どもが偏食で好き嫌いがあると、「レシピが悪いから」「子どもの味の好みに作れなかったから」「料理が下手だから」と勘違いします。

確かに、これら親側の原因がまったくないとはいえませんが、改めて子どもに聞くと「食感が苦手」「見た目が嫌」のほか、「食べたことがなくて、どんなものかわからない」という拍子抜けするような理由も上がります。

子どもは好奇心旺盛ですが食べたことのないもの、経験が少なくて味や食感の予想ができないものは、警戒して食べたがらないことがあるのです。

また、子どもが食べない原因は、他にもあります。親がいろいろな栄養素を摂らせようと、品数を多く作りすぎてしまうと「こんなにいっぱい食べられない」という事態が起こります。あるいは、直前におやつを食べすぎてしまい「食事の時間になってもお腹が減っていない」といったこともあるでしょう。

おやつに取り入れたい市販品

食事と食事の間に食べさせるおやつが、食事で賄いきれない栄養の補給なら良いのですが、おやつが栄養にならない嗜好品で、砂糖たっぷりで添加物まみれのスナック菓子だと、本来、摂ってほしい栄養を賄うことができません。

それらを日常的に食べていると濃くてわかりやすい味にしかおいしさを感じない舌になり、極端になると味覚障害を起こすことも考えられます。

とはいえ、おやつは神経質になって、「手作り」にこだわらなくても大丈夫。自身もワーキングマザーである表さんも、よく市販品を利用しています。

干すことで栄養素が凝縮する干し芋は、少量で効率的に栄養補給ができます。  撮影:石牟礼ともよ

おやつとして手軽に食べられる「バナナ」の落とし穴

未就園児のいる家庭では、おやつにバナナを食べさせることがあるでしょう。バナナは甘みが強くて、すぐにお腹が満たされる優れもの。優秀な食材であるものの、間食としておやつに食べさせてしまうと、幼い子であれば、食事の時間になってもお腹が空かないことがあります。

しかもバナナは南国のフルーツで体を冷やす作用があり、冬場に食べると免疫力の低下を起こしやすい作用も。疲れやすく、風邪をひきやすいといった二次的被害も出る恐れがあります。

このような観点から表さんは、冬に日常的にバナナを食べるのを勧めていません。果物をおやつとして与えるなら、季節に合わせた旬のものを適度に取り入れるのが合っています。

季節感を踏まえると、「おやつにバナナ」は注意が必要です。  撮影:石牟礼ともよ

品質管理された食材を選ぶメリット

表さんが普段の食事に積極的に取り入れているのは、できるだけ無農薬でつくられた野菜や、食品添加物の入っていない食品、国産品などです。これらはどうしても割高になりますが、食費がかさんでも優先させるメリットがあります。

安全な食材を普段から食べていると、食材が本来持つおいしさを感じ取る味覚が育ち、スナック菓子や甘いものを欲する機会が減るため、その分の節約ができるでしょう。

しかも病気にならない健康な体もつくれます。子どもを頻繁に病院に連れ行ったり、看病したりする回数が減ると考えると、何を選ぶべきか一目瞭然です。

無農薬野菜、無添加食品、品質管理された国産品は購入時に高くついたとしても、長い目で見ると食費の出費は還元されます。子どもに食べさせる食品を選ぶことは、未来への投資なのです。

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