脳科学者が解説 【子どもの脳の発達】大事なのは「自己肯定感」と保護者の「ぶれない軸」

子どもの人生は子どものもの 親は子どもを生きがいにしてはいけない

子育ての軸を「生活」に立てる

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これまで「発達障害」かもしれない子どもへの対応を述べてきましたが、なにより大切なのは、親が変わることです。性格や人柄ではなく、親自身の生活を変えることで子どもに与える生活環境を変えて、よい「ペアレンティング」を進めようということです。

ペアレンティングとは「養育・親の子育てのやり方」のことで、そのひとつに「親はブレない軸をもつ」という考え方があります。軸は成績などの「社会のものさし」ではなく、脳をバランスよく育てる軸です。軸は3本ほどにして、そのうち1本は家庭ごとの具体的な軸にします。

〈『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』より〉

軸をブレさせないことが大事

子どもが小学校に上がると、親は成績を強く意識して、勉強させようとしがちです。しかし、これまで生活リズムを整えるようがんばってきた子育ての軸は、これからもブレさせないようにしましょう。

例)夜9時になってもゲームをしている子どもに対して
・軸をぶれさせる言動 = 「そんなことしているならもう寝なさい!」
 →勉強しているなら寝る時間は守らなくていい/ゲームをしているなら寝る時間を守りなさい、と受け取られてしまう。
➡︎ 勉強しているように見せかけてゲームをするようになる子もいる

・軸をブレさせない対応 = 勉強していても、寝ると決めた時間を過ぎたら「寝る時間だよ」と言う
 「寝なさい」と強制するのではなく、子どもに気づかせる
➡︎ 自分から寝る時刻を守るようになる

〈Photo by iStock〉

子どもの人生を生きがいにしない

〈『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』より〉

なかには、自分より高い学歴を、高い収入を、と願って幼児期から教育を受けさせる人がいますが、それは自分の人生のリベンジなのかもしれません。自分がかなえられなかった夢を子どもに託すのは、子どもにとっては重い負担です。

子どもの人生は子どものもので、親のものではありません。自分の人生を取り戻し、自分自身の楽しみや生きがいをもちましょう。

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子どもが「発達障害」と疑われたときに親がするべきことを、3回にわたって、小児科医で発達脳科学者の成田奈緒子先生ご監修書籍『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』から抜粋(一部要約)してお届けしてきました。生活習慣の改善、脳の育て方の順序、そして第3回では、親が子どものためにできることを取り上げました。「子どもの人生は子どものもの」親がいちばん肝に銘じるべきことなのかもしれません。

取材・文/佐々木 奈々子

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■今回ご紹介の書籍はこちら
『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』
落ち着きがない、忘れ物やミスが多い、集団行動ができないなどの「発達障害のような症状」が現れる原因はどこにあるか、今の困りごとへはどう対処するか、どう育てていけばよいか、をくわしく解説していきます。

『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』成田奈緒子/監修
【本書の内容構成】
巻頭 その子は本当に「発達障害」なのか
1 まずは生活改善にとりくむ
2 子どもの発達を脳からみると
3 子どもを信じて育てる
4 信頼が成長につながる
5 大人が気をつけること
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