人生を変えるために「田辺さんをください!」と言いました(あんり)
あんり:もともと田辺さんと酒寄さんは「猫塾」、私とはるちゃんは「しんぼる」というコンビで、先輩と後輩の関係です。しんぼるの結成から5年たって、何をやってもうまくいかなかった頃、猫塾さんと一緒にツーマンライブをすることになりました。
はるか:そのライブタイトルが「ぼる塾」だったんだよね。
あんり:そう。でもライブ1週間前に、酒寄さんのつわりがひどくなって、急遽ライブに出られなくなっちゃって。そこで作家さんが「その日限定で、3人で漫才をやってみれば?」と提案してくれたんです。そしたらその漫才が、今まで感じたことないぐらいウケてしまった。
田辺:私も3人の漫才が楽しくて、正直「売れる!」って思った。
あんり:ライブのあと、すぐに田辺さんに「一緒にやってくれなかったら、私は芸人を辞めます」って脅しのような誘いをしました。田辺さんからは「何年か待ってほしい」と言われたんですけど、「今年の田辺さんしかいらない!」と言ってしまった(笑)。
田辺:あのとき、あんりと話すのがちょっと怖かったよ(笑)。私には産休中の酒寄さんがいないとダメだから、酒寄さんを抜きにして活動するのは絶対に嫌だったんです。でもウケた感覚はとてもあったから、気持ち的には組みたかった。人生で一番悩みました。
あんり:私も強く誘いつつ、田辺さんに酒寄さんが必要不可欠っていうのはわかっていたんです。私たちにとって猫塾は憧れのコンビだったから。でも自分も、辞めるか辞めないかの瀬戸際。最後の賭けだったんです。
田辺:いっぱいいっぱいになっちゃって、3人の漫才を提案してくれた作家さんに「どうしてあんなこと言ったんですか!」とキレたら「それなら4人でやればいいじゃん」って簡単に言われて。
あんり:私たちもびっくりしたいけど、4人でやるという選択肢を聞いたときに、迷いはありませんでした。
田辺:ほっとしたわ~。
あんり:私ははるちゃんに誘われて芸人になったし、他のあらゆる場面でも「誰かに言われたことをやる」人生を生きてきました。でも、田辺さんを誘ったときだけは、自分から人生を変えようと思った。戸惑いや驚きもあったけど、こんなに欲しいって思った気持ちは初めてだったから。
田辺:強く誘ってくれたから、今がある。本当によかったと思ってるよ。
誰かが1人ぼっちにならないように、あんりが気を遣ってくれる(田辺)
田辺:それぞれに、ちゃんと思いやりがあることじゃないですかね。みんな相手のことを考えている。例えば、3人でいると2対1になりがちですけど、あんりがそうならないようにいつも気を遣ってくれますね。
あんり:はるちゃんは太らないようにしているから、仕事終わりのご飯にあまり行かないんですけど、断るとわかっていても一応誘っています。行きたいときに行けないと困るから。
はるか:私はさっぱりした性格なので、断っちゃうんですけど(笑)。
あんり:断ってくれるのも嬉しい。無理してないってことだから。
はるか:たしかにそうだね。
あんり:逆に田辺さんには、気軽には誘わないようにしています。無理をして来そうだから(笑)。
はるか:田辺さんは気遣いの人だもん。
田辺:わかってるね~。あと、ネタ作りも気遣いがすごい。酒寄さんとあんりがネタを作ってくれるんですけど、それが私たちの人となりをすごく考えてくれるネタなんです。「これ言ったら面白いけど、田辺さんは言わないね」ってボケは絶対入れてこない。
はるか:あと「このセリフ、言いたくないです」って意見も聞いてくれるよね。
あんり:そのやり方は、酒寄さんから教えてもらったな。しんぼるのときは自分の意見を押し通していたけど、酒寄さんはみんなの話をすごく聞いてネタを作っていて。みんなが優しく、のびのびとできるのはこういうことなんだなって、酒寄さんから学びました。それが今の「ぼる塾らしさ」を作っているんだと思います。
ぼる塾
猫塾(酒寄希望・田辺智加)と、しんぼる(きりやはるか・あんり)でそれぞれ活動していた2組が、酒寄の産休をキッカケに2019年「ぼる塾」を結成。YouTubeの「ぼる塾チャンネル」では、おしゃべりしながら食べる姿が癒されると大人気。リーダーの酒寄は育休中。
ぼる塾が友達の前で失敗したときの対処法を伝授! 楽しい写真&インタビューが載ってるAneひめvol.12はこちらから!
取材・文/山口真央
山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。