2021.01.07

どうする保活・幼活?「コロナで見学不可」保育園・幼稚園の決め方

家族心理ジャーナリスト 麻生マリ子さんに聞く「見学なしで希望する園を決定する際の注意点」

寄稿家:麻生マリ子

これから入園を希望する保護者にとって、保育園や幼稚園(以下、「園」)の見学は大きな判断材料のひとつ。とはいえ、次年度以降の入園に際し、いまだに収まる気配のないコロナ禍を理由に園内見学を中止したり制限したりする園も少なくありません。見学しないままに希望する園を決定する際の注意点とは何でしょうか?

コロナ禍で「在園児以外」が園と接する機会が激減


写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、園では徹底した感染予防対策が行われています。職員や園児・保護者はもちろんのこと、園に出入りするすべての人が感染予防に気を配らなければ、園のクラスター発生は防げません。

日本国内の感染者数が増加して警戒が強まると、園はさらなる予防対策を行うことになります。実際、第一波のピークとなった2020年4月から6月にかけて、主に都市部において園の受け入れ体勢がかなり絞られました。

同時に、卒園式や入園式をはじめとするさまざまな行事は規模を縮小・短縮、あるいは中止に。加えて、コロナ以前には行われていた園庭開放や、地域の乳幼児が参加できる運動会やお祭りなどの行事も同様です。実施に踏み切ったとしても在園児とその家族のみで行うなど、規模を大幅に縮小しています。こうしたことから、入園前の子どもと保護者が園と接する機会が激減しているのです。

さらには、次年度入園希望者のための園内見学や入園説明会も、園によっては中止に。それでなくても、身動きが取りづらいコロナ禍の昨今。初めての入園に向けて、どのように“保活・幼活”をするべきか、不安は尽きません。

他人の子どもの様子を観察して園の運営を見抜ける保護者はいない

“生きづらさ”の背景として母子関係や家族の問題に注目し、様々な家庭の心理相談に応じている家族心理ジャーナリストでカウンセラーの麻生マリ子さんはこう話します。

「『園内見学は中止』なんて聞くと焦ってしまいますよね。でも、大丈夫です。コロナ以前でも、忙しくて見学せずに入園を迎えた家庭も少なくありませんでしたし、見学は絶対ではありませんよ。仮に園内見学が実施されていたとしたら、保護者としてなにを目的に、どこを重要視したかったのか、整理してみましょう。そのうえで、現状でそれを果たす代替手段を見つけていけばいいのです。直接、電話でやり取りすることもできますし、中にはオンライン見学を実施している園もありますから」

園内見学には“通っている子どもの表情を見て、好ましい保育が行われているか確認する”というイメージがあるけれど、他人の子どもの姿を見て園の運営まで見抜ける保護者はいません。大切なのは事前の絞り込み。どのようなポイントを押さえたらいいでしょうか。

「大前提として園が生活圏内にあること。その範囲内で、児童数などの規模、園庭のある・なしなど、各家庭の要望に近い園をピックアップします。できれば実際に外からでも園の様子を見に行くといいでしょう。立地や環境、通勤ルートとの位置関係、大まかな園の設備などは把握できるはずです。次に調べたいのが、経営母体の信頼度。公立ならともかく、私立では突然の倒産・閉園の可能性もあります」(麻生マリ子さん)

待機児童問題の解消に向けて、都市部では保育園の新設が急増。その一方で、倒産する園も現れました。2018年には全国で7件、2019年には8件が倒産しており、その多くが保育ビジネスに新規参入した業歴の浅い経営母体で、認可外保育園だった、という報告もあります。園が閉鎖されると翌日から子どもの預け先がなくなるため、共働きやひとり親家庭には大打撃。せめて経営する企業と業歴は調べておきたいところです。

園の運営状況を求人サイトの口コミから探る

「次に気になるのが、保育士の質。優秀な先生が勤務し続ける園は良い園といえますが、リサーチしづらいところではありますよね。そこで参考にしたいのが、信用度の高い口コミ。園の口コミも参考にはなりますが、保育士・幼稚園教諭の求人サイトを閲覧するのも手です。『入れ替わりが激しい』『ハラスメントがある』『隠匿体質がある』『給与の遅延がある』などの書き込みは見過ごせないですね。ただし、ネットの口コミ全般に言えることですが、良い評価も悪い評価も鵜呑みにしすぎず、ある程度割り引いて捉えるべき。

また、口コミ以上にチェックしたいのが、待遇や求人内容。しょっちゅう求人が出されている、無資格の保育補助の求人が出ているなど、引っ掛かる部分が見つかったら要注意です」
(麻生マリ子さん)

こうして事前にできるリサーチを済ませたうえで、いよいよ希望する園とコミュニケーションを取ります。

「直接、園に電話連絡し、延長保育やスポット保育の状況など、不安や疑問を解消していきます。とくに食物アレルギーや発達障害など、特性のある子どもを持つ親なら、細かな対応を確認する必要が。例えば食物アレルギーなら、給食は除去食なのか代替食なのか、それとも弁当持参か。さらに、普段の保育時間にはどんな対応をしているのかなど、率直に聞いてみましょう」(麻生マリ子さん)

我が子が初めて社会性を身に付ける場所こそが、最大で6年も通うこととなる園です。信頼できる預け先と出会うためにも、しっかりと事前のリサーチを行い、見学にかわる電話連絡にも取り組みましょう。

取材・文:原 西香(はら あきか)
ファッション情報誌、プレママ誌を経て、海外セレブ情報誌を約10年編集・執筆。現在はフリーランスの編集・ライターとして活動。ワンオペ育児中。

寄稿家紹介

麻生マリ子 あそうまりこ

女性たちの抱える「生きづらさ」の背景として母娘関係に注目。心理学科卒。母娘問題や子育て、孫育てやDV、虐待など家族問題について取材や相談活動を続ける。新聞や雑誌への寄稿やコメント提供などを行い、構成作家の顔も持つ。自身も娘を持つ母である。