トットちゃんの「点字つきさわる絵本」制作レポート その2

『点字つきさわる絵本 映画 窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック』制作秘話を担当編集がレポート! (2/3) 1ページ目に戻る

この本を印刷してくださったのは、共同印刷です。講談社担当の篠島(ささじま)由香里さんとは20年来の付き合いで、彼女は点字絵本の知見がありました。

文字量を減らすため、黒柳さんに見ていただきながら、原稿の量を調整していきました。

篠島さんに渡すと、点字にするとどれくらいの量になるか教えてくれます。
今度こそ! と思っても「このページに入るのは、今の3分の2ですねー」「…………」という具合。

そして何度目かの試行錯誤の末、ようやく「これで入りますー」と合格をもらえたのでした。

「さわる絵」をつくる

ところで、なぜ「点字つきさわる絵本」というのか?

それは、絵もさわって楽しめるからです。

『点字つきさわる絵本 あらしのよるに』では、ほぼ絵本の絵のとおり、輪郭を点字と同じ樹脂で盛り上げて、登場人物(動物ですが)や背景の雨や稲妻が、さわってわかるようになっています。

だから「さわる絵本」なのです。『点字つきさわる絵本 ぐりとぐら』も、そう。
『点字つきさわる絵本 ぐりとぐら』の触図
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『点字つきさわる絵本 あらしのよるに』の触図。よく見るとぷっくりとふくらんでいるのがわかります。
これを「触図」と言います。

「トットちゃん」は文字が多くて、イラストは少なめ。ひと見開きに1点から3点くらいです。登場人物はトットちゃん、やすあきちゃん、小林校長先生の3人にしぼることで認識しやすくしました。

さわる絵(触図)は、どうやって作るのかというと、これもまた、ほんとうにたいへんなのです。

触図の下絵をつくってくれたのは、グラフィックデザイナーの脇田明日香さん。

脇田さんは、本に使うイラストを選んだり、大きさを決めたり、文字の種類と大きさを決めて配置したりと、この本のすべてのデザインをしてくれたのですが、触図の絵も提案してくれました。

脇田さんの下絵をもとに、印刷会社で具体化していきます。

お話の内容をわかりやすくするのはどんな絵か? を考え、輪郭を描いてデータにするのです。

トットちゃんは、イラストでは頭に大きなリボンがついているのでこれがさわってもわかるように強調するとか、小林先生は背広を着ている大きな男の人とか、やすあきちゃんは半ズボンをはいているとか、特徴ですぐわかる工夫は、脇田さんのアイデアが生かされています。
トットちゃんの頭にはリボンがついているのが触図でも再現されています。
©黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」制作委員会
「さわる絵」をつくる苦労
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