親必見! 「子どもの脳」を伸ばすシンプルで効果的な声かけ方法

脳科学者・細田千尋先生に聞く「子どもの脳」が伸びる家庭環境の整え方 #2 家庭内での親の関わり方について

医学博士・認知科学者・脳科学者:細田 千尋

東北大学加齢医学研究所及び、東北大学大学院情報科学研究科准教授・細田千尋先生。  撮影:森﨑一寿美

脳科学者であり、東北大学加齢医学研究所及び、東北大学大学院情報科学研究科准教授の細田千尋先生。ご自身も3人のお子さんの子育て中のママです。

細田先生は、「子どもが自分なりの幸せを見つけるための選択肢を与えたり、幸せに向かって生きるための考え方、姿勢を作ってあげることこそ、親の役割だと思います」と話します。

では、生きるために必要な子どもの認知能力や、情緒を育てるために、親である私たちができることとは何なのでしょうか? 細田先生に聞く、子育てに適した環境作りについて、第2回。家庭内での親の関わり方について教えていただきます。

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※前回の細田先生の「脳科学的にみるならいごと」記事はこちら。

親が考える幸せと子どもが考える幸せは違う

第1回では子どもの脳を伸ばす住環境についてお話ししました。今回、私がお話ししたいのは、家での親の在り方についてです。子どもの姿には、親の考え方や行動が顕著に反映されるため、子育てのゴールや目標を、親がどこに設定しているかが重要だからです。

これまでの日本の社会では、良い大学へ行って、良い職へ就けば一定の収入が保証される。それが1つのゴールになっていたように思います。しかし、グローバルな視点で見ると、大学や会社に入っただけで、その子の人生の幸せが保証されるという考え方は、そろそろ通じなくなってくるのではないでしょうか。

良い大学に入ったからと言って、社会に出たときのやりがいや、生きがい、精神的な幸せが保証されるわけではないのに、他にわかりやすいスケールがないから、子育て中の親御さんたちにとって、一番わかりやすい尺度が成績や学歴になってしまうわけです。

親は「子どもにとって何が幸せなのだろう」ということを、常に考え続けなければなりません。子どもにとっての幸せなんて、小さいころはそれを自覚もしていないでしょうし、本人が自覚できても、親にはなかなか言わないものです。

親は親で、自分のいる環境が当たり前だと思っているし、これが幸せだろうと自分の価値観で物事を測りがちです。その子にとっての幸せが何か、ひいてはそれぞれの親子にとっての幸せの形が何か、実はとても難しい問題です。

「自分にとっての幸せ」を目標としてがんばれる子に

今の子どもたちは、人生100年と言われる時代に生きています。そうすると、18歳のときにゴールを設定していても、実はそこからが長いわけです。長い人生をどうやって生きていくか、いかに自分で幸せをつかむか。常に自分が苦しくない程度の目標を立てて、それに向かい続けられる力を育てておかないといけない。

主に親が子の進路に関われるのは、たかだか18年や20年の間ですが、子どもが自分なりの幸せを見つけるための選択肢を与えたり、幸せに向かって生きるための考え方、姿勢を作ってあげることこそ、親の役割だと私は思います。

子どもに向き合う親の基本スタンスは成長しても変えない

乳幼児だろうが、青年期だろうが、変わらず続けるべきなのは、「親が子どもを個として認めてあげる」というスタンスです。具体的なポイントは、成績が誰々より上とか、平均より上、といった社会的な評価軸で他者とし、褒めないこと。家の外に出たら、すでに子どもたちは誰々よりできる、できない、という軸の中で生きているので、少なくとも家の中ではそれを持ち込まないであげてください。

細田先生は、子どもには、その子自身を認めてあげるような声掛けをしてあげることが大切と話します。  撮影:森﨑一寿美

それともうひとつ、小さいお子さんは特に、「できたことをナレーションして褒める」ということを取り入れてください。単純に「すごいね、かっこいいね」と褒めるのではなく、「〇〇ができたからすごいね」というように、具体的に褒めてあげること。評価だけじゃなく、感想を入れたり、必ずナレーションを入れながら、その子の行った行動を認めてあげること。悪いことをした時には、なぜ悪かったのかを教え、どうすべきかを伝えることが優先されるべきで、単純に悪かった行動のみの否定はしないこと。そのためには、お子さんを常に観察し、日々の進化を見逃さないことが重要です。

年齢が上がるほど、子どもたちは社会比較の中で自分の成績や友達との関わり方、自分自身の在り方などについて悩んでいたりします。そこを家で増強する必要はありません。むしろ、前の自分と比べて、できたことやできなかったことを指摘してあげて、肯定的な声掛けをしてあげることが大切なのです。

親は子どもに正しい方法を伝えるだけでいい

否定をしない、というのはお子さんのしつけの場面でも同じです。例えば、小さいお子さんが机の上に乗ったとします。そういうとき、ママやパパはどういう声掛けをするでしょうか? 

ほとんどの方がきっと「机に乗っちゃダメでしょ」と言うと思います。「ダメでしょ」という言い方は、やっている行為の否定になります。本当なら「机は乗るところではないから、降りましょう」だけで済む話なのに、どうしても「なんで机に乗るの? そんなことしちゃダメでしょ」と、否定する言い方をしてしまうんです。

親も人間なので、周りの目を気にします。それに「親はきちんとしつけをするべき」という文化が日本にはありますから、どうしても怒ってしまうのはわかります。しかし、親がやるべきことは、正しい方法を伝えることです。これは認知行動療法でもそうですが、本人がやっていることを否定するのではなくて、正しい行動を伝えればいいのです。「こうすればいいんですよ」と最初から言ってあげればいいだけです。

そのためには、親がどれだけ自分の感情をコントロールして、子どもと向き合えるか、そこが難しいところですよね。ただ、親御さんのこの肯定的な態度が、子どもの自己肯定感を高めるところへつながっていくと思います。

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