コロナ禍 こどもの歯にトラブル! 虫歯菌〜矯正まで 歯のお悩みQ&A

歯の素朴な疑問に小児歯科の先生が答えます

山口 真央

小児歯科の杉原志保子先生。子どもの歯との向き合い方を教えていただきます。写真:金 栄珠
子育てで、毎日向き合わなくてはいけないのが歯の健康。仕上げ磨きのやり方や、虫歯になる仕組みについて、意外とわからないまま過ごしている親御さんは多いのではないでしょうか。

そこで、子どもの歯の素朴な疑問を「かちどきこども・矯正歯科」の杉原志保子先生に伺いました。

Q&A【虫歯編】

Q.赤ちゃんの口のなかは、ばい菌がないと聞きました。子どものうちは、あまり歯みがきをしなくても虫歯にならないのでしょうか。

A.確かに赤ちゃんの口のなかは無菌状態と言われています。ですが、お子さんの歯は、大人の歯よりも脆くて未熟。

歯には唾液に含まれる成分を取り込むことで、どんどん強くなっていく性質があるからです。歯が生え始めたら、しっかりと歯みがきしてあげましょう。

余談ですが、虫歯の少ない歯をつくるのにはフッ素を塗るのが効果的とよく言われています。

これは、先ほど述べた唾液に含まれる歯を強くする成分を、フッ素が促進させる働きがあるからとされています。

Q.夫も私も虫歯が多いのですが、息子も虫歯が多くなる体質なのではないかと心配しています。

A.虫歯は遺伝ではなく、感染症です。
親御さんが虫歯が多いからといって、虫歯を心配される必要はありません。

感染症というと怖い印象があるかもしれませんが、そもそも人の口のなかには数十億個もの細菌がいるのが普通の状態です。

気をつけていただきたいのは、親御さんの口のなかにいる細菌を、お子さんに移さないこと。口移しや、スプーンの使いまわしはしないように気をつけましょう。

とはいえ、心配しすぎるのもよくありません。口のなかには細菌がいて当然ですので、お子さんとのスキンシップの妨げになるほど、気にしすぎないようにしましょう。

Q&A【仕上げ磨き編】

Q.うちの子は毎日、歯みがきを嫌がるのですが、友人の子は嫌がらずに歯みがきできている様子。うらやましく感じてしまいます。

A.1〜3歳のうちは、歯みがきを嫌がるお子さんが大半だと思います。

だんだんと言葉が伝わるようになってくると、嫌がらずにやってくれるお子さんもいれば、苦手な状態が続くお子さんもいます。

理由は、口のなかに物が入ってくる異物感。

嫌がるお子さんは、鏡の持たせて自分の状況を見せてあげたり、テレビや動画を見せて他のことに集中させたりするなどして対応しましょう。

周りのお子さんができていたとしても「どうしてうちの子だけ……」と悩む必要はありません。成長すれば自然とできてくるものですので、焦らずお子さんの成長を見守りましょう。

Q.毎日仕上げ磨きをしていますが、ちゃんと磨けているのか心配です。正しい仕上げ磨きの、目安を教えてください。

A.1本の歯には、噛むところ・外側・内側の、3つの面を磨く必要があります。

1つの面を「シャカシャカ、シャカシャカ」と2秒ずつ磨くのが理想的。3つの面×2秒×20本(個人差があります)で、120秒を目安にしてみてください。

歯ブラシはお子さんによって好みもありますが、毛の硬いもののほうが、汚れが落ちやすいのでおすすめです。

ふんわりと磨くよりは、ブラシをしっかり歯に密着させて磨いたほうが確実に汚れが落ちます。

また、歯の生え始めから3歳ぐらいまでは、前歯の歯と歯の間が狭いため、虫歯がでやすい傾向にあります。

注意して磨いたり、お子さんに余裕がある場合はフロスをするなどして対処してみてください。

Q.何歳くらいから、親が仕上げ磨きをしなくてもいいのでしょうか。

A.小学生低学年までは、自分で歯みがきしようとしても、歯のかむ面を磨くだけで歯みがきが終わってしまうことも。

できれば小学5年生ぐらいまで、親御さんが仕上げ磨きをしてあげるのが理想的です。

磨き残しが多くみられるのが、下の歯の内側と、上の歯の外側。舌や頬が接着している面は磨くのが難しいので、お子さんが自分で歯を磨いているときは、注意してみてあげてください。

仕上げ磨きをするときにも舌をずらしてもらったり、少し唇を持ち上げてみたりなどして、丁寧に歯を磨いてあげましょう。
「虫歯のない歯をつくるには、毎日の丁寧な歯みがきが大切です」と話す杉原志保子先生(かちどきこども・矯正歯科)。写真:金 栄珠
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