実は「トナカイ」の語源はフィンランド語じゃない? 今こそ知りたいトナカイの秘密

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ

サイエンスライター:柴田 佳秀

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12月といえばクリスマスです。トナカイがひいたソリに乗って、サンタクロースがプレゼントを届けてくれる日までもう少し。皆さんは何をお願いするのでしょうか。

トナカイって何語?

ところで、このソリを引くトナカイ。シカのなかまの動物ですが、この“トナカイ”って何語だかご存知でしょうか? サンタクロースは北欧・フィンランドの人だから、フィンランド語かなと思いましたが、正解はアイヌ語なんだそうです。でも、トナカイは北海道には生息していないので、どういうこと?と思ってしまいます。
じつはアイヌ語は、北海道だけでなくオホーツク海沿岸地域で広く使われていた言語で、トナカイが生息しているカムチャツカあたりに暮らしていた人からもたらされた名前であると言われています。

実際に、トナカイの角でできた交易品が北海道の遺跡で見つかっていることから、アイヌの人々は昔から知っていた動物だったのでしょう。また、江戸時代の探検家・間宮林蔵の樺太探検の話にトナカイが出てくるので、日本で広く知られるようになったのはそれ以降ではないかと言われています。

“トナカイ”が好きな食材

ところで私には、トナカイにまつわる思い出があります。
それは今から30年前、ロシアの北極の島に3ヵ月半滞在したときの話です。北極の6月は野生のマッシュルームがたくさん出てくる時期で、それをピロシキの具に入れるのが楽しみなんです。ところがトナカイもこのマッシュルームが大好き。うっかりしていると全部食べられてしまいます。なので、トナカイに先を越されないように、毎日、見回ってマッシュルーム狩りをしていたのです。

「トナカイに負けるな!」とロシア人の友達は鼻息が荒く、もうたいへんな力の入れようだったので、日本人チームもいっしょにがんばりました。北極はあまり美味しい食べものがないので、マッシュルームは本当に楽しみな食材なんですね。ライバルがトナカイなんて、なんだかとても平和な北極暮らしでした。

メリークリスマス!
写真提供/柴田佳秀

トナカイが掲載されているMOVE

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しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。