あの日、あの時、胸躍らせて目撃したのは何だったのか? 今回取り上げるのは「5月29日」(1966年)。
山中に巨大な人間の足跡が発見され、雪男の噂が広まる。由利子の友人は、その正体が自分の婚約者で蝶類学者の浩二だと打ち明ける。浩二はモルフォ蝶の毒鱗粉を浴びて沼の水を飲んだことで、巨人に変貌してしまったのだ。
八ヶ岳に広まる雪男の噂
以前、あや子は由利子に、婚約者の浩二とは喧嘩別れしたと話していた。だがそれは噓で、浩二は今騒ぎになっている雪男になってしまったと言う。由利子は、あや子を一の谷博士のもとにつれていき、詳細を聞いた。
浩二は南米アマゾンに生息するモルフォ蝶の研究をしていた。1年前、あや子と浩二は蓼科高原に出かけたところ、日本には生息しないモルフォ蝶を発見。浩二はそれを捕まえようとするが、モルフォ蝶の毒鱗粉を浴びて強烈な喉の渇きに襲われ、その場を去ってしまった。
あや子は数日間、浩二を探していた。ある日、沼の水を飲んだことで巨大化した浩二を発見。あや子は巨大な姿を見て恐怖し、逃げてしまった。