世紀の発見! 重力波ってなんだ!?

2016年2月11日、アメリカのレーザー天文台「LIGO(ライゴ)」の研究グループが、世界ではじめて「重力波」の観測に成功したことを発表しました。
アインシュタインが「重力波」の存在を予言してから100年。世界中が歓喜にわいた、世紀の大発見でした。

1916年、アインシュタインは『一般相対性理論』のなかで、「物体の重み(質量)によって時空(時間と空間)がゆがむ」というおどろきの理論を発表しました。
そして、そのゆがみが波のように広がったものが「重力波」であると主張しました。
しかし、存在は予言されたものの、その後100年ものあいだ、「重力波」は観測されず、「重力波」の発見は、物理学者の悲願だったのです。
観測された重力波は、アメリカ西海岸のワシントン州ハンフォードと、メキシコ湾岸のルイジアナ州リビングストンという2か所で観測されました。
ことなる場所で観測された2つ波の形は、ほぼ一致しました。
波の形が、ぐうぜんに一致することは、重力波以外にはほぼ起こりえないとして、「重力波」の観測が証明されたのです。

また、今回の重力波は、太陽の質量の36倍のブラックホールと、太陽の質量の29倍のブラックホールが合体したときに生じたもので、合体後は、太陽の質量の62倍のブラックホールができたと考えられています。
あれ?と思った方もいるかもしれません。
「36+29=65倍」であるはずなのに、なぜ「62倍」なのでしょう?
じつは、この残りの、太陽の質量の3倍分のエネルギーが、「重力波」として出ていったのです。
たった1グラムの質量でも、都市をふっとばすくらいのエネルギーがあります。
これが、太陽の質量の3倍ともなると、とんでもないエネルギーになりますね!

でも、じっさいに空間がゆがんだのは、
最大でもわずか0.000000000000000001ミリメートル。
これは、1ミリメートルを、1000で6回わったくらいの長さ!
想像できないくらいのわずかなゆがみが、およそ13億年をかけて、地球に伝わってきたと考えられています。

「重力波天文学」という新しい学問の幕あけともいわれる、今回の大発見。
重力波は、宇宙が誕生したときの大爆発「ビッグバン」でも発生したと予想されています。
その重力波が観測されれば、宇宙誕生のひみつも明らかになるかもしれません。

日本でも重力波の望遠鏡「KAGRA(カグラ)」による観測が、2017年にはじまるとみられています。
今後の天文学から、ますます目がはなせないですね。

■関連:MOVE「宇宙」93ページ