サメも食う!? フロリダの巨人・大魚イタヤラ 前編

写真:平坂寛『モンスターハンター平坂寛の びっくり! 生きもの烈伝』
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今回はアメリカで出会える巨大魚の話をしよう。

どれだけ大きいかって、なんとそいつはサメを食う!エイも食う!さらには人間まで海の底へ引きずりこんでしまう……なんていうコワいウワサもあるくらいなんだ。

その魚の名は『イタヤラ』!!
アメリカではゴライアスグルーパーともよばれている。グルーパーは英語でハタのなかまのこと。
そしてゴライアスは巨人のことだ。もう名前からしてデカそうでしょ?

ところでアメリカ……と一口に言ってもものすごく広いんだけど、イタヤラが住んでいるのはその東の端っこにちょこんとつき出たフロリダ半島という場所の周りだけ。
イタヤラは小さいうちはマングローブの林で過ごし、大きくなったらエサの魚やエビ・カニがたくさんいるサンゴ礁に住みつく。
あたたかくて自然が豊かなフロリダにはこうした環境がたくさんのこっているんだ。
これは生きた化石とよばれる古代魚アミア・カルヴァ。
フロリダ半島はアメリカでも特にあたたかく、たくさんのめずらしい魚たちがいる。
海にはターポンという巨大魚がうようよ。でも!イタヤラの迫力はもっとすごいぞ。
ほかの国にもいるにはいるのだけど、もうずいぶん減ってしまったらしい。
なぜならここだけの話、イタヤラってものすごくおいしいらしいのだ……。
そしてイタヤラはとても大胆な性格なので、エサさえついていればどんなに大きな釣り針にもすぐ食いつく。
とてもかんたんに釣り上げられてしまうのだ。

それを知った昔の人は「おいしくてでっかい魚がかんたんにとれる!」と大よろこびでどんどん捕まえてしまった。
するとどうだろう。あっという間にイタヤラは数を減らしてしまった。
イタヤラは卵を産めるようになるまでにとても時間がかかってしまう魚なので、一度まとめて捕まえて食べてしまうとなかなか増えられなかったんだ。
日本にもいるスジアラというハタ
イタヤラにかぎらず、ハタのなかまはどれもとてもおいしく世界中で高い値段で売り買いされる。
もしそれが数十キロ、数百キロの大物だったら……!?

だがアメリカでは「このままじゃあマズいぞ!」と捕獲を禁止したため、現在ではまたかなりの数がフロリダの海へ戻ってきている。どれぐらい戻っているかというと、あちらこちらの桟橋に住み着いているくらい。
水深数メートルしかないような浅場(あさば)にだ!
そして「かならず元気なまま逃がす」ということを条件にイタヤラを釣り、間近で観察することもできるのだ。
イタヤラ釣りをしていると船のまわりにイルカが寄ってくるぞ。エサの魚をねだっているようだ。

後編につづく。
イタヤラを捕まえることはできるのか!?
お楽しみに!
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