すっ転んでもただでは起きない男 その1
2017.07.03
石をうらがえし、枝をゆすり、ウンコをおき、灯りをたき、とにかく虫が見つかりそうなことは思いつくかぎりかたっぱしからためした。
しかし、野外ではふとしたことから、まったく予想もしなかったような虫の見つけかたを思いつくこともある。
すこし地面がななめにかたむいた場所にさしかかったとき、わたしはぬかるんでいた赤土の地面に足をすべらせ、はでにころんでしまった。
おかげでズボンも服もどろだらけ。
ただでさえ、かえの服がないのにこまったなと思いつつ、その場を立ちさった。
その日の夜。
さすがにすっぱだかでジャングルに突撃するわけにもいかず、どうにか服を手に入れて身に着けてから、わたしはまた出かけた。
とくになにも考えず、懐中電灯であたりを照らしながらジャングルを歩く。
そして、たまたま昼間自分がころんだ、あのぬかるみのそばへとさしかかった。
地面には、まだわたしがころんだ際にこすれたあとがついたままだった。
と、そのとき、わたしは、そのこすれたところになにか小さくて丸いものが一つあるのに気づいた。
なんだと思い、指でつまんでみた。
まっ黒くてツヤツヤした物体で、大きさは空気銃のタマとほぼおなじ。
きれいな丸い形をしていた。
それを手のひらに乗せて見つめていたら、あるときいきなりそれに裂け目が入り、パカッと開いたではないか。
とたんに、その裂け目からみじかい脚が出てきて、手の上をチョコチョコあるき出した。
コガネムシの一種、マンマルコガネだったのだ。
マンマルコガネってどんな虫?
どうしてそこにあらわれたの?
そのひみつは後半で!