ひろただいさく・みどりの絵本『ピカゴロウ』制作日記

第37回 講談社絵本新人賞受賞からデビューまで 第4回「雲のうえから見た街の絵」

※この記事は、講談社絵本通信(2016年4月)掲載の記事を再構成したものです。
こんにちは。
つい先日、ようやく原画の色塗りが最後の一枚まで完成しました。

装丁のデザインなどは、まだこれからですが、ひとまずほっとしたというか、寝ても覚めても締め切りのことを気にしていたような状態からは解放されるのかな、と思っています。

原画で最後まで残っていたのが「ピカゴロウが雲のうえから見た街の絵」でした。最後に残していた理由は、時間がかかりそうだったからです。

物量のある絵になることはわかっていたので、実はこの制作日記の第一回目のときから、これだけは時間がかかりそうだと、担当さんに前もって伝えてありました。具体的には、この絵だけで10日間の時間をもらっていました。

街の絵は、本当にそこに住んでいることを空想出来るようにしたかったので、道路を指でたどれるような道幅にしました。

子どもの好きな車を大きめに描いてもらって、お店も看板をつけてたくさんの種類を描いてもらいました。絵本らしくデフォルメしていながらも、車が走っていたり、人が生活していたりする、情報量の多い街の絵になったと思います。

この絵は応募したときからあったのですが、当時半ページだったものを、見開きいっぱい使って描き直しました。

街の人たちもみんな動いているので、絵本になったときには、ぜひ細かいところまで楽しんでもらいたいです!(よーく探すと、ひなちゃんのお家もあるんです)
俯瞰の絵は、見ているだけでワクワクしますね! 担当より
原画を提出し終えると、今度は表紙等、装丁のデザインを決めていくことになります。

表紙の絵は、私たちの場合、もともとあまり難しい印象を持っていなくて、ピカゴロウを大きく描くしかないだろうと考えていました。

実際図案はすぐに決まったのですが、絵柄がほぼ正面を向いているものだったので、絵を描くのはとても苦労しました。

人物を描くときに真正面から描くと、体のバランスがはっきりと出てしまうので、絵に精密さが求められます。本編にもひなちゃんが真正面を向いている絵があって苦労したのですが、ここでも手足の長さの調整をくりかえして何度も描きました。

描き直した回数が一番多かったのが、この二つの絵でした。

裏表紙の案も、これしかないだろうというイメージを前から持っていたのですが、一旦できあがってサイズの詰めに入っていたにもかかわらず、土壇場で違うアイデアのものに変更になりました。

こういうギリギリのタイミングで急遽変更になることは、これまでも散々あったのですが、最後の最後まであるんだなあ、としみじみ感じました。

変更になったきっかけは、担当さんから見せていただいた「書店さんのご意見」というものでした。

「書店さんのご意見」というのは、作品の感想を、発売前に書店員さんにお聞きしたものなのですが、今まで作品の感想を誰かに聞いたことがほとんどなかったので、絵本が初めて人の目に触れたような気がして、ちょっと形容し難い喜びがありました。

この感想を読むことで、より素直に読み手に喜んでもらいたいという思いが強くなりました。そして描く場面は同じでも、感情的なアプローチの仕方を少し変えて、動きや表情を描けるように工夫をすることにしました。

絵本の裏表紙は、物語の後日談に使われることが多くて、どれくらい物語の内容に即したものにしていいのか、看板としての役割もちゃんと果たせているのかなど、考えることも多かったです。絵本の装丁は、楽しいものにしたいと思っています。

楽しく作ったものは、その楽しさが伝播すると思いますので、苦労も多いですが、できるかぎり楽しく作っていきたいです。
それではまた。

こちらができあがった絵本です。

『ピカゴロウ』
作:ひろただいさく 作:ひろたみどり 講談社

ひろたさんの新作絵本!

ある、しずかな夜、はなちゃんがねていると、 コトコト コトコト おしいれからものおとが聞こえてきました。そこにいたのは、まいごのおばけ、まんまる。

『おばけのまんまる』
作:ひろただいさく・ひろたみどり 講談社

ひろた だいさく

Daisaku Hirota
絵本作家

大阪芸術大学芸術学部文芸学科卒業。2013年より、ひろたみどりと共作で絵本の創作を始める。講談社絵本新人賞佳作(2014年)をへて、『...

ひろた みどり

Midori Hirota
絵本作家

大阪芸術大学芸術学部文芸学科卒業。2013年より、ひろただいさくと共作で絵本の創作を始める。講談社絵本新人賞佳作(2014年)をへて、...