
恐竜はお花見シーズンの「春」に絶滅したって本当? 意外なことからわかる大昔の季節
【ちょっとマニアな古生物のふしぎ】古生物学者・相場大佑先生が見つけた古生物のふしぎ
2025.03.23
古生物学者:相場 大佑
正解は、「隕石が衝突したその瞬間に死んだ魚の骨を調べる」
木や骨、二枚貝の殻などの断面には、成長とともに縞模様できることがあります。木では「年輪」と呼ばれるものです。このような縞模様がなぜできるかというと、季節により成長する量が違うためです。春から夏をピークとして秋まで成長し、密度が低く薄い色の縞模様ができます。一方、冬には成長が遅くなるか停滞し、成長停止線が現れます。





この魚たちの骨をCTスキャンで調べると、隕石の衝突時に空から降ったガラス球体(衝突球体)が鰓(えら)にたくさん含まれることが確認されました。このことにより、これらの魚が隕石衝突により死んだものであることがわかったのです。

古生物学研究はアイディア次第で誰でも大きな発見ができるという意味で全員が平等であるが良いところです。ぜひ自由な発想で色々なことを調べて、みなさんにも大きな発見をして欲しいです。
ところで、春に恐竜が絶滅したと思うとなんだか少し悲しくなりますね。でも、春は終わりの季節であると同時に始まりの季節でもあります。恐竜時代である中生代が終わって新生代が始まり、恐竜に変わって様々な哺乳類が進化して、私たちがいる現代に繋がっています。春に中生代が終わった季節であることは、春は新生代が始まった季節とも言い換えられるのです。
今年の春が、みなさんにとって良い季節になるといいですね。
During et al. (2022): The Mesozoic terminated in boreal spring. Nature, vol. 603, 91–94.
Kobayashi et al. (2019): A New Hadrosaurine (Dinosauria: Hadrosauridae) from the Marine Deposits of the Late Cretaceous Hakobuchi Formation, Yezo Group, Japan. scientific reports, 9:12389.
注: During et al. (2022)とほぼ同様の手法で類似した結論を導いた論文が、わずかに早いタイミングで発表されている(De Palma et al., 2021)。しかし、その論文はデータの透明性が疑われており、審議が行われているとの注意喚起が論文の掲載ページに付されている。ここでは、During et al. (2022)をもとに記事を作成している。(2025年3月時点)
相場 大佑
深田地質研究所 研究員。1989年 東京都生まれ。2017年 横浜国立大学大学院博士課程修了、博士(学術)。三笠市立博物館 研究員を経て、2023年より現職。専門は古生物学(特にアンモナイト)。北海道から見つかった白亜紀の異常巻きアンモナイトの新種を、これまでに2種発表したほか、アンモナイトの生物としての姿に迫るべく、性別や生活史などについても研究を進めている。 また、巡回展『ポケモン化石博物館』を企画し、総合監修を務める。
深田地質研究所 研究員。1989年 東京都生まれ。2017年 横浜国立大学大学院博士課程修了、博士(学術)。三笠市立博物館 研究員を経て、2023年より現職。専門は古生物学(特にアンモナイト)。北海道から見つかった白亜紀の異常巻きアンモナイトの新種を、これまでに2種発表したほか、アンモナイトの生物としての姿に迫るべく、性別や生活史などについても研究を進めている。 また、巡回展『ポケモン化石博物館』を企画し、総合監修を務める。