2021.08.26

残暑でやる気も食欲も減退…「夏バテで元気がないとき」おすすめの絵本

大人に効く絵本〔12〕絵本専門士・井上まどか

寄稿家:井上まどか

残暑厳しい日は絵本から涼をとることもできます。そんなおすすめの絵本3冊をご紹介します。  写真:アフロ

美しい絵に癒やされたり、ハッと気付かされたりと、大人にとっても感動がいっぱいの絵本。この連載では、“絵本のプロ”がパパママにこそ読んでほしい絵本をテーマに合わせてピックアップ。

第12回は、絵本専門士・井上まどかさんが「夏バテで元気がないとき」におすすめの3冊を紹介します。

こんなプールに入ってみたい!

――夏バテに効く絵本は、どんな視点で選びましたか?

2021年の夏は、特に暑かったですよね。暑さだけじゃなく、冷房の効きすぎで体が冷えてしまったり、雨が降ればジメジメと不快だったり……。

9月に入っても、しばらく残暑が続きます。この季節を元気に乗り越えるには、まずはしっかり食べること! 食欲が湧いて、気分もさわやかになる3冊を選んでみました。

1冊目にご紹介するのは、とってもユニークでかわいい韓国の絵本『すいかのプール』(作:アンニョン・タル、訳:斎藤真理子)です。

「まなつのお日さま あっつあつ。すいかはすっかり じゅくしてます。」
「すいかのプールの プールびらきです。」


半分に割ったすいかの真っ赤に熟した断面を見て、<飛び込んでみたい!>と思ったことはありませんか? 『すいかのプール』は、そんな大人も子どもも誰もが一度は空想してしまう、夢のような体験をかなえてくれる絵本です。

葉っぱの上からダイブしたり、すいかの皮で作ったすべり台で遊んだり。プールにやってきた子どもたちは、とっても楽しそう。村のみんなが、年に一度のすいかのプールを心待ちにしていた様子が伝わってきます。

私が好きなのは、真っ先にやってきたおじいさんがすいかの種を抜いて、その穴にすぽっと浸かるところ。まるで温泉に入っているかのような、何とも幸せそうな表情を浮かべています。

音もまた心地いいんです。すいかの上を歩くと「さっくさっく」、足をバタバタさせれば「ぴちゃんぴちゃん」。

経験したことがないのに<すいかの上を歩いたら、こんな感触なのかな><きっとこんな音がするんだろうな>と、想像できるから不思議です。

――“音で感じる涼しさ”ってあるんですね。

そう思います! 清涼感があって、無性にすいかが食べたくなりますよね。

お子さんが読んだら、<韓国には、こんなに大きなすいかのプールが本当にある>って信じてしまうかも……(笑)? 親子で一緒に読むのもおすすめですよ。

大きなすいかがパカッと割れたプールがあったら……。子どものユニークな空想を描いた韓国の絵本『すいかのプール』(作:アンニョン・タル、訳:斎藤真理子/岩波書店)。

かき氷の写真を眺めてクールダウン

続いてご紹介するのは、『かき氷 天然氷をつくる』(文:伊地知英信、写真:細島雅代)。埼玉県・長瀞町にある、創業明治23年の老舗の氷屋さん「阿佐美冷蔵」の天然氷作りを紹介した写真絵本です。

「阿佐美冷蔵」は、夏はもちろん、オフシーズンでもたくさんのお客さんがいらっしゃる人気店。

今では希少な天然氷がどのように作られているのか、なぜ天然氷はおいしいのか、その秘密が綴られています。

絵とは異なる切り口で、図鑑ともまた違う。時系列でまとめたドキュメントで、大人の知識欲も満たしてくれますよ。

私も「阿佐美冷蔵」のかき氷をいただいたことがあるんですが、フワフワの溶けるような食感で、頭がキーンとしなくて、本当においしい! 天然氷ですから結構なお値段がしますが、あれだけの手間暇がかかっているのなら納得です。

色とりどりのかき氷の写真を眺めていると、また食べに行きたいなぁ~としみじみ思います。

――かき氷のページもいいですが、冬場に氷を切り出す様子、きらきら輝く天然氷の透明感にも、体感温度がぐっと下がった気がしました。

そうなんです! まだまだ暑さが厳しい今の時期にぴったりの1冊ですね。

埼玉県・長瀞町の山間部で、約130年続く老舗の氷屋「阿佐美冷蔵」の天然氷作りを追いかけたフォトドキュメント『かき氷 天然氷をつくる』(文:伊地知英信、写真:細島雅代/岩崎書店)。

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