ネコが天気予報ができるってホント!? 自然から読み取る天気のおはなし

あなたはいくつ知ってる? 「観天望気」

ネコのいろいろな仕草は、見ていてあきません。そんな仕草に、かわいいだけじゃない、ひみつがあるとしたら……。「ネコが顔を洗うと雨が降る」こんなことわざを聞いたことはありませんか?
ネコは「ひげ」という、とても優れたセンサーを持っています。長さを測ったり、平衡感覚を保ったり、空気の動きを感じたり、湿度も感じるといわれています。湿度を感じるということは、もしかするとネコと雨には関係があるのかもしれません。
絵本のモデル「ふく」君が顔を洗うようす。
絵本『ネコは 天気を あてられる?』では、主人公の女の子が、このことわざをおばあちゃんから教えてもらい「本当だったらすごい!」と、愛猫のふく君を観察していくお話です。主人公はネコに秘められた「天気を予知できる可能性」と「ネコの気持ち」を追いかけて、観察と記録を続けていきます。そして、たどりついた結論は、はたしてどのようなものだったのでしょう……。
科学の芽えほん ネコは 天気を あてられる?

科学の芽えほん ネコは 天気を あてられる?

かんちく たかこ(文)  高橋 和枝(絵)  坂﨑 希実(原案)

発売日:2026/03/19

価格:定価:本体1900円(税別)

“観天望気”って、なに?

天気を知らせる存在は、ネコに限ったことではありません。現代は、各地から集められた気象データや、衛星からの情報などをスーパーコンピューターが解析して気象予測をしていますが、そんな機械がなかった時代、人々は自然を観察し、天気と関係することがらを見つけて、経験から天気を知ろうとしていました。

このように、空のようすや生きものなど身近なものを観察して天気を予想することを「観天望気」といいます。そのいくつかは、ことわざとなって知られているので聞いたことがあるかもしれません。そのいくつかをご紹介しましょう。

「動物」の観天望気

「ツバメが低く飛ぶと雨」

なぜかというと、

①雨の前に、空気のなかの水分が多くなる。
②ツバメの食べものであるカなどの昆虫の羽が、水分で重くなって低く飛ぶ。
③それを追うツバメも低く飛ぶ。

という理由づけがされています。

ただ、晴れでもツバメが低く飛ぶこともありますし、その反対もあります。そのため「絶対当たる!」とはいえませんが、湿度が高いと食べもののユスリカなどが川面近くを低く群れるので、「絶対まちがい!」ともいえません。しっかり観察してデータを積み重ねていけば、このことわざが真実か、答えに近づいていくことでしょう。
写真:Batsuamaru_Photo/イメージマート

「空」の観天望気

「夕焼けの次の日は晴れ」

そのしくみはこうです。太陽の光のなかには、いくつもの色が入っています。そのなかで赤色は遠くまで届く性質があります。赤く焼けた空の色は遠くから届いている光の色なのです。

ということは、夕焼けは、

①太陽が遠くにあって
②そのあいだにじゃまする雲がない

状態ということになります。
夕方、太陽は西へと沈んでいきます。日本が位置する中緯度帯上空には「偏西風」という、西から東へと大きく蛇行しながら地球を一周する風が、一年中吹いています。その影響で、天気は西から変わる性質があるので、

③遠い西のほうまで晴れのエリアが続いている

ということになり、つまり次の日は晴れるといえるのです。世界の多くの地域で同じようなことが言われているワールドワイドな観天望気です。
写真:malea_2184-イメージマート
反対に「朝焼けは雨」ともいわれます。

朝焼けは東の空が晴れているということになります。日本では、春や秋は、晴れをもたらす高気圧と、雨をもたらす低気圧が交互にやってくるので、東が晴れていれば、次は西から低気圧がくる、ということになります。気圧配置によっても変わってくる観天望気です。
空の観天望気をもうひとつ、「飛行機雲が長く残ると雨」

飛行機雲は飛行機のエンジンから出た水蒸気が、急に冷やされて雲になったものです。上空が乾燥していればこの水蒸気はすぐ消えてしまいますが、湿度が高ければ長く残ります。上空の湿度が高い=水蒸気が多いということは、天気が崩れる可能性が高くなります。これは、エンジンつきの飛行機が開発されたあとの観天望気なので、比較的新しいものといえますね。
写真/PIXTA
湿度でいうと「くしの通りが悪いと雨」というものもあります。

空気が湿っていると、髪の毛は水分をふくんで太くなり、表面の性質も変わって、くしが通りづらくなるためです。髪の毛は湿度により性質が変わるため、「毛髪湿度計」という歴史ある湿度計に利用されているほど敏感なセンサーです。
天気の変化は、地形や気圧配置など、さまざまなことがらが影響しあって起こるので、地域や季節によってちがいがあります。また、昔と今とでは、私たちがくらしている環境も変わっていて、室内ではエアコンや加湿器で外とはちがう条件になっていることもあるので、観天望気が絶対ということはありません。

そこを補うのが、よく観察することで身につく「経験値」です。天気だけにかかわらず、目で見て、耳で聞いて、なんだろうとさわってみて、季節の匂いをかぎ、旬の美味しいものを食べ、五感を使って自然に接したとき、自然が教えてくれることはたくさんあるのです。
観天望気や天気のことわざを調べて、当たるかどうか調べてみるのは楽しいことです。身の回りをよく観察して、天気と関わりがありそうなことがらがあったら、ぜひ観察を続けてみてください。天気との関係がうかびあがってくるかもしれませんよ。

小学生の実験が原案となった絵本『ネコは 天気を あてられる?』

子どもたちが自然現象のなかで不思議を発見し、観察・実験して考えたことを募集する「科学の芽」賞。それを受賞した小学生の作品を絵本化しました。

「猫が顔を洗うと雨が降る」とおばあちゃんに聞いたことから、飼い猫と天気の関係を調べていった主人公。猫が顔を洗った次の日の、天気は? 気温は? 湿度は? さまざまに調べた結果は……? 自由研究や理科の課題の参考にもなる絵本です。
科学の芽えほん ネコは 天気を あてられる?

科学の芽えほん ネコは 天気を あてられる?

かんちくたかこ(文) 高橋和枝(絵) 坂﨑希実(原案)

発売日:2026/03/19

価格:定価:本体1900円(税別)

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川嶋 隆義
かわしま たかよし

川嶋 隆義

Takayoshi Kawashima
編集者・カメラマン

「本をとおして人々を自然好きにしてしまうのだ!」を合い言葉に自然科学、生物専門に書籍の企画編集をするスタジオ・ポーキュパインを主宰。 写真撮影、ライティングと制作に深く関わって本作りをする。ポーキュパインは哺乳類ヤマアラシの英名。

「本をとおして人々を自然好きにしてしまうのだ!」を合い言葉に自然科学、生物専門に書籍の企画編集をするスタジオ・ポーキュパインを主宰。 写真撮影、ライティングと制作に深く関わって本作りをする。ポーキュパインは哺乳類ヤマアラシの英名。