【1分で読める】地球がまわっていることを証明したレオン=フーコー
『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』1話(フーコー)試し読み
2022.11.08
だれもが当たり前のように知っているこの事実は、なんと170年も前に証明されました。だれが、一体どんな方法で解明したのでしょうか。
シリーズ累計74万部を超える、ロングベストセラーを全面改訂した、最新の科学伝記『決定版 夢をそだてる 科学の伝記120人』監修:小山慶太(講談社)から、フーコーの生涯を紹介します。
レオン゠フーコー
ここは、パリの一画にある、暗い地下室。
ひとりの男が、鼻歌を歌いながら、助手と望遠鏡の手入れをしています。男の名前は、レオン゠フーコー。
「『地球はまわる』か……。でも先生。それ、どうやって証明するんですか?」
フーコーは、しばらく考えていましたが、
「これで、わかるかな?」
そばの小さなふりこを、指さしました。
「ふりこというのは、おもしろいものでね。まず、ひとつの装置のなかに、地上のものと空中にあるものが、いっしょになっている。装置全体は、地上にあるね。だが、おもりは?」
「『空中』で、ゆれてます!」
「そう。ではここで、地球がわれわれをのせて、まわっていると考えよう。地上のふりこには、いったんつき動かすと、同じ方向に、ゆれつづける力がはたらいている。でも、空中のおもりに、この力ははたらかない。だから、もし、地球がまわっているとすれば──。」
「ふりことおもりの動きが、べつになる?」
「そのとおり!」
フーコーは、パリ天文台長に、自分の考えを話しました。そして、1851年2月3日。パリの天文台の大ホールに、おおぜいの学者をまねいて、実験をしたのです。
「では、ふりこを動かしますよ。それ!」
フーコーの合図で、助手が、おもりをとめている毛糸を、ろうそくでやき切りました。
天じょうからつるされた、ひもの長さ11メートル、おもりの重さ5キロの大きなふりこが、しずかにゆれはじめました。
そして、やがて、おもりのゆれる向きが、ゆっくりと、ずれだしたのです。
「あんな男のいうことなんか。」と、ばかにしていた学者たちは、目を丸くしました。地球がまわっていることがひと目でわかったのです。
「フーコーのふりこ」は今も、世界じゅうの博物館などで見ることができます。
文:岡田好惠
野口英世、ダーウィン、ニュートン、アインシュタインなど、知っておきたい科学者のほかに、レイチェル゠カーソン、メアリー゠アニング、荻野吟子など、女性科学者もたっぷり収録。さらには、山崎直子氏、山極寿一氏、石黒浩氏、茂木健一郎氏へのインタビューも収録。今だからこそ知りたい、120人の発明・発見物語!
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幼児図書編集部
絵本をつくっている編集部です。コクリコでは、新刊の紹介や作家さんのインタビュー、イベントのご案内など、たのしい情報をおとどけします! Instagram : @ehon.kodansha Twitter : @kodansha_ehon
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