残暑でやる気も食欲も減退…「夏バテで元気がないとき」おすすめの絵本

大人に効く絵本〔12〕『すいかのプール』『かき氷 天然氷をつくる』『お化けの海水浴』がおすすめ

怪談の入門編? かわいいお化けが大集合

最後は、お子さんと読んでほしい絵本として『お化けの海水浴』(作:川端誠)をご紹介します。

この『お化けシリーズ』は、現在6冊が発売されているのですが、中でも<お化けが海水浴にいく><お化けだって浜でバーベキューをする>という設定が夏らしくておもしろい、この絵本を選んでみました。

「お化け屋敷の面めんが、今年も海にやってきました。
ここは、お化けだけの浜辺です。
もし人間がまよいこんだら、おそろしい目にあうのです。」


一つ目小僧、三つ目の大入道、すなかけばばあ、ろくろっ首、共潜(ともかづき)の姉妹、ひょろけ……お化けたちはみんな、それぞれの特技を生かして海を楽しんだり、宴用の食材を集めたりしています。

めずらしいお化けも出てくるので、お化けの本、妖怪の本を片手に、調べながら読むのもよさそうです。

そして、大人がクスリと笑えるポイントも。鬼ヶ島からやってきた赤鬼・青鬼は、三つ目の大入道からすすめられたお酒を飲んで具合が悪くなってしまうのですが、お酒の銘柄を見ると「大吟醸桃太郎」「純米鬼ごろし」(笑)。ジョークがきいてますよね。

今のコロナ禍だと海に行くのがなかなか難しいですが、このお化けさんたちみたいに、いつか海水浴にいけるように、バーベキューができるように、絵本を読みながら楽しみに待ちたいですね。

――子どもって、意外とお化けや妖怪が好きなんですよね。

<ちょっと怖いけど好き、ワクワクする>という子は、多いですね。

本格的な怪談も涼しくなっていいですが、この『お化けシリーズ』に登場するのは、愛嬌があって、かわいいお化けたち。妖怪が苦手なお子さん、怖い話が苦手なお子さんでも、きっと楽しんでいただけると思いますよ。
お化けたちが海水浴へ。海のお化けたちも集まって、浜で宴を開くことに。お化けたちの楽しい夏の一日を描いた『お化けの海水浴』(作:川端誠/BL出版)。
取材・文/星野早百合
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いのうえ まどか

井上 まどか

絵本カフェ「ムッチーズカフェ」店長

絵本カフェ「ムッチーズカフェ」店長。絵本専門士、保育士、幼稚園教諭一種、認定心理士の資格を保有。都内の公立保育園に9年間勤務した後、“夢と魔法の王国”での自称・お姉さんを経て、2016年、大人のための絵本カフェ「ムッチーズカフェ」をオープン。 2020年11月には、東京・西荻窪にリニューアルオープンを果たす。絵本コラムを多数執筆し、雑誌『たのしい幼稚園』(講談社)では、おすすめの絵本を紹介する連載『たのしい絵本館』を担当。2021年度より、「認定絵本士養成講座」(国立青少年教育振興機構)の講師も務める。 ムッチーズカフェ 公式サイト https://mucchis-cafe.jimdofree.com/ ムッチーズカフェ Twitter  https://twitter.com/mucchiscafe

絵本カフェ「ムッチーズカフェ」店長。絵本専門士、保育士、幼稚園教諭一種、認定心理士の資格を保有。都内の公立保育園に9年間勤務した後、“夢と魔法の王国”での自称・お姉さんを経て、2016年、大人のための絵本カフェ「ムッチーズカフェ」をオープン。 2020年11月には、東京・西荻窪にリニューアルオープンを果たす。絵本コラムを多数執筆し、雑誌『たのしい幼稚園』(講談社)では、おすすめの絵本を紹介する連載『たのしい絵本館』を担当。2021年度より、「認定絵本士養成講座」(国立青少年教育振興機構)の講師も務める。 ムッチーズカフェ 公式サイト https://mucchis-cafe.jimdofree.com/ ムッチーズカフェ Twitter  https://twitter.com/mucchiscafe