クサい! でもかっこいい! 毒ガス怪虫サソリモドキ

いつだったか日本にも石垣島や西表島などの南の島にはサソリがいるという話をしたけれど、覚えているかな?
そうした島で石や枯れ木をひっくり返してサソリ探しをしていると、こんな大きな黒い虫がとびだしてくることがある。

長い脚に強そうなハサミ、そして細くのびたシッポ…!

なんだコレ!?
サソリ? クワガタ?クモ?それともエイリアン??

いや、どれとも違う!
でもなんだかカッコいいぞ!

この虫の名前は「サソリモドキ」。
ハサミとシッポがあるという点がサソリに似ていることからついた名前だ。けれど、よく見るとサソリとはからだのつくりがかなりちがう。なによりサソリの特徴である「アレ」が見あたらない。

サソリモドキ(左)とサソリ(右)。

こうして並べてみるとあんまりにてないよねー。
サソリモドキはサソリよりもむしろクモに近い生きもの。だからシッポの先に毒バリを持っていないのだ。

なーんだ。強そうな見た目だけど毒バリがないなら安心だね♪…と思ってうかつに捕まえないように!
大変なことになるぞ!

(左)うおおおお!クッセええええ!!
(右)ハサミとおしりをふりあげていかくするサソリモドキ。このポーズをとったら要注意。毒ガスの発射準備はできているぞ。

なんとサソリモドキは毒バリを持たないかわりに、ピンチになるとおしりから毒ガスを噴射するのだ!それがものすごくクサい!
たとえるなら、お酢を濃くしたようなニオイ。このニオイから海外ではサソリモドキのことを「ビネガロン」という怪獣みたいな名前で呼ぶこともあるんだ(ビネガーとは英語でお酢のこと)。


しかも、ただクサいだけじゃあない!
クサいだけなら僕らのオナラと一緒だよね。サソリモドキの毒ガスは目や鼻に入るとめちゃくちゃ痛いのだ!
実は僕ははじめてサソリモドキを捕まえたときにうっかり顔の前でニオイをかいでしまったのだ。その瞬間、ニオイを感じるよりもさきに鼻の奥がツーン!!と痛み、くしゃみがとまらなくなった。「いってえ!クッセえ!ハックショーン!」というマヌケな絶叫が南の島にひびいた。

サソリモドキの赤ちゃん。小さくても一人前に毒ガスは出せるの捕まえるとほんのりクサい。

こいつ…!へたするとサソリより危ないんじゃ…?
特に日本にいるサソリはおとなしくて毒の弱いものばかりだからなおさらだ。
南の島で生きものを観察するときは、サソリよりもサソリモドキに注意すべし。もし見つけても、さわらずにはなれた場所からそっと観察しよう。
それでももし毒ガス攻撃をまともにくらってしまったらすぐに水でよく洗いながす。それでも痛みが出たり赤くはれたりした時はお医者さんにみてもらおう。
それからもちろん、サソリモドキだけではなく毒ヘビやハチ、ムカデなどにも注意!南国の森にはおもしろい生きものもたくさんいるけれど、危ないものも多いのだ。

サソリやサソリモドキを探しているとよく出会う毒蛇のサキシマハブ(左)や大型のムカデ(右)。

こっちの方がうんと危ないぞ!