
犬猫大好き&飼いたい子へ! 「ペットが好きな子」におすすめの絵本3選[絵本の専門家が選出]
#8 子どもの本のプロが選ぶギフト絵本~ペットが好きな子へ~ (3/4) 1ページ目に戻る
2025.12.07
絵本コーディネーター:東條 知美
「心配って“愛”なんだ!」を親も子も実感する絵本
続いてご紹介するのは『ねこがしんぱい』(KADOKAWA)。1冊目にご紹介したのは猫を飼う前の心配を描いた作品でしたが、こちらは「飼い始めたら、もっと心配しちゃう」という3人家族の心理を描いた絵本です。
作中に描き出されるのは、ふたつの世界。ひとつは、ひとりでお留守番をする愛猫・たまこが心配な「わたし」「おとうさん」「おかあさん」、それぞれが頭に思い浮かべた“たまこの危機”。すべて家族の心配からはじまった妄想です。
たまこが、もし、真っ暗なたんすに閉じ込められていたら……?
もし、コップを割ってけがをしていたら……?
もし、家に忍び込んだカラスにいじめられていたら……?
どれもこれも一大事。たまこがかわいそうで、とてもじっとしてなどいられません。しかし、この絵本は都度、そんな悪い妄想とは対をなす、もうひとつの誰も知らない“たまこの世界”を読者にささやきかけます。
実は、たんすの奥には大きな森が広がっていて、小鳥たちと笑いたわむれているたまこ。たまこがコップを見つめれば、水があふれて魚が泳ぎはじめ、ご近所のカラスとも仲がよく、世界中の猫たちとオンラインで遊ぶ約束だってしている。
本当のたまこは、何でもできる子。家族の知らない“たまこの世界”を持っていて、ちゃんと楽しくやれるのです。信じていればいいのです。
……あれ? 猫の話をしているつもりが、なんだか子育ての話みたい。つい我が子を心配してしまう親の姿そのものです。それにしても、心配ってつくづく愛ゆえに起こるものなのですね。
猫は、いつもどこかミステリアス。その計り知れない魅力と飼い主の愛を“たまこの世界”と“飼い主の作り出したイメージ”という、相反するふたつの世界で示したのは、直木賞作家・角田光代さん。角田さんが初めて書き下ろしたという猫のお話に、新進気鋭の洋画家・小池壮太さんの絵が加わり、イメージはどこまでも広がっていきます。
ちなみに、たまこのビジュアルは、作家の愛猫・トトちゃんにそっくり。ペットを飼うことで、子どもも大人もさらに愛情深い人間になれるのかもと感じさせる、ハートウォーミングな物語です。

















































































