サメも食う!? フロリダの巨人・大魚イタヤラ 後編
2018.03.13
そのため、イタヤラを釣るには生きた魚をエサにする。
ただし、サイズがものすごい。
60センチはあるヒラアジやナマズ(フロリダには海にもナマズの仲間がいる)、小さめのエイやサメを使うことだってある。
これくらいのボリュームがないと、大食いのイタヤラはお気に召してくれないのだ。
さすが海の巨人!
イタヤラは一度すみついた場所からはなかなか動かないので、釣り船のキャプテンたちはどこにイタヤラがいるのかを覚えている。
ものほしざおみたいな釣りざおにロボットみたいなリールをセット。
イタヤラの力で海に引きずりこまれないよう、船と体にベルトで固定する。
うどんみたいに太い釣り糸に特大の釣りバリをむすびつけ、エサをひっかけてイタヤラの巣へほうりこむ。
するとすぐに釣りざおへ「ズドン!!」という衝撃が!
あまりの力強さに海に落ちそうになる!
後ろからなかまに肩をつかんでもらいながらリールを巻く!
いや、大きすぎてリールも巻けない!
そんなときは最後の手段。船のスクリューを逆噴射してイタヤラを巣からひきはがす!!
水面にドバン!と水柱を立てて浮かぶのは人も丸のみできそうな超巨大魚だ。
釣りバリをすばやくはずし、サッと記念写真を撮ったら元気なうちにすぐ海へかえす。
フロリダの人たちにとってイタヤラは大切にすべき特別な魚なんだ。
…「いやいや!大切ならそもそも釣らせるなよ!!」という声が聞こえてきそうだが、実はこのイタヤラ釣りがイタヤラ自身を助けてもいる。
イタヤラを釣るには特別な許可を持った釣り船にお金をはらって案内してもらわなければならない。
そして、このお金の一部はイタヤラを保護するために使われるのだ。
うまくできている。
さすが巨人、強いぜ!
こうした取り組みのおかげでイタヤラの数は少しずつだがさらに増えてきている。
しかし、まだまだ完全に元どおりというわけではない。
イタヤラを呼び戻すにはただ漁をやめるだけではなく、彼らの赤ちゃんが育つマングローブの林やあの大きな体を保てるほどエサとなる生きものにあふれた豊かな海を守っていかなければならない。
生態系のてっぺんにいるイタヤラを救うことは、同じ海に暮らすほかの生物たちを助けることにもなるのだ。
このままいけば、きっといつかフロリダの海のあちらこちらに人を丸のみできそうな巨大イタヤラがウヨウヨ泳ぎはじめ……たらさすがにちょっとおっかないかな……。
〜サメも食う!? フロリダの巨人・大魚イタヤラ 後編 おわり〜