2021.06.03

2児の子育て中! イラストレーターが初の絵本に込めた「片付け上手」のおまじないとは?

ピタッと気持ちいい新感覚絵本『バラバラピタッ!』作者・コンノユキミさんインタビュー

著者:コンノユキミ

絵本『バラバラピタッ!』は、〈おかたづけ〉がテーマの、穴にぴたっとはまる絵柄が楽しいしかけ絵本のボードブック。

『バラバラ ピタッ!』(作/コンノユキミ 講談社)

ふたりのお子さんを育てる作者のコンノユキミさんに、実生活で〈おかたづけ〉のために心がけていることをお話しいただきました。

“ぴたっ”とおさまる気持ちよさ

『バラバラピタッ!』のきっかけは、私がイラストレーターとして参加した本『1歳のうたとおはなし』の中で描いた赤いりんごの絵を、編集者が気に入ってくれたことです。

「子どもが物語を楽しめる年齢になる前、幼児期に “物”を知るための絵本も大事なんですよ」「“物”の絵本を描いてみたら」と声をかけてくれたのです。

これまで児童書の挿絵や装画をたくさん描いてきましたが、そんなことを言われたのははじめてでした。

「どんな“物”の絵本をつくろうか……」とあれこれ考えていたときに思いついたのが〈おかたづけ〉の絵本です。

クレヨンが バラバラ  絵本『バラバラ ピタッ!』より

ならべてー  絵本『バラバラ ピタッ!』より​

ピタッ!  絵本『バラバラ ピタッ!』より​
(バラバラだったオレンジのクレヨンが、ページをめくると、みごと整列してピタッ!)

たまたま、近所の認可保育園がモンテッソーリ教育を取り入れていて、うちの2人の子どもたちも楽しく通っていました(上の子は卒園)。

私は以前からモンテッソーリの考え方を「おもしろいな」と感じていたので入園が決まったときは嬉しかったのですが、くわしく知っていたわけではありませんでした。

モンテッソーリでは子どもが何かにこだわる時期を発達段階のひとつとしてとらえ、「敏感期」と呼んで大事にしたり、手作業を子どもの「お仕事」と呼んで積極的にとらえたりします。

うちの子は、上が男の子で、下が女の子。自由奔放な物づくりを楽しむ兄と違い、下の娘はこまかい「お仕事」が大好きでした。1歳半頃は「棒落とし」に夢中で、おすわりした足の間に、円柱状の容器を置き、アイスの棒状のものを、穴から落とす遊びをよくやっていました。

小さな子が、指先の動きで、棒の先端と入口をぴったり合わせるのは難しいのですが、2つの形が合うとすっと棒が入り、すとんと中に落ちる。それが、娘には楽しかったのですね。

〈おかたづけ〉の楽しさって何だろう。きっと物が“ぴたっ”とおさまる気持ちよさじゃないかしら。“ぴたっ”とはまる楽しさをどんなふうにしたら絵本で表現できるだろうか……。

そう考えていたときに、「そうだ、穴が必要だ!」と(笑)。「穴に物が“ぴたっ”とはまるおもしろさを表現できれば、きっと気持ちいい〈おかたづけ〉の絵本になる」と思いました。

容器のフタに棒の形状にあわせた小さな穴があけてあり、穴の口にうまく棒を入れられると、中にすとんと落ちます。1歳半頃の「棒落とし」。  イラスト/コンノユキミ​

「バラバラ~ピタッ!」は魔法の呪文

子どもたちを見ていて思うのは、物が散らかっていることも、きっと彼らは楽しいんだろうなってことなんです。

バラバラ~としているのも好きで、でも“ぴたっ”と物がおさまっているのも気持ちいい。だから「バラバラ~」も「ピタッ!」も、両方、楽しい呪文みたいになればいいなと思いました。

たとえば、せっかく遊んでいるのに、「かたづけなさい!」と怒られたら、誰だっていやな気分になって、かたづけたくなくなりますよね。

でも「『バラバラ~ピタッ!』しようか」と声をかけたら、一緒に「バラバラ~」から「ピタッ!」への〈おかたづけ〉も楽しめるのではないでしょうか。

わが家でも「『バラバラ~ピタッ!』しようか」と声をかけたりします。今はもう息子が7歳、娘が4歳で、いろんなことができるようになりました。

“自分のもの”をかたづけられるスペースづくり

子どもにとって“自分のもの”は嬉しいものですよね。それを自分自身が管理できるって、子どもの自立心にもすごく大切なことだと思います。

そのためには、物がたくさんありすぎないほうがいいんじゃないかな。大人だって、物がいっぱいだと「どこから手をつけたらいいんだろう」と混乱しますよね。

わが家では〈おかたづけ〉のためにいくつか箱を用意していますが、全部箱に入れずに、お気に入りのおもちゃは箱の外に置いてもいいということにしています。

とにかく大切なのは、ぎゅうぎゅうじゃないこと。ぎゅうぎゅうだと、どこに何があるのかわからないし、出し入れが難しいですよね。

定位置さえ決まって、置き場所にゆとりがあれば、ぽんと置いてあるだけでも、意外とかたづいているように見えるものなんですよ。

子どもが大事なものは「かたづけなさい」と言わずに、飾ってあげる。ただ〈おかたづけ〉のためのスペースを確保してあげるよう、大人は心がけたらいいんじゃないかな……と思います。

コンノさんのお宅では、子ども服とおもちゃをオープン棚に収納。量を少なめに、子どもに見やすいようにを心がけているそう。おもちゃ箱は下段右。​

おもちゃは箱に入れて収納。飾りたいものは箱に入れずに飾っています。​

わが家のもうひとつの工夫は、玄関脇にロッカースペースをつくって、子どももそれぞれ自分で管理できるようにしていることです。

うちは私と夫、子ども2人の4人家族。ロッカーは4つあり、それぞれ棚は可動式なので、小さな娘も、身長に合わせた棚の高さで、コートやリュックなど、帰ってきたときに置きやすいようにしています。

娘さん(左)と息子さん(右)のロッカー。空いている部分にはバッグなどが入る。登園リュックはコート下(左ロッカー)、ランドセルは一番下(右ロッカー)と、それぞれ使いやすい場所に。一番上は、普段使わないものを収納。

小さな頃は、楽しく笑っていてほしい!

いろんな「バラバラ」と「ピタッ!」を描いた『バラバラピタッ!』ですが、「“ぴたっ”として気持ちよく終わるのは何だろう?」と考えて、大人の手と子どもの手の「ピタッ」、そしてママとにっこり笑ってくっついて「ピタッ」と終わることにしました。

手をあわせるのは“やったね”というハイタッチにも見えて、読んでいるお子さんにとっては、 “受け入れられた”安心感や達成感が感じられるかもしれないですね。

あわせて ピタッ!  絵本『バラバラ ピタッ!』より

ママと ピタッ!  絵本『バラバラ ピタッ!』より

はじめての絵本づくりはすごく難しかったです。自分のどんな思いを絵本にしてみなさんに手渡したいのか、たくさん悩みました。同時に、やりがいやおもしろさも感じます。

私自身の過去をふりかえっても、自分の子たちを見ていても、「小さい頃って大事だな」と思うんです。「幼少期をどう過ごすかは、人生に大きな影響を与えるんじゃないかな」と。

生活にまつわることも、周囲とのかかわりも、他者を信頼したり自分を肯定したりも……。その人のいちばん根本的で大事なところがつくられる気がします。その時は、過ぎてしまえばもう戻ってこないんですよね。

だからこそ、「子どもたちには、楽しく笑っていてほしい!」という思いがずーっとあります。そのお手伝いを、絵本をつくることでできたらと思っています。

“子どもの気持ちよさ”に寄り添いながら、暮らしの工夫を楽しむコンノユキミさん。あたたかいまなざしが伝わってきますね。

この絵本『バラバラピタッ!』でおもいきり遊んで、子ども目線の〈おかたづけ〉を始めてみませんか。

子育ての実感をもとに絵本を生みだすコンノユキミさん。これからの絵本づくりもとても楽しみですね。

取材・文/大和田佳世

著者紹介

コンノユキミ

1978年生まれ。東京学芸大学美術科卒。つくば市在住。
主な作品に、「頭のいい子を育てるおはなし366」(主婦の友社)シリーズ装画、「たまひよ おうたえほん」(ベネッセコーポレーション)シリーズ装画、「みてさわっておぼえる あいうえおのえほん」「みてさわっておぼえる かずのえほん」(主婦の友社)、月刊絵本「チャイルドブックジュニア」装画[2014~2018年度](チャイルド本社)、『バラバラピタッ!』『おきがえできるかな?』(講談社)などがある。

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