【1分で読める】地球がまわっていることを証明したレオン=フーコー

『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』1話(フーコー)試し読み

絵:久住卓也
「地球はまわっている」

だれもが当たり前のように知っているこの事実は、なんと170年も前に証明されました。だれが、一体どんな方法で解明したのでしょうか。

シリーズ累計74万部を超える、ロングベストセラーを全面改訂した、最新の科学伝記『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社)から、フーコーの生涯を紹介します。

レオン゠フーコー

「♪ぐ~るぐ~る~地球は~まわ~る~。」

ここは、パリの一画にある、暗い地下室。
ひとりの男が、鼻歌を歌いながら、助手と望遠鏡の手入れをしています。男の名前は、レオン゠フーコー。

「『地球はまわる』か……。でも先生。それ、どうやって証明するんですか?」

フーコーは、しばらく考えていましたが、

「これで、わかるかな?」

そばの小さなふりこを、指さしました。

「ふりこというのは、おもしろいものでね。まず、ひとつの装置のなかに、地上のものと空中にあるものが、いっしょになっている。装置全体は、地上にあるね。だが、おもりは?」

「『空中』で、ゆれてます!」

「そう。ではここで、地球がわれわれをのせて、まわっていると考えよう。地上のふりこには、いったんつき動かすと、同じ方向に、ゆれつづける力がはたらいている。でも、空中のおもりに、この力ははたらかない。だから、もし、地球がまわっているとすれば──。」

「ふりことおもりの動きが、べつになる?」

「そのとおり!」

フーコーは、パリ天文台長に、自分の考えを話しました。そして、1851年2月3日。パリの天文台の大ホールに、おおぜいの学者をまねいて、実験をしたのです。

「では、ふりこを動かしますよ。それ!」

フーコーの合図で、助手が、おもりをとめている毛糸を、ろうそくでやき切りました。

天じょうからつるされた、ひもの長さ11メートル、おもりの重さ5キロの大きなふりこが、しずかにゆれはじめました。

そして、やがて、おもりのゆれる向きが、ゆっくりと、ずれだしたのです。

「あんな男のいうことなんか。」と、ばかにしていた学者たちは、目を丸くしました。地球がまわっていることがひと目でわかったのです。

「フーコーのふりこ」は今も、世界じゅうの博物館などで見ることができます。

文:岡田好惠

(この記事は『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』をもとに構成しました)
『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社) 
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野口英世、ダーウィン、ニュートン、アインシュタインなど、知っておきたい科学者のほかに、レイチェル゠カーソン、メアリー゠アニング、荻野吟子など、女性科学者もたっぷり収録。さらには、山崎直子氏、山極寿一氏、石黒浩氏、茂木健一郎氏へのインタビューも収録。今だからこそ知りたい、120人の発明・発見物語!

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幼児図書編集部

絵本をつくっている編集部です。コクリコでは、新刊の紹介や作家さんのインタビュー、イベントのご案内など、たのしい情報をおとどけします! Instagram : @ehon.kodansha Twitter : @kodansha_ehon

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