半寄生植物ヤドリギの実があるところに現る! エレガントな渡り鳥レンジャクとは?

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ

サイエンスライター:柴田 佳秀

ヒレンジャク
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ヤドリギとレンジャク

日本で見られるレンジャクには、尾羽の先が赤いヒレンジャクと黄色いキレンジャクの2種がいて、どちらも寒くなるとあわられる冬鳥です。大きさは18cmとスズメよりもひとまわり大きな鳥で、なかなか美しくエレガントな姿をしています。

こんなきれいな鳥ですから、一度は見てみたいと思いませんか? 近所を散歩していてレンジャクに出会えたらこんな嬉しいことはないでしょうね。しかし、残念なことに世の中はそう甘くはありません。この鳥に出会うのけっこうたいへんなんです。なにしろ、木の実がたくさんなっていないと現れないからです。

しかも、ヤドリギという特殊な植物の果実を主に食べるので、この植物がないと姿をあらわすことはそうありません。逆に言うと、ヤドリギさえあれば出会うチャンスがあるわけです。

ヤドリギがあるところで待っていると……

ヤドリギとヒレンジャクの群れ
ヤドリギの果実が熟すのは2月から3月で、その時期にレンジャクがやってきます。

朝7時半。ヤドリギがたくさんある木の近くで待っていると、すぐにレンジャクの群れが飛んできました。尾羽の先が赤いヒレンジャクです。数は50羽くらいでしょうか。そして、木にとまるやいなや、びっくりするほどの超高速で次々と実を食べ始めました。なにもそんなに急がなくても、と心配になるほどの勢いでパクパクと食べ続けるのです。
ヤドリギの実を食べる
そんな慌ただしい食事風景を眺めていたら、じっと動かないレンジャクがいるのに気がつきました。「食べ過ぎで動けなくなったのかな」と思って注目していると、お尻からだらーっと何かが出てきます。糸を引いた納豆のような感じです。

ヒレンジャクを利用して寄生!

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