火星には今も液体の水が流れている!?
2015.12.22
NASAが9月末、「火星に液体の水がある証拠を発見した」と発表しました。その証拠の鍵をにぎるのは、表面に見える「黒い筋」。
この筋の正体はいったい何なのでしょうか。どのようにあらわれたのでしょうか。
この黒い筋は2011年に初めて見つけられました。画像を解析した結果、夏を中心とする暖かい季節にあらわれ、寒い冬になると消えてしまうことがわかったのです。
クレーターのふちなどの斜面にあり、幅は5mほど、長さは長いもので200mにもおよびます。
想像をふくらませると、黒い筋は水が流れたあとのように見えますが、決定的な証拠は見つかっていませんでした。じつは、火星は地球よりも気圧が低いので、氷がとけると水蒸気になってしまいます。ドライアイスが固体からすぐに気体になってしまうように……。
液体の水は通常、火星では存在できないのです。しかし、あきらめるのはまだ早いです。
寒い冬に、「湖はこおっても海はこおらないのはなぜだろう」と考えたことがあるかもしれません。じつは、海水のように塩(えん)をふくむ水は、氷になる温度が0℃より低くなるので、凍りにくくなるのです。逆に、水蒸気になる温度は高くなるため、気体になりにくくなります。
つまり、火星の水にも塩がふくまれていれば、液体の水が存在できるかもしれないのです! そこで、塩の探索が始まりました。
今回発表した研究チームは、火星の表面で反射された光を分析して、地表にどんな物質があるのかを調べました。そして、黒い筋のちかくで、水分子がくっついた塩「水和塩(すいわえん)」を見つけたのです。これが今回の発表のポイントです。
つまり、黒い筋のちかくで塩が見つかったことにより、火星には今も液体の水が流れていると考えたのです。
この水はどこからやってきたのでしょうか。地下にたまった水がしみ出したり、空気中の水分を吸いとったり、いろんな説が考えられていますが、くわしくはまだわかりません。
液体の水があると聞くと、その水の中に生命がいるかもしれないと想像がふくらみますね!
新たな発表を楽しみに待ちましょう。
関連:MOVE「星と星座」65ページ