今回は子どもにアピールするエンターテインメントとして完成しつくされた『ウルトラマンタロウ』(1973年)です。
SFでもメルヘンでもある傑作!
さらに、ウルトラマンタロウに変身する主人公・東 光太郎が徹底して、勇気を持ったポジティブな青年として描かれているのも大きな特徴で、つらい宿命を背負っていたり、悩み苦しんで成長する主人公の多いなかで、光太郎はすべての行動を自分の意思で決定していることもあり、悲壮感が感じられませんでした。
さらに都内にある円盤型の基地から次々と発進するユニークなスーパーメカを操る防衛チームのZAT〈ザット〉は、奇想天外な怪獣撃退作戦を実行するアットホームなチームで、主人公の性格と同じ明るさをZATにも感じとることができます。
SFでありながらもメルヘンなムードを持った『ウルトラマンタロウ』は、子どもたちにアピールするエンターテインメントを突き詰めた、「円谷プロ創立10周年記念作品」にふさわしい一作であったといえるでしょう。
最後まで明るく自由な心で戦う主人公!
『ウルトラマンタロウ』第1話「ウルトラの母は太陽のように」で超獣の生き残りであるオイル超獣オイルドリンカーが宇宙大怪獣アストロモンスに飲み込まれてしまうというのは、まさに超獣に対する怪獣の復権宣言だったのではないでしょうか。
さらに10月には悪質宇宙人メフィラス星人(二代目)、月光怪獣 再生エレキング、異次元超人 巨大ヤプール(改造)、宇宙大怪獣ベムスター(改造)、さぼてん超獣サボテンダー(改造)、ミサイル超獣ベロクロン(改造)と、人気怪獣・宇宙人がぞくぞく現れて、ウルトラマンタロウと激闘を繰り広げます。
過去にも人気レジェンド怪獣・宇宙人の再登場〔『帰ってきたウルトラマン』の宇宙忍者バルタン星人Jrとか、『ウルトラマンA』の巨大魚怪獣ムルチ(二代目)とか〕はありましたが、ここまで続けての再登場は初めてで、これものちの作品での再登場への布石となったのではないでしょうか。
そして最終話で、光太郎はウルトラマンタロウの力を使わずに、人間の力で宇宙海人バルキー星人を倒すのですが、ウルトラバッジを手放して戦うその姿は、まさに「自分の意思で行動を決定する」主人公にふさわしいものとなっていました。
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ウルトラマンシリーズを観るときのお供として、ウルトラヒストリーを振りかえるテキストとして、ぜひチェックしてみてください。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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