ハトはどうして首を振って歩くのか、その驚きの真相とは?

【ちょっとマニアな季節の生きもの】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ

サイエンスライター:柴田 佳秀

ハトが首をふって歩く、その仕組みを解説!

日頃から子どもたちの質問に答える機会が多いのですが、以前実施されたオンラインイベントで、MOVEラボ研究員(図鑑MOVEの読者組織)からの質問の中に、定番の質問がありました。その一つが「ハトはどうして首をふって歩くの?」です。これって皆さん気になることのようで、よく聞かれるんです。
ドバト
たしかにハトって、前後に首をふって歩いていますよね。ハトのモノマネする芸人さんも首を前後にカクッカクッと動かしていて、ハトそっくりで笑ってしまいます。それと同時に、なんでハトはそんなことをして歩くのか、その理由が知りたくなるのもよくわかります。

パッと思いつくのが、「首をふることで反動をつけ、その勢いで歩いているじゃないの」という理由です。じつはそれは違います。ルームランナーみたいな装置でハトを歩かせると、なんと首をふりません。 首をふらないでも歩けるのです。ということは、歩くためではないことがわかります。じゃあ、なんで首をふるのか。

じつはあれ、首をふっているのではなく、頭を固定しているんです。歩きながら頭を動かさないようにしているから、ふっているように見えるというのが真相です。

「いやいや、それ、何を言っているのかわからないから」という声が聞こえてきました。確かにわかりにくいです。ちょっと文字では伝えにくいのですが、歩き方の様子を順を追って説明すると……

①首を伸ばして頭を固定
②頭の位置をキープした状態で首を縮め、体を引き寄せるように前へ進める
③また、首を伸ばして頭を固定
④頭の位置をキープして体を前へ進める
この動きをすばやく連続させて歩くと、頭をふっているように見えるのです。

なぜ、頭を固定させるの?

それは物をよく見ようとしているからというのが理由です。

ハトの目は顔の横についています。ですから歩くと景色は前から後ろへ流れていきます。景色が流れるとよく見ませんね。たとえば電車の窓から近い景色を見ると流れてブレてしまってよく見えないのと同じです。では、どうすればよいでしょうか。

流れる速度に合わせて、首を横にふるか、目玉を動かして見ようとしませんか? ところがハトは目玉が固定されていて、動かすことができないんです。そこで頭を一瞬固定して流れを止めてブレないようにして見ているのだと考えられているのです。ルームランナーの実験で首をふらなかったのは、景色が流れなかったからです。そこで映像で景色が流れているようにしてルームランナーで歩かせてみると首をふるようになります。流れる景色をよく見ようとしているんですね。

なるほど、よく見ようとしているのはわかったけど、じゃあ、何を見ているの? とさらなる疑問が湧いてきます。その答えは食べものです。ハトは地面に落ちている草の種子が主食です。歩きながらクチバシで種子をつまんで食べるのがハトのやり方なのですが、よく見えないと種子が見つけられません。だから頭を固定して種子を見つける必要があるのです。

首をふって歩く鳥はハト以外にもたくさんいます。ニワトリとかキジとか、ハクセキレイとかです。

どれもが歩きながら地面に落ちている物をついばんで食べるスタイルの鳥たちばかりです。皆さんもどんな鳥が首をふるのか注意して観察してみると面白いですよ。また、こんどハトを見たら、頭を固定しているかどうかも確かめてみてください。写真を撮ってみるとよくわかるので、カメラで横から撮ってみるのをお勧めします。
写真提供/柴田佳秀
しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆...